直美・チョクビ──臨床研修から美容外科へ──今、若手医師に何が起きているのか

二重(LINEお友達登録)

なぜ美容外科に行くのか?

「臨床研修が終わったら、美容外科に行こうと思ってます」


——ここ数年、若い医師からそんな言葉を聞く機会が確実に増えているようです。

研修を終えたばかりの医師が、そのまま美容医療の世界へと進む。

私が研修医を卒業した10年前では考えたこともありませんでした。


高収入・働きやすさ・自由診療の魅力──その選択には確かな理由があります。


一方で、その“早すぎる決断”には、医療者としてのキャリア形成や、外科という分野全体に影響を及ぼしかねない側面もあるのです。

美容外科を選ぶこと自体は否定しません。むしろ羨ましい気持ちもあります。


しかし、小さい頃から私が抱いていた「医師」像と同じなのか、

このブログでは、


美容外科へと向かう若手医師たちのリアルな動機と、


その選択が今の医療、とりわけ外科分野にどのような影響を与えているのかを、


一人の外科医の立場から考えてみたいと思います。

新・脂肪溶解リニアハイフ

なぜ美容外科に行くのか?

近年、臨床研修を終えた若い医師が、初期の進路として美容外科を選ぶケースが増えています。


その背景には、いくつかの納得できる理由があります。

メディカルキャリアナビ


勤務医としてキャリアをスタートするにあたり、生活の安定やワークライフバランスを重視するのは、ごく自然な選択とも言えるでしょう。


また、自由診療であるがゆえの裁量の広さやスピード感に魅力を感じる医師も少なくありません。

さらに、美容外科は形成外科や皮膚科の知識が応用される専門性の高い分野です。


手術手技や解剖学的理解、審美感覚が求められるため、「技術を活かして、より前向きな医療を届けたい」と感じる医師が選ぶのも当然の流れです。

◆ 年収が高い理由

  • 自由診療:公的保険の制限がなく、施術ごとに高額な報酬を設定できる
  • インセンティブ制:施術件数・売上に応じて歩合が発生することが多い
  • 高単価施術:美容整形(埋没・切開・脂肪吸引など)や注入系は1件あたり数万〜数十万円

◆ ただし注意点も…

  • 高収入を得るには「施術件数」や「売上ノルマ」が課される場合も
  • 自由診療=トラブルが起きたときの責任も全て自分に返ってくる
  • 業界によっては競争が激しく、技術+接遇+SNS発信力まで求められる


一方で、「本当に美容がやりたくて進んだのかどうか」に迷いを感じている若手医師がいることも事実です。

「SNSで活躍している先生に憧れて」
「当直が少なそうだから」
「他の診療科にピンと来なかったから」

そうした動機がきっかけになることもありますが、それ自体を否定する必要はありません。


すべてのキャリアには「きっかけ」があり、その後どう積み重ねていくかが大切です。

実際に、美容外科に進んで大変なのは命を救うことでもなく手技を覚えることでもなくSNS活動だという話も聞きます。

私たちのような外科医と比べてみると、

外科医は

・夜間や土日に緊急手術 (当番制のところが多いので毎日ではない)

・当直が多い (場所によっては毎週、大学のようにバイトも多いと月に10回以上の人も・・・)

・一人前になるまで、大きな手術ができるようになるまで時間がかかる

・手術というものに対し、責任が大きい (特に侵襲が大きなもの、合併症が起きると)

など、今の若い医師には魅力的には全く映らないであろうポイントが多すぎます。

これだけ働いて、美容外科の先生の給料の半分・・・。

これでは、外科に興味があっても直美になる医師もいることに納得です。

外科医を増やすために、例えば広島大学では入局者の給料を上げるなどの待遇面のupをしています。

素晴らしいと思います。

しかし、そのような対応はごく一部であり、私の病院では働き方改革、病院経営不振の影響で給料が少しずつ下がっているのが現状です。

他の病院の先生でも、給料が下がっちゃったよ~とおっしゃっていました。

政治というか一般の会社員の方と同じように、物価は上がっても給料は上がらない、むしろ少し下がっている・・・

同じですね。

最後は愚痴のようになりましたが、これは外科医の本音だと思います。

ファイヤークリニック

外科全体への影響とは

臨床研修後、即戦力として美容外科へ進む若手医師が増える一方で、伝統的な外科領域、特に消化器・肝胆膵などの分野では、志望者の減少が深刻な課題となっています。

近年、多くの大学病院や基幹病院で耳にするようになったのが、


「若手が来ない」「手術症例はあるのに執刀できる医師がいない」といった声です。

とくに肝胆膵外科のように、高度な技術と長年の経験を要する分野では、


術者の養成には時間がかかります。


しかしその“育成期間”に若手が入ってこないと、


技術や知見の継承が途絶えてしまうリスクが現実のものとなってきています。


現場には、手術を待つ患者さんがたくさんいます。


しかし将来、「執刀できる外科医がいない」という事態が、

本当に起こり得るのです。

この流れは、美容外科を選ぶ若手医師を責めるべき話ではありません。


むしろ、**「なぜ伝統的な外科が選ばれにくくなっているのか」**という問いに


私たち外科医こそ向き合う必要があります。

・あまりにも過酷な労働環境
・“報われない”と感じさせてしまう風土
・教育の遅れ、キャリアパスの不透明さ

これらを放置したままでは、どれだけ外科医療の重要性を訴えても、若手は振り向いてくれません。


外科医という職業は、本来とても魅力的です。
患者さんの命を直接救い、その回復を実感できるやりがいは、何にも代えがたいものがあります。
スキルを磨き続ける喜びも、チームで達成感を分かち合う瞬間も、外科ならではの醍醐味です。

その魅力が、若い世代にしっかり伝わっているでしょうか?
SNSのキラキラした世界だけでなく、
地道だけど確かな誇りを持てるこの仕事の「かっこよさ」を、
私たちがもう一度、発信していくことが求められているのかもしれません。

美容外科の中でも「医療人としての姿勢」が問われる

「献体写真」めぐり統括院長が謝罪も… 炎上後の「反論全削除」に疑問の声

美容外科は自由診療であるがゆえに、保険診療の制約が少なく、施術の選択肢も多彩です。
その分、患者の期待も大きく、「理想」を形にするために、
極めて繊細で高精度な医療技術が求められます。

実際、美容外科で日々行われている手術は、
皮膚・筋膜・脂肪・血管といった解剖学的構造を理解しなければ成り立たないものばかり。
麻酔管理、感染予防、出血のリスクマネジメントなど、安全に行うためには
まぎれもなく“外科的な思考”と“臨床経験”が土台になります。


よって、美容外科を本気で志すなら、
それは立派な「外科」への道の一つだと私は思います。

ただし、注意したいのは、
「見た目の美しさ」や「流行」にばかり目を奪われ、
医師としての研鑽や臨床経験を軽視してしまう風潮です。

医学的知識が不十分なまま施術を行えば、
それは重大な合併症や事故につながりかねません。
“手技の魅力”に惹かれただけで、解剖や術前評価を学ばず、
研修を飛ばして現場に入ることは、
患者さんにとっても、医師自身にとってもリスクとなります。


どの分野であっても、医療を担う人間としてