いびきの仕組みと健康リスクー睡眠時無呼吸症候群とは~放置すると危険な理由~
夜、静まり返った寝室に響き渡る「グーグー」という音。
身近な家族のいびきに悩まされている方もいれば、「自分はいびきをかいていない」と思っているけれど、実は周囲に指摘されたことがある人も多いのではないでしょうか。
いびきは単なる生活習慣の一部と考えられがちですが、実は健康状態を映し出す大切なサインでもあります。
ときには命にかかわる病気の前触れであることもあるため、軽く考えて放置してはいけません。
この記事では、
- なぜいびきが起こるのか
- 健康への影響
- 睡眠時無呼吸症候群との関係
- 改善や予防の方法
について、解説していきます。



第1章 なぜ”いびき”が出るのか。仕組みについて
いびきは、空気の通り道(気道)が狭くなることで生じる音です。
人は眠っている間、のどや舌の筋肉がゆるみます。
その結果、舌の付け根やのどの奥の軟口蓋(なんこうがい)が下がり、気道が狭くなります。
空気がそこを通過するときに粘膜が振動し、「ゴーッ」「グーッ」といった音が発生するのです。
いびきを引き起こす主な原因
- 肥満
首まわりに脂肪がつくことで気道が圧迫されやすくなります。
- 加齢
加齢によりのどや舌の筋肉がたるみやすくなり、気道が狭くなります。
- 鼻づまり
アレルギー性鼻炎や風邪で鼻が詰まっていると、口呼吸になりやすく、いびきをかきやすくなります。
- アルコール・睡眠薬
筋肉をゆるめる作用があるため、気道がさらに狭くなりやすいです。
- 寝る姿勢
仰向けに寝ると舌の根元がのどに落ち込みやすく、いびきをかきやすくなります。
このように、いびきは「気道の狭さ」と密接に関わっており、その背景には生活習慣や体質、疾患が関係しています。

第2章 健康に影響はあるの?
「いびきぐらい、大したことない」と考える方も多いかもしれません。
しかし、いびきが慢性的に続くと、実は体にさまざまな影響を及ぼします。
睡眠の質の低下
気道が狭い状態は、呼吸がスムーズに行えない状態です。そのため熟睡しにくく、眠りが浅くなります。
結果として、日中の眠気・集中力の低下・作業効率の悪化につながります。
高血圧や心疾患のリスク
いびきは呼吸に負担をかけるため、体は「酸素が足りない」と判断して交感神経を活発に働かせます。
その状態が繰り返されると、血圧が上がりやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞のリスクも高まります。
精神面への影響
睡眠の質が悪いと、抑うつや不安の症状を招くこともあります。
「眠っても疲れが取れない」「イライラする」と感じる背景には、いびきによる睡眠障害が隠れているかもしれません。
周囲への影響
いびきは本人だけでなく、同室の家族やパートナーの睡眠を妨げます。
家族関係にまで影響することがあるため、放置は望ましくありません。

影響の種類 | 内容 | 結果・リスク |
---|
睡眠の質の低下 | 気道が狭くなり呼吸がスムーズでなくなる → 熟睡できない | 日中の眠気・集中力低下・作業効率悪化 |
高血圧・心疾患 | 酸素不足により交感神経が活発 → 血圧上昇 | 高血圧・心筋梗塞・脳梗塞など循環器疾患のリスク増加 |
精神面への影響 | 睡眠障害により心身のバランスが崩れる | 疲労感・抑うつ・イライラ・不安の悪化 |
周囲への影響 | いびきが大きいことで家族やパートナーの睡眠を妨げる | 家族関係の悪化、パートナーの睡眠不足 |

第3章 睡眠時無呼吸症候群って何?
いびきと深く関係している病気が**睡眠時無呼吸症候群(SAS: Sleep Apnea Syndrome)**です。
睡眠時無呼吸症候群の特徴
- いびきをかきながら、呼吸が10秒以上止まる状態を繰り返す。
- 一晩に数十回から数百回も呼吸停止が起こることもある。
- 起床時に頭痛やだるさが残る。
- 日中に強い眠気があり、居眠り運転など事故の原因になることも。
健康リスク
SASを放置すると、
- 高血圧
- 心筋梗塞
- 脳梗塞
- 糖尿病
などの重大な病気につながることが分かっています。
診断と治療
医療機関では、**睡眠ポリグラフ検査(PSG)**を行って呼吸や脳波、心拍などを記録し、無呼吸の程度を評価します。
治療法には、
- CPAP(シーパップ)療法:寝ている間に専用の機械で気道に空気を送り込み、閉塞を防ぐ。
- マウスピース:下あごを前に出す形で固定し、気道を広げる。
- 生活習慣の改善:減量、飲酒制限、寝る姿勢の工夫。
があります。
特に中等症以上ではCPAPが効果的で、命に関わるリスクを大きく減らせることが知られています。

第4章 改善・予防のヒント
「自分はいびきをかいているかもしれない」と思ったら、できることから取り組んでみましょう。
日常生活でできる工夫
- 体重管理
肥満は大きな原因のひとつ。適正体重を目指すことで気道の圧迫を軽減できます。
- 寝る前のアルコールを控える
特に寝酒の習慣は、いびきを悪化させる要因になります。
- 横向きで寝る
仰向けよりも気道が確保されやすく、いびきを減らす効果があります。
- 鼻づまりの改善
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎の治療、または就寝前の鼻スプレーで改善できる場合があります。
- 規則正しい生活
睡眠不足は筋肉の緊張を弱め、いびきを悪化させます。
医療機関での相談も大切
「ただのいびき」と思っていたら、実は睡眠時無呼吸症候群だったというケースは珍しくありません。
- 家族に「寝ているとき息が止まっている」と言われた
- 日中の眠気が強い
- 朝起きても疲れが取れない
といった場合は、耳鼻咽喉科や睡眠外来を受診することをおすすめします。

方法の種類 | 内容 | 効果 |
---|
体重管理 | 肥満による首まわりの脂肪を減らす | 気道の圧迫を減らし、いびきを軽減 |
アルコール制限 | 就寝前の飲酒を控える | 筋肉の弛緩を防ぎ、気道の閉塞を予防 |
横向きで寝る | 仰向けでは舌が落ち込みやすいため、横向き睡眠を意識する | 気道が広がり、いびきを減らす |
鼻づまりの改善 | アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎の治療、点鼻薬の使用など | 口呼吸を防ぎ、いびきを軽減 |
規則正しい生活 | 睡眠不足を避け、就寝・起床時間を一定に保つ | 睡眠の質が改善し、筋肉の緊張も維持しやすくなる |
医療機関での相談 | 耳鼻咽喉科・睡眠外来で検査(PSG)や治療(CPAP・マウスピース)を受ける | 睡眠時無呼吸症候群などの重度いびきの根本治療が可能 |

最後のまとめ
いびきは多くの人が経験するものですが、単なる生活習慣の問題ではなく、体の危険信号である可能性があります。
- いびきの原因は、気道が狭くなることによるもの。
- 放置すると睡眠の質を下げ、高血圧や心疾患のリスクにつながる。
- 睡眠時無呼吸症候群は、命に関わる病気の引き金になる。
- 改善には、生活習慣の工夫と医療機関での適切な治療が重要。
もし「自分はいびきをかいているかもしれない」と感じたら、それは体からのSOSかもしれません。
早めに専門医に相談することで、健康を守ることができます。
いびきを軽く考えず、自分の体と向き合うきっかけにしてみてください。
KOY
当ブログ記事:高齢化社会、異例のインフル流行
他サイト:サワイ健康推進課
