夏の紫外線に要注意! ~皮膚がんのリスクと今すぐできる対策~

夏の訪れとともに、強く降り注ぐ太陽の光。


レジャーやスポーツ、通勤通学…何気なく浴びているその日差しの中に、「静かに忍び寄る危険」が潜んでいることをご存知でしょうか。

その代表が「紫外線による皮膚がんのリスク」です。

実際に、アメリカ・メジャーリーグで活躍するフレディ・フリーマン選手の母親は、彼がわずか10歳のときに**皮膚がん(悪性黒色腫)**でこの世を去りました。

彼は今でも、母を失った悲しみを胸に「紫外線対策の大切さ」を多くの人に伝える活動を続けています。

紫外線は、目に見えず、音もなく、でも確実に私たちの肌にダメージを与えています。

特にこれからの季節は、肌が無防備になりやすく、注意が必要です。

この記事では、紫外線と皮膚がんの関係、そして今日から実践できる対策までを、医師の目線からわかりやすくお伝えしていきます。
大切なあなた自身、そして大切な人の肌と命を守るために――

ぜひ最後まで読んでみてください。

① なぜ夏は紫外線に注意が必要なのか?

気象庁HP

「今日はいい天気だな」と思って外に出た瞬間、私たちはすでに紫外線を浴びています。


紫外線(UV)は太陽光に含まれる不可視の光線で、地球に届くUVの多くはUV-AUV-Bです。


どちらも皮膚にダメージを与え、長期間にわたって浴び続けることで、シミやしわ、さらには皮膚がんの原因になることが知られています。

中でも夏場(特に6~8月)は、1年の中でも紫外線量がピークになります。

これは、太陽の位置が高くなることで紫外線が地表に垂直に降り注ぎやすくなるからです。

また、晴天の日が多く、肌を露出する服装が増えることで、無意識のうちに肌が紫外線にさらされやすくなっています。

特に日本では、日焼け=健康的な証拠というイメージが今も一部に根強く残っており、紫外線対策が後回しになってしまう傾向があります。

しかし、紫外線は「今日すぐに症状が出るわけではない」からこそ、見落とされがちなリスク。

蓄積されたダメージが、数年〜数十年後に皮膚がんとして現れることもあるのです。

さらに、紫外線は肌だけでなく、目や免疫系にも悪影響を与えることが報告されており、単なる「日焼け止めで防げばOK」という問題ではありません。

つまり、夏の紫外線対策は「美容のため」だけでなく、「命を守るため」にも必要なことなのです。

② 紫外線と皮膚がんの関係

環境省HP

私たちの肌は、外からの刺激に対して非常に敏感に反応します。


特に紫外線(UV)は、**目には見えない“遺伝子レベルのダメージ”**を肌に与えます。

これは、紫外線が皮膚細胞のDNAに傷をつけ、細胞ががん化する原因となるためです。

中でも問題となるのが、以下の3つの皮膚がんです:

■ 基底細胞がん(BCC)

もっとも発生頻度が高い皮膚がん。
進行は比較的ゆっくりですが、紫外線を長年浴び続けた部位(顔、首、手など)に多く発生します。

■ 扁平上皮がん(SCC)

紫外線のダメージがより深い層に及ぶことで発症しやすくなります。
治療せずに放置すると周囲の組織やリンパ節に転移するリスクもあるため、注意が必要です。

■ 悪性黒色腫(メラノーマ)

もっとも悪性度の高い皮膚がんで、早期発見・早期治療が生死を分けると言われています。
先ほど紹介したドジャースのフリーマン選手の母・ローズマリーさんも、まさにこのメラノーマで命を落としました。


🔬紫外線は「がんの種」をまく

紫外線によるDNA損傷が起きた際、体は修復機構によって傷を直そうとします。
しかし、それが何度も繰り返されるうちに“修復ミス”が起こり、がん細胞のもとが生まれてしまうのです。

特に紫外線を多く浴びてきた人ほど、肌に蓄積されたダメージは大きくなります。
そしてその結果、数年〜数十年後に皮膚がんとして現れる可能性があるのです。


📌日焼け=軽い炎症反応ではなく「リスクの第一歩」

「ちょっと赤くなっただけだから大丈夫」
「若いからすぐ治るし平気」
……そんな油断が、皮膚がんのリスクを高めてしまいます。

紫外線は“今すぐ悪影響が出るわけではない”からこそ怖い存在。
見えないところで肌細胞を傷つけ、少しずつ少しずつ、健康な皮膚をむしばんでいきます。

③ こんな人は特に注意!

紫外線による皮膚がんのリスクは、誰にでもあります。


しかし、生活習慣や体質、環境によってリスクが高くなる人たちがいるのも事実です。

あなた、あるいはあなたの大切な人が、以下の特徴に当てはまっていないかチェックしてみてください。


🏄‍♂️1. 屋外での活動が多い人

  • 農業、建設業など屋外勤務の方
  • ランニングやゴルフ、海・山のレジャーが趣味の方
  • 通勤・通学で日差しを浴びる時間が長い人

➡ 長時間、無防備に紫外線を浴びることで、慢性的なダメージが蓄積されていきます。日々の対策がとても重要です。


👶2. 小児や高齢者

  • 子どもは肌が薄く、メラニンの量も少ないため、紫外線の影響を受けやすい
  • 高齢者では、長年の紫外線ダメージが蓄積され、皮膚がんの発症リスクが上昇します

➡ 年齢によっても、肌の“防御力”に差があることを意識しましょう。


🧑‍🦲3. 色白で日焼けしにくい肌質の人

  • 肌が白く、日焼けすると赤くなるタイプ(I型・II型と呼ばれます)
  • メラニン色素が少ない人種(ヨーロッパ系、特に北欧系)

