おならが増えた → 「まさか病気だったなんて」 ~“おならが増えた”ときにチェックすべきこと~

「最近、おならが増えた気がする…」


「お腹が張ってつらいけど、病気じゃないよね?」

誰にも相談しづらい、でもちょっと気になる――そんなお腹の悩み、ありませんか?


おならは誰にでも出るもの。

食事や生活習慣による一時的な変化なら、ほとんどが心配のいらない自然な現象です。

でも、もしそれが急に増えたり、においが強くなったり、


お腹の張りや痛み、便通の変化をともなっているとしたら…。


それは“体からのサイン”かもしれません。

ちなみに、おならの出る仕組みについては以前の記事を参考にしていただければと思います。

おならが止まらない!?  ~医師が教える“ガスだまり”の原因と対策~

このブログでは、
おならが増える背景にある病気
「よくあること」と「注意が必要な病気」の見分け方
医師として伝えたい受診の目安

をわかりやすく解説します。

① おならが増える背景にある病気

一般的におならが増える原因の多くは、生活習慣や食事内容による一時的なものです。


でも中には、腸の調子が崩れたり、消化吸収の機能にトラブルがあったりすることで、ガスが増えるケースもあります。

ここでは、「おならが多い・お腹が張る」といった症状の裏に隠れている可能性のある代表的な病気をご紹介します。


① 過敏性腸症候群(IBS)

特徴

  • ストレスや緊張、生活リズムの乱れが引き金
  • 「お腹が張る」「ガスが溜まる」などの不快感が持続
  • 下痢や便秘をくり返すタイプもある

おならとの関係
IBSでは腸の動き(蠕動運動)が乱れるため、ガスがスムーズに排出されずにお腹にたまりやすくなります。
また、ストレスによって腸内細菌のバランスも崩れやすく、ガスの発生量が増えることも。


② 小腸内細菌異常増殖症(SIBO)

特徴

  • 小腸に本来よりも多くの細菌が住み着いてしまう状態
  • 食後すぐに「ガス」「膨満感」「げっぷ」が出やすい
  • 慢性的な下痢や便秘がある人に多い

おならとの関係
小腸で糖質が分解・発酵されると、異常な量のガスが発生します。
その結果、おならの回数が増えたり、においが強くなることがあります。


③ 乳糖不耐症(にゅうとうふたいしょう)

特徴

  • 牛乳やヨーグルトなど乳製品を摂るとお腹がゴロゴロする
  • 乳糖(ラクトース)を分解する酵素が少ない体質
  • アジア人に比較的多く見られる

おならとの関係
乳糖がうまく消化されずに腸に残ると、腸内細菌がそれを発酵してガスを大量に発生させます。
「牛乳を飲んだあとだけおならが増える」という方は、この体質が関係しているかもしれません。


④ 食物不耐症・グルテン過敏症

特徴

  • 小麦製品(パン・パスタなど)や特定の食品を食べると、腹部膨満感・おなら・下痢などが起こる
  • アレルギーとは異なり、腸が“うまく処理できない”タイプの反応

おならとの関係
未消化の成分が腸内で発酵されてガスが多くなり、においも強くなりやすいです。


⑤ 大腸ポリープ・大腸がんなどの腸疾患(※稀ではあるがとても重要)

特徴

  • 初期には無症状のことも多い
  • 便通の変化(便秘や下痢)、血便、お腹の張りが続く
  • 50歳以上では特に注意が必要

おならとの関係
腸の通過障害や腸内環境の変化により、おならが出にくくなったり、お腹にガスがたまりやすくなったりすることがあります。

⚠️ 「おならが増えた」+「腹痛・便通異常・血便」などがある場合は、消化器内科を受診しましょう。


✅まとめ:ガスの増加は“体からのメッセージ”

   おならが多くなる原因には、
「ちょっとした生活習慣の乱れ」から「見逃せない病気」まで、さまざまな背景があります。

特に以下のような変化がある場合は、早めに医師に相談することが大切です:

  • 急にガスが増えた・においが強くなった
  • お腹がパンパンに張ってつらい
  • 下痢や便秘をくり返す
  • 血便や体重減少がある

「おなら」という小さなサインを見逃さず、腸の声に耳を傾けてみましょう。

② 「よくあること」と「注意が必要な病気」の見分け方

  「おならなんて誰でも出るもの」
そう言われると、たしかにその通り。でも、実際に毎日ガスがたまってつらい、においがきつくて人前が気になる…そんな状態が続くと、「もしかして病気なの?」と不安になるのも自然なことです。

ここでは、「よくあること」と「病気のサイン」のざっくりとした見分けポイントをご紹介します。


✅ よくある・生理的なガスの増加

次のようなケースは、体に異常があるというより、生活習慣や食事の影響による一時的なものが多いです:

  • 最近、豆類やイモ類、発酵食品をよく食べている
  • 炭酸飲料やガムをよく摂る
  • 早食いや口呼吸の習慣がある
  • 便秘気味だけど、それ以外は元気
  • お腹が張っても、時間が経てば自然に落ち着く

💡こうしたケースでは、食事の工夫や生活リズムの見直しで改善することがほとんどです。


⚠️ 病気のサインかもしれないとき

次のような症状があれば、腸や消化の働きに異常がある可能性も考えられます:

  • ガスが急に増えた、においが強くなった
  • お腹が張ってつらく、ガスが出にくい
  • 便秘や下痢を繰り返している
  • 食後すぐにお腹が膨れる・痛くなる
  • 血便、体重減少、倦怠感などがある
  • 同じ食事でも他の人よりお腹が張りやすいと感じる

💡こういった症状は、腸内環境の乱れや、腸の機能低下、病気によるガスの増加が背景にあるかもしれません。


🧩 実際のところ、はっきり線を引くのはむずかしい

正直なところ、「ここまではセーフ、ここからは病気」という明確なボーダーラインはありません
同じような症状でも、「単なる体質」の方もいれば、「治療が必要な疾患」が隠れている方もいます。

だからこそ大事なのは、
・ガスの量やにおいが“明らかにいつもと違う”
・“生活に支障がある”ほど気になる

こういった変化があるときには、無理せず一度専門の医師に相談してみることです。
検査で何もなければ安心ですし、何か見つかれば早めに対処できます。

③ 医師として伝えたい受診の目安

  「おならが増えた」という症状について、

基本的には大きな問題がないことが大多数だと思います。

もし心配であれば、一度病院やクリニックを受診することをお勧めしますが、

整腸剤などが出される事が多いのではないでしょうか。

それであれば、まず食事内容や食べ方などから見つめ直してください。

水を飲むときに一緒に空気も飲んでいないか、

ネバネバした食べ物を多く取っていないか、

早食いしていないか、、

1つ1つ見つめ直してみてください。

稀ではありますが、大腸癌によるお腹の張りでおならが溜まると思う方もいらっしゃるかもしれません。

命に関わるという視点から申し上げれば、一度大腸カメラをしておくと安心です。

みなさんも安心して生活できるように頑張っていきましょう!

KOY

他サイト:Medicasl DOC