異例のインフル流行、学級閉鎖も…  ~医師が伝えたい注意点~

「まだ9月なのに、もうインフルエンザ…?」と驚かれた方も多いかもしれません。

例年であれば、インフルエンザの流行が本格化するのは11月から翌年の2月にかけて。

しかし、今年は“異例の年”といえる状況が起きています。

新学期が始まったばかりのこの時期に、すでに複数の地域で学級閉鎖が発生。

子どもたちの間で感染が広がり、学校や家庭に大きな影響を及ぼしています。インフルエンザといえば冬のイメージが強いですが、なぜ今年はこんなに早く広がっているのでしょうか。

本記事では、最新の報道をもとに現状を整理し、医師の立場から「なぜ今年は異例なのか」、そして「今からできる具体的な予防策」について解説します。

第1章 現状の解説

【Nスタ解説】

まずは報道で取り上げられた“早すぎるインフル流行”の具体例を見てみましょう。

1. 川崎市(神奈川県)

  • 対象:市内の私立小学校
  • 内容:児童10名が欠席・発症
  • 対応:9月2日〜4日まで学級閉鎖
  • 備考:川崎市では令和7年度シーズンで初の学級閉鎖

2. 市川市(千葉県)

  • 対象:市内小学校1年生クラス(児童10名)
  • 内容:発熱やのどの痛みの症状
  • 対応:9月5日〜6日まで学級閉鎖
  • 備考:例年より2か月以上早い流行

3. 北九州市(福岡県)

  • 対象:複数の小中学校
  • 内容:多数の児童・生徒が発症
  • 対応:学級閉鎖・学年閉鎖を実施
  • 備考:新学期早々に広がり、教育現場に混乱

表:報道された学級閉鎖の例(2025年9月時点)

地域学校種別対象クラス・人数主な症状期間特記事項
川崎市小学校児童10名発熱・咳9/2〜9/4市内で今季初の学級閉鎖
市川市小学校1年生10名発熱・咽頭痛9/5〜9/6例年より約2か月早い流行
北九州市小・中複数学級発熱・倦怠感9/2〜9/3ほか複数校で学級・学年閉鎖

こうした例を見ると、地域差はあっても「全国的に通常より早く流行している」ことが分かります。厚生労働省の感染症情報センターの速報値でも、9月上旬時点で患者報告数が増加傾向にあるとされ、すでに“流行期入り”の兆しが見えているのです。

第2章 なぜ9月なのに流行っているのか

1. 異常な暑さによる免疫への影響

2025年の夏は全国的に猛暑が続き、体調を崩したり睡眠不足になったりした方も多いはず。

強い暑さは自律神経や免疫機能に負担をかけ、ウイルスに対する抵抗力を下げる要因となります。

つまり「夏バテ気味の体」に、インフルウイルスが入り込みやすくなっていた可能性があります。

2. 他の感染症の流行との関連

今年は手足口病や咽頭結膜熱(プール熱)など、小児を中心にさまざまな感染症が早い時期から流行していました。

これらの感染症流行により、学校や家庭での感染リスクが高まり、インフルエンザの広がりを後押ししたと考えられます。

3. ウイルスの流行周期の変化

インフルエンザは例年冬に流行するイメージがありますが、近年は季節外れの流行が繰り返し観測されています。

新型コロナの流行を経て社会全体の感染症動態が変わったことも背景にあると指摘されており、「もはや冬だけの病気ではない」ことを示しています。

4. 新学期による人の移動と集団生活

9月はちょうど夏休み明けで、子どもたちが学校に集まる時期。

人の移動や集団生活の再開が、感染拡大の引き金になりやすい状況をつくります。

特に子どもは免疫が未熟で、家庭内感染も広がりやすいのが特徴です。

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第3章 注意点・予防策

では、私たちはどう行動すればよいのでしょうか。医師の立場から、すぐに実践できるポイントを整理します。

1. 基本の感染対策を徹底する

  • 手洗い・うがい:流水と石けんで30秒程度。帰宅後や食事前には必ず。
  • マスクの活用:咳やくしゃみが出るときは特に重要。学校や職場での広がりを防ぐための“思いやり”の行動です。
  • 換気:窓を少し開けて空気を循環させるだけでも効果があります。

2. 体調管理を優先する

  • 十分な睡眠:免疫を守る最大の武器。
  • バランスのよい食事:ビタミン、タンパク質を意識的に摂る。
  • 水分補給:まだ残暑が続くため脱水にも注意。

3. ワクチン接種の検討

インフルエンザワクチンは例年10月ごろから接種が始まります。例年より流行が早いため、医療機関に相談して早めにスケジュールを立てることをおすすめします。特に小児・高齢者・基礎疾患のある方は重症化予防の観点から重要です。

4. 学校・家庭での工夫

  • 体調不良時は無理をさせない:登校・出勤は控える。
  • 家庭内での感染拡大防止:タオルや食器の共有を避ける。
  • 兄弟姉妹への注意:ひとり発症するとすぐ広がるため、症状が出たら隔離を検討。

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さいごに

インフルエンザは「冬の病気」というイメージが強いですが、今年はすでに9月から全国的に流行の兆しが見えています。これはまさに“異例の年”といえる状況です。

しかし、過度に恐れる必要はありません。

正しい知識と日常的な予防策を実践することで、感染リスクは確実に減らせます。

特に子どもや高齢者、持病を抱える方を守るためには、家庭や学校、職場での協力が欠かせません。

「まだ先だろう」と油断してしまうと、流行の波に巻き込まれてしまいます。

逆に言えば、**今から意識して備えることが“最大の予防”**になるのです。

まだ残暑も続き、体調を崩しやすい季節の変わり目。どうぞご自身と大切なご家族の健康を守るために、今日からできる小さな習慣を取り入れてみてください。

一緒にこの“異例の秋”を、元気に乗り越えていきましょう!

KOY

当ブログ記事:ヘルニア/脱腸資産形成①

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