➡ 紫外線に対する防御力が弱く、皮膚がんの発症リスクが2〜3倍高いとされています。


🧬4. 家族に皮膚がんの既往がある人

  • 近親者に皮膚がんを発症した人がいる場合
  • メラノーマの家族歴がある場合は特に注意

遺伝的な要因や体質によるリスクもあるため、定期的な皮膚チェックが推奨されます。


🧴5. 紫外線対策をしていない人(または習慣がない人)

  • 日焼け止めを「面倒だから」と使わない
  • 帽子や長袖など、肌を覆う工夫をしていない
  • 曇りの日は「紫外線も少ない」と油断してしまう

➡ 紫外線は曇りでも80%以上降り注ぐと言われています。対策は“年中無休”で考えましょう。


✅ ひとつでも当てはまったら…

皮膚がんは早期発見・早期治療で予後が大きく変わります。
しかしもっと大切なのは、「発症しないように予防すること」。
特に上記に当てはまる方は、毎日の紫外線対策を意識して生活してみてください。

次章では、今日からできる実践的な紫外線対策をわかりやすく紹介します!

④ 今日からできる紫外線対策

紫外線は、毎日のちょっとした工夫で大きくリスクを減らすことができます。


高価な機材や専門的な知識がなくても、日常生活の中で「意識」するだけでOKです。


ここでは、今日からできる5つの実践的な対策を紹介します。


☀️1. 日焼け止めを正しく使う

日焼け止めは「つければOK」ではありません。
塗る量・頻度・タイミングによって効果が大きく変わります。

  • 適量:顔全体で500円玉大が目安
  • タイミング:外出の15~30分前に塗るのが理想
  • 頻度:汗やこすれで落ちるため、2〜3時間ごとの塗り直しが必須

また、SPFやPAの数値は使用シーンに合わせて選びましょう。
(例:日常生活 → SPF20程度、レジャー → SPF50)


🧢2. 帽子・サングラス・日傘で“物理的バリア”を

紫外線のダメージは、直接肌に届かないように防ぐことも効果的です。

  • つばの広い帽子
  • UVカットのサングラス(白内障など目の病気の予防にも◎)
  • 晴雨兼用の日傘

最近では、男性向けのUVグッズも増えてきており、性別問わず「守ることがかっこいい」時代になりつつあります。


👕3. 長袖・UVカットウェアの活用

「暑いから」といって、夏に肌をむき出しにするのは大きなリスクです。

実は、メジャーリーガーのフレディ・フリーマン選手も、母・ローズマリーさんをメラノーマで亡くして以来、
「紫外線を浴びない」ことを徹底し、練習や試合でも長袖を着るようにしているそうです。

プロアスリートですら紫外線を怖れ、意識して対策している――
これは、私たちにとっても強いメッセージではないでしょうか。

最近では、薄くて通気性が良く、UVカット効果のある素材の長袖も多く販売されています。
「涼しい長袖」も選択肢に入れてみてください。


🕶4. 外出時間の工夫

紫外線は、午前10時~午後2時に最も強くなります。
この時間帯の外出をできるだけ避けるか、日陰を選んで行動しましょう。

仕事などでどうしても外に出る必要がある場合は、上記の対策をフル装備で!


📆5. 紫外線予報をチェックする習慣を

天気予報と同じように、今や「紫外線指数」を毎日確認できる時代です。
スマホアプリや気象庁のHPでも簡単に確認できます。

指数が高い日は、より厳重な対策を
「今日は焼けそうだな」と思ったときには、すでに肌にダメージが始まっているかもしれません。


✅ “対策=自分を大切にすること”

紫外線対策は、決して「美容のため」だけではありません。
それは、**10年後・20年後の自分の肌と命を守るための“習慣”**です。

そして、メジャーリーガーのような存在ですら「紫外線を避けることを選んでいる」――
私たちも、もっと気軽に、もっと意識的に、自分を守っていきましょう。

まとめ:紫外線を知って、上手につき合おう

夏の陽射しは明るく、私たちの心まで晴れやかにしてくれます。


でもその光の中には、目に見えないリスク――紫外線という“静かな脅威”がひそんでいます。

皮膚がんは決して他人ごとではなく、

誰にでも、いつでも、起こりうる現実です。

ドジャースのフレディ・フリーマン選手のように、

大切な人との別れを経験した人は、紫外線への向き合い方が変わります。

でも私たちは今、知識と対策を手に入れました。

紫外線を必要以上に怖がることはありません。

大切なのは、「正しく知って、ちょっとした工夫を積み重ねること」

それだけで、10年後の自分の肌も命も、大きく変わってくるはずです。


今年の夏もきっと、暑く、長くなりそうです。

冷たい飲み物や扇風機だけじゃなく、

“紫外線対策”もあなたの夏のマストアイテムにしてみてください。

どうかこの夏も、健やかに。

そして、あなた自身とあなたの大切な人たちが、

笑顔で過ごせる毎日でありますように。

KOY

当ブログ他記事:熱中症①熱中症②夏バテ/牛乳など