



「がん検診って、いつから受ければいいの?」
「そもそも健康診断と何が違うの?」
そんな声を、患者さんからよく耳にします。
がんは今や、日本人の2人に1人がかかると言われるほど身近な病気です。
けれど、早期に見つかれば治る可能性も高く、日常生活を続けながら治療できることも増えています。その“鍵”となるのが「がん検診」です。
とはいえ、どんな検査を受ければいいのか、自分の年齢で本当に必要なのか、受ける意味があるのか…迷う方は多いはず。
なかには「市の検診の案内が来たけど、結局行かずに終わった」という方もいるかもしれません。
この記事では、そんな疑問や不安を解消すべく、がん検診の基礎知識から誤解の多いポイント、受けるべき検査の種類や年齢まで、医師の視点でわかりやすく解説します。

参考他サイト:厚生労働省


① そもそも「がん検診」とは?
「がん検診」とは、まだ症状のない人を対象に、がんの早期発見を目的として行う検査です。
たとえば「便に血が混じる」「しこりを感じる」といった症状が出てから行う検査は「診断」のための検査であり、それとは区別されます。
がんは、早い段階では自覚症状が出にくい病気です。だからこそ、「元気なときにこそ検査を受ける」ことが大切になります。
検診で早期に見つけることで、手術や治療の負担を軽くできる可能性が高まり、治る確率も上がります。
現在、日本では国が推奨している「がん検診」が5つあります(胃がん・大腸がん・肺がん・乳がん・子宮頸がん)。
これらは、科学的根拠に基づいて、「受けることで死亡率を下げられる」と証明されている検査です。
つまり、がん検診はただの「おまけの健康診断」ではなく、あなたの命を守る第一歩なのです。



② がん検診、何歳から受けるべき?
「がん検診って、自分ももう受けたほうがいいのかな?」
そんな疑問を感じたことがある方も多いかもしれません。
がんは年齢とともにリスクが高まる病気ですが、がんの種類によって“検診を始めるべき年齢”は異なります。
国(厚生労働省)が科学的根拠に基づいて推奨している「5つのがん検診」の対象年齢は以下の通りです👇
がんの種類 | 対象年齢 | 検査の頻度 | 主な検査方法 |
---|---|---|---|
胃がん | 50歳以上 | 2年に1回 | 胃内視鏡検査(またはバリウム検査) |
大腸がん | 40歳以上 | 毎年 | 便潜血検査(便を提出) |
肺がん | 40歳以上 | 毎年 | 胸部X線検査(喫煙者には喀痰細胞診も) |
乳がん | 40歳以上の女性 | 2年に1回 | マンモグラフィー検査 |
子宮頸がん | 20歳以上の女性 | 2年に1回 | 子宮頸部の細胞診(必要に応じてHPV検査) |
💡ポイント:
- 自覚症状がなくても、年齢に達したら受けることが大切です。家族にがんの人がいる場合や、喫煙・肥満などのリスクがある方は、特に注意が必要です。
「まだ若いから…」と考えているうちに、リスクは少しずつ高まっていきます。
まずは自分の年齢に合った検診があるか、住んでいる自治体の案内や医療機関に確認してみることをおすすめします。



