「ありがとう」がくれる力 〜医療現場での小さな感謝, 医師目線〜

病院という場所は、いつも慌ただしく、時間との戦いが続きます。


それぞれの職種が自分の役割を全うしながら、患者さんの命と向き合っている。

知らない所でストレスがかかっていますよね。


そんな毎日の中で、ふとした一言、「ありがとう」に救われる瞬間があります。

ちょっとした気配りや、何気ない一歩先の行動。


それが誰かの仕事を助け、気持ちを軽くすることがある。


そしてその時、「先生、ありがとうございます」「助かりました」と言われると、


疲れていたはずの心に、じんわりと温かいものが広がっていく。

医師として、看護師さんや事務さん、検査技師さんなど、


たくさんの仲間たちと一緒に働く中で感じたのは、


感謝は、職種を超えて人をつなぐ力になるということ。

今日は、そんな「ありがとう」にまつわる、経験したエピソードをいくつか紹介してみたいと思います。

「あ、オーダー入ってない…」からの、ちょっとだけいい日

「やっときますね~」のひと言が、救急の救世主に…⁉

「聞いてくれてありがとう」が、今日いちばんの処方箋

①「あ、オーダー入ってない…」からの、ちょっとだけいい日

ある日の外来。


他の先生が担当している患者さんの点滴オーダーがなく、看護師さんが来なっています。


「…あれ?忘れちゃったのかな?」


ちょうど自分も外来にいたので、


お願いされて、代わりにサクッとオーダーを入れました。


正直、自分にとっては“ちょっとしたこと”。

でもその後、
「先生、ありがとうございます!助かりました!」と。


笑顔で、しかもほんのり感動気味に。

ちょっと戸惑いつつも、「あ、はい…!」と返しながら、

内心ではじんわりと何かが広がってました。

誰かの役に立ててたんだなって。

本当に小さな事で、負担でも全くありませんでしたが。

同じやるでも、

嫌な顔せず、一言目で「いいですよ~」と言えることが大事なんだなぁ~と感じました。

② 「やっときますね~」のひと言が、救急の救世主に…⁉

救急外来がバタバタしていたある日。


患者さんは次々と来るし、処置も重なってて、みんな走り回ってました。


自分はたまたまそのタイミングで少しだけ余裕があって、


「じゃあ、あの方の採血と点滴、私やっときますね〜」と、


軽い気持ちでさらっと言ったんです。

そしたら、近くにいた看護師さんが一瞬フリーズして、


「……先生、マジですか!? ありがとうございますっっ!!」って。


めちゃくちゃ感謝されて、なんか逆にびっくりしてしまいました(笑)

いやいや、そんな大したことじゃないのに…と思いつつ、


あの「助かった〜!」という笑顔を見ると、


“今の行動ってちゃんと意味があったんだな”ってしみじみ感じました。

そして自分もちょっと誇らしい気持ちになれたので、


やっぱり“助け合いっていいな”と思った一日でした。

③ 「聞いてくれてありがとう」が、今日いちばんの処方箋

その患者さんは、いわゆる“はっきりしない症状”を訴えていました。


「なんとなく調子が悪い」「ずっとだるくて」「どこが…ってわけじゃないけど」


検査も既にいろいろやってあって、結果は特に異常なし。


でも、つらそうなのは確かでした。


うんうん、と相槌をうち、少し質問しながら、話を向き合って聞きました。


正直、明確な答えを出せたわけではありません。


でも、その方が話し終えたあと、ちょっとだけ笑ってこう言いました。

「先生、話を聞いてもらえて…なんか安心しました。ありがとうございました」

その言葉に、私のほうが心を打たれました。


医師として“解決する”ことばかりに意識が向きがちだけど、


“そばにいる”ことにもちゃんと意味があるんだと教えられた気がします。

最後に・・・

小さなエピソードばかりで申し訳ありません。

「ありがとう」という言葉には、不思議な力を感じます。

医療職だけでなく、どのような職にも共通して感じることかなとおもいます。

お互いを尊重して、明日からもいい仕事かできるように頑張りましょう。

KOY

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