参考:前回ブログ(熱中症①)



こんにちは。
前回は熱中症の病態を中心に紹介しました。 (熱中症:病態など)
引き続き、熱中症について紹介しますが、今日は予防や対応などを中心に述べていきます。
少しでも多くの方に熱中症にならないように勉強して頂きたいですし、
夏を楽しんでもらいたいですね。


① 予防法~今日からできる対策~
「熱中症は怖い」とわかっていても、
実際には「何をどうすればいいのか分からない」という方も多いのではないでしょうか?
ここでは、今日からすぐできるシンプルな対策をご紹介します!



💧1. 喉が渇く前に水を飲む
「喉が渇いてないからまだ大丈夫」――これは熱中症予防においてもっとも危険な思い込みのひとつです。
特に高齢者は、加齢により“喉の渇き”を感じにくくなります。
気づいたときにはすでに脱水が進んでいる、ということも少なくありません。
✅ 目安:
- 1時間ごとにコップ1杯(150〜200ml)
- 起床時/入浴前後/外出前後/就寝前は特に意識して!
🧃 おすすめの飲み物:
- 水
- 麦茶(ノンカフェイン)
- 経口補水液(高齢者や脱水気味の方に)
☕ ジュースやコーヒーは利尿作用や糖分の関係で、水分補給としてはNGな場面もあるので注意が必要です。

🌬 2. エアコンは“命を守るスイッチ”と思う
「昔はエアコンなんてなかった」はもう通用しません。
今は気温も湿度も、昔とは比べものにならないほど過酷です。
「暑くないからつけなくても平気」と思っていても、体内ではどんどん熱がたまっていきます。
自覚がなくても、室温は確実に体に影響を与えているのです。
✅ 理想の室温・湿度:
- 室温:28℃以下
- 湿度:60%以下
🔁 扇風機やサーキュレーターと併用すると冷気が部屋全体に行き渡りやすく、冷房効率もアップ!

👒 3. 外出時は“身にまとう予防策”を
外出時の装いも、熱中症予防の一部です。
ちょっとした意識で、リスクをグッと減らせます。
✅ 服装のポイント
- 通気性のよい素材(綿や麻)
- ゆったりした服を選ぶ(風通し◎)
- 明るい色の服は日光を反射して涼しさUP
✅ 持ち歩くと安心なアイテム
- 帽子 or 日傘(直射日光をカット)
- ハンディ扇風機や保冷スカーフ
- ペットボトル1本分の水分(できれば経口補水液)
🚶♀️「今日は暑いな」と感じたら、無理せず予定変更や休憩を!
熱中症予防に“気合い”は逆効果です。

🧠 医師のひとこと
熱中症は「防ごう」と思えば予防できる病気です。
大切なのは、「まだ大丈夫」ではなく「念のためやっておく」という意識だと思います。




② もし熱中症かな?と思ったら
どれだけ予防をしていても、暑さが厳しい日には熱中症が起こってしまうことがあります。
「何か様子がおかしいな」と感じたとき、すぐに正しく対応できるかどうかが、その後を大きく左右します。
ここでは、冷やすべき場所・飲ませるもの・救急車を呼ぶ判断の目安についてお伝えします。


🧊 まずは体を冷やす!効果的な部位は?
熱中症の症状が出ているとき、体の中ではすでに熱がこもり、深部体温(内臓の温度)が上がっている状態です。
体温を効率よく下げるには、太い血管が通る部位を冷やすのがポイント!
✅ 冷やすと効果的な3か所:
- 首の両側(頸動脈のあたり)
- 脇の下(腋窩)
- 太ももの付け根(鼠径部)
保冷剤・濡れタオル・ペットボトルなど、身近なものでもOK。
保冷剤はタオルで包んでから使用すると低温やけどを防げます。

💧 意識がある場合は“飲ませる”ことも大切
意識がしっかりしていて、自分で飲み込める状態であれば、水分と塩分を補給しましょう。
おすすめは:
- 経口補水液(OS-1など)
- スポーツドリンク(塩分含む)
- なければ、水+塩タブレットや梅干しでも◎
⚠️ 無理に飲ませないで!
・意識がぼんやりしている
・吐き気が強い
・反応が遅い
このようなときは、むせて誤嚥の危険があるため、飲ませるのは避けましょう。

🚑 救急車を呼ぶべきか迷ったときの目安
以下のような症状があれば、迷わず119番通報を!
- 意識がもうろうとしている、呼びかけに反応しない
- けいれんを起こしている
- 水分がとれない
- 体が熱く、汗が止まっている(脱水が進んでいる)
「とりあえず様子を見る」は危険です。
少しでも不安があれば、医療者に相談してください。

🏥 医師として印象に残っているエピソード
私の外来に、80代の女性が「なんだかだるくて、ご飯も食べたくない」と来院されました。
家族の方は「暑いと言ってなかったし、クーラーも使っていたから熱中症じゃないと思って」とのこと。
ですが、実際には:
- 室内の温度は28度以上
- 水分はお茶を1日1回のみ
- 診察時は脱水症状と微熱あり
血液検査でも脱水傾向があり、すぐに点滴を行いました。
このケースのように、「だるい」「なんとなく元気がない」といった軽い不調に見える症状の裏に熱中症が隠れていることはよくあります。
特に高齢者は自覚症状が少ないため、周囲の人の“気づき”が重要になります。

🧠 焦らず、落ち着いて対応を
熱中症は、**「気づく力」と「正しい行動」**で、重症化を防げる病気です。
万が一のときに慌てないように、対応の基本をあらかじめ知っておくことが何よりの備えになります。



③ 熱中症は“気づけば防げる”病気

抜粋:総務省
熱中症はどんどん増えています。
熱中症は、突然倒れるような怖いイメージを持たれがちですが、
実は**「気づくこと」さえできれば、防ぐことができる病気**です。
✔ いつもより少しダルそうにしている
✔ 「暑くない」と言いながら顔が赤い
✔ 水分を摂っていない、汗をかいていない
――そんな「ちょっとした違和感」に気づいて、声をかける・クーラーをつける・水を飲む。
たったそれだけで、重症化を防げることが本当にたくさんあります。
特に高齢の方は、暑さや喉の渇きを自覚しにくく、症状が出にくいぶん、
周囲の“気づき”が何よりの予防策になるのです。
🌿元気に夏を乗り切るための3カ条!
- 喉が渇く前に水を飲むべし!
- エアコンは“命を守るスイッチ”と思うべし!
- 「ちょっとおかしいな」にすぐ気づくべし!
熱中症対策は、特別なことではありません。
ゼロになる病気ではないですが、一人でも患者さんが熱中症にならないことを願っています。
てか、夏暑すぎですよね (笑)
今年の夏も、笑顔で元気に乗り切りましょう☀️✨
KOY