③ よくある誤解Q&A
❓Q1. 健康診断で異常がなければ、がん検診はいらない?
🩺A. 実は「健康診断」と「がん検診」は別物です。
健康診断は、体全体の状態を広くチェックするものですが、がんを見つけるための検査が十分に含まれているとは限りません。
一方、がん検診は特定のがんを早期に見つけることに特化した検査です。
両方受けることで、より安心につながります。
❓Q2. 若いから、まだ受けなくても大丈夫?
🩺A. 一部のがんは20代から検診対象になります。
たとえば子宮頸がん検診は20歳からが対象。
また、家族歴がある方や生活習慣にリスクがある方は、年齢に関わらず早めのチェックが大切です。
「若いから大丈夫」は、がんには通用しません。
❓Q3. がん検診って痛いし、時間がかかるイメージ…
🩺A. 痛みが少なく、短時間で終わる検査も多いです。
便を採るだけの便潜血検査や、レントゲンを撮るだけの胸部X線検査など、比較的負担の少ない検査もあります。
まずは「できそうな検査」から始めてみましょう。
❓Q4. 検診を受ければ、100%がんを見つけられますか?
🩺A. 検診にも“限界”があります。
がん検診は、見つけやすいがんを早期発見するためのものですが、100%見つけられるわけではありません。
だからこそ、定期的に受けることが大切です。
気になる症状があるときは、検診を待たずに医療機関へ。
❓Q5. 自費の高い検診のほうが、安心なんですよね?
🩺A. 高ければ良いとは限りません。
自費の検診はより多くの項目をカバーできる場合がありますが、科学的に「受けたほうが良い」とされているのは国の推奨検診です。
まずは自治体のがん検診や職場での検診から受けてみてください。
どんなに健康に見える人でも、がんは静かに進行することがあります。
「知っておけば防げた」「検査していれば…」とならないように、ぜひこの機会にご自身の検診スケジュールを見直してみてください。



④ 受けるべき?判断の目安と医師からのアドバイス
「まだ症状もないし…」「なんとなく不安だけど、面倒で…」
がん検診は、そんな“受けるか迷っている人”にこそ意味がある検査です。
でも実際、「自分は受けるべきなのか?」と考えたとき、明確な判断基準が分からないという方も多いのではないでしょうか。
以下は、がん検診を考えるうえでのひとつの目安です👇
✅ こんな方は、がん検診を受けるタイミングかもしれません
- がん検診の対象年齢に該当している
- 家族にがんの人がいる(特に同じ種類のがん)
- 喫煙習慣がある、または過去にあった
- 飲酒量が多い、食生活が偏っている
- 肥満、高血圧、糖尿病など生活習慣病がある
- 最近「なんとなく調子が悪い」が続いている
もちろん、これに当てはまらないからといって「受けなくていい」というわけではありません。
がん検診は**“症状がない元気なとき”だからこそ意味がある予防医療**です。
また、がん検診は一度受けたら終わりではなく、定期的に続けることが早期発見のカギになります。
🩺 医師からのひとこと
「今、大丈夫だから」は、未来も大丈夫という保証にはなりません。
でも、検査を受けて「何もなかった」と分かるだけで、不安が安心に変わります。
もし迷っているなら、まずはかかりつけ医や地域の保健所に相談してみてください。
あなたにとって必要な検査・無理のないタイミングを一緒に考えてくれるはずです。


⑤ まとめ
がんは、誰にとっても「もしも」の話ではなくなってきています。
でも、怖い病気だからこそ――“早く見つける”ことで、未来は変えられます。
がん検診は、「症状が出てから行くもの」ではありません。
何も症状がない、元気な“今”だからこそ、受けてほしい検査です。
この記事でご紹介した通り、がんの種類ごとに推奨される年齢や検査方法は決まっていて、無理なく受けられる内容ばかり。
また、自治体や職場で受けられることも多く、費用も比較的抑えられるのが特徴です。
私も、まだ年齢的にはがん検診の年齢ではないですが、定期的に胃カメラや大腸カメラをするようにしています。
✨ 最後にお伝えしたいこと
- 「健康診断とがん検診の違い」、知っていただけましたか?
- 「年齢別に受けるべき検査」、チェックできましたか?
- 「少し不安かも…」という方こそ、今が一番良いタイミングかもしれません。
あなたの健康は、あなた自身はもちろん、家族や大切な人たちの笑顔にもつながっています。
“ちょっと勇気を出して受けてみる”ことが、未来の安心につながります。
まずは、住んでいる市区町村の検診案内や、かかりつけ医に相談してみてください。
KOY




