マダニ媒介の感染症 SFTS(重症熱性血小板減少症候群)患者数91人 同時期比で過去最多に


2025年も半分が過ぎた7月、気になる感染症のニュースが飛び込んできました。

マダニが媒介するウイルス性の感染症、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)

みなさんはマダニをご存知でしょうか。

前回も紹介したのですが、まだまだ増え続けており私たちの恐怖になっているようです。


今年1月から6月末までの半年間で91人が感染し、同じ時期で過去最多だった2023年の82人を上回ったことがわかりました(国立健康危機管理研究機構調べ)。

過去最多を記録しており、徐々に広がっているのがわかります。まだ、西日本に留まっているようですが、間違いなく近い将来に東日本に広がってくるでしょう。

いままで常識とまでは言えなかった、「ダニ対策」

イメージされるよう、普及させていかなければならないようです。

当ブログ過去記事:マダニ感染症で愛知・豊田で2人死亡──肌の露出に注意、いま知っておきたい対策とは?

🧬 SFTSウイルスとは?感染のメカニズムを知ろう

SFTSウイルスは、ブニヤウイルス科フレボウイルス属に属するウイルスで、2011年に中国で初めて確認されました。
日本では2013年に初めて患者が確認され、以降、毎年のように感染者が報告されています。

このウイルスに感染すると、潜伏期間(6~14日)を経て発熱、嘔吐、下痢、意識障害、出血傾向などの症状が出現します。重症化すると致死率は10~30%とも言われており、特に高齢者では重症化リスクが高いとされています。

治療法は対症療法のみで、今のところ特効薬やワクチンはありません。つまり、「感染しないこと」が最も重要な対策なのです。

🐾 ペットオーナーとしての心構え

ネコやイヌがSFTSウイルスに感染しても、初期には症状が出ない場合があります。しかし、感染・発症したペットの唾液や血液には大量のウイルスが含まれているため、飼い主や医療従事者が感染するリスクがあります。

室内飼いができない場合でも、散歩の後は体をよくチェックし、耳の裏や脇、足の付け根などマダニが好む場所を入念に観察しましょう。
また、獣医師による定期的な健康チェックや、ダニ駆除薬の使用も習慣にすることをおすすめします。


📈 感染者は全国に拡大、今年は過去最多ペース

今年の感染報告(2025年1月~6月末)は24府県・91人
特に以下の地域で多くの患者が報告されています。

地域感染者数
高知県11人
大分県8人
島根県・長崎県各7人
熊本県6人
三重県・岡山県・山口県各5人

NHKの調査によれば、静岡・愛知・三重・香川・宮崎の5県で計9人が死亡しているとのことです。


🐾 関東でも初確認…ペットからの感染も現実に

もともと感染は九州〜東海地方が中心でしたが、2025年5月に茨城県で初めてネコの感染が確認され、関東にも拡大しています。

さらに、今年5月にはSFTSを発症したネコを治療していた獣医師が感染・死亡するというショッキングな事例も三重県で報告されました。


🚨 専門家の警鐘「西から東へ、静かに広がっている」

国立健康危機管理研究機構・前田健部長は、次のように分析しています。

「野生動物(シカやイノシシ)の増加により、それらに寄生するマダニも増えている。
感染地域は西から東へと、じわじわ広がっている」

マダニは深山だけでなく、林道・田んぼのあぜ道などにも生息しているため、
キャンプや農作業など、夏のアウトドアには特に注意が必要です。


✅ 私たちにできる対策は?

🔹 人間への予防策:

  • 肌の露出を避けた服装(長袖・長ズボン・帽子)
  • マダニに効果的な虫除けスプレーの使用
  • 帰宅後のシャワーと服のチェック

🔹 ペットへの対策:

  • ネコは室内飼いを徹底
  • 散歩後の体チェック(特に耳・首元)
  • 犬猫用のマダニ駆除薬を定期的に使用


📢 正しい知識と冷静な行動が命を守る

SNSや一部メディアでは、SFTSに関する不正確な情報や過度な不安を煽る投稿も見られます。
確かな情報源(厚労省、国立感染症研究所、国立健康危機管理研究機構など)をもとに、正しい知識を持ち、冷静に対応することが何より大切です。

自然と共に生きる日本では、マダニや感染症とは切り離せません。だからこそ、「知る・備える・行動する」ことで、私たち自身と大切な家族、ペットを守っていきましょう。


夏休みを前に、レジャーやお散歩の機会も増える季節。
「自分には関係ない」と思わず、小さな対策が命を守る大きな一歩になります。

「自然の中で遊ぶときは、マダニ対策をセットで」。
そんな新常識が広まることを願っています🪳🌿

田舎での話ですが、救急外来で働いていると山に出れる時期には必ずと言っていいほど「ダニ噛まれ」の患者さんがいらっしゃいます。

「山菜をとりに行ってきた・・・」、「行者ニンニクをとりにいっていた・・・」などなど

最高で、1日3人の患者さんを診たことがあります。

私の経験は東日本での話です、「マダニ感染って西日本での話でしょう」 とは言えないような気がします。

これからダニには注意してきましょう。

KOY

当ブログ他記事:コロナ感染の現状

他参照サイト:厚生労働省