
夏から秋にかけて多くなる「マダニ」による感染症のニュースが、またしても報じられました。
今回は、広島県尾道市で高齢男性が**「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」**により亡くなったというな報道です。
マダニや感染対策については、直近のブログでより詳しく紹介しています。
この記事では過去の記事を紹介しながら、ニュースについて主に紹介します。
当ブログ他記事:マダニ関東発感染例, マダニ過去最高2025, マダニ豊田市
参考サイト:一之江駅前ひまわり医院

■ ニュースの概要:尾道市で80代男性がSFTSで死亡

2025年8月5日、広島県は尾道市の80代男性がSFTSで亡くなったことを発表しました。

【経過】
- 7月25日:発熱などの症状で入院
- 7月31日:死亡
- 男性の左上腕にマダニの咬傷痕
- 畑作業中にマダニに噛まれたと推定
今年、広島県ではSFTSの届け出が5件あり、今回が2例目の死亡例です。

■ SFTSとは?(重症熱性血小板減少症候群)
SFTSは、SFTSウイルス(SFTSV)というウイルスによって引き起こされる感染症で、主にマダニに咬まれることで感染します。
【主な症状】
- 発熱
- 倦怠感
- 嘔吐・下痢
- 筋肉痛
- 出血傾向(皮下出血や歯肉出血など)
- 意識障害(重症例)
【潜伏期間】
6日〜2週間程度(平均で7〜10日)
【致死率】
約10〜30%と報告されており、高齢者や免疫力が低下している人は特に注意が必要です。
■ 医師から見たSFTSの怖さ
SFTSの厄介な点は、初期症状が風邪と似ているため見逃されやすいことです。
また、最近までかなり稀な疾患であったため、この病気を経験していない医療者が大多数のため見逃される可能性は高いと思います。
さらに、ウイルスに対する特効薬がなく、対症療法しかできないため、早期発見と予防が何より重要です。
発症後数日で急激に悪化し、血小板や白血球の著しい低下、肝機能障害、意識障害などを引き起こすこともあります。
■ マダニから身を守るには
【屋外で活動する際のポイント】
- 長袖・長ズボン・手袋・首にタオルを巻くなどして肌の露出を避ける
- 防虫スプレーを使用(ディート、イカリジン配合のものが有効)
- 帰宅後はすぐに入浴してマダニが付着していないか確認
- ペットにもマダニ予防対策を(室内に持ち込まれることも)

■ 咬まれたかも?そのときは…
マダニに咬まれてしまった場合、自分で無理に引き抜こうとせず、皮膚科など医療機関で処置を受けるのが安全です。
また、咬まれてから1週間前後で発熱、下痢、全身のだるさなどが出てきた場合は、早めに受診し、「マダニに咬まれたことがある」と医師に伝えてください。
■ まとめ
農作業やキャンプなど、自然と触れ合う機会が増える夏。
楽しい時間の裏で、マダニによる命に関わる感染症のリスクがあることを、ぜひ多くの方に知っていただきたいです。
「たかが虫刺され」と思わず、正しく恐れ、正しく対策をとることが、自分や大切な人の命を守ることにつながります。
今年のマダニ感染は、前回のマダニについてのブログ記事では91人でしたが、現在調べてみると112人に増加していました。
コロナなど新規のウイルス感染は本当に恐ろしいものです。このマダニ感染も同様に私たちに恐怖を与える社会問題になる気がします。
なので、何回かブログで紹介させていただき、啓蒙させてもらっています。
命にかかわる感染症も、予防の一歩から変えられる。
ぜひ、周囲のご家族やご高齢の方にも、この情報をシェアしてあげてください。
KOY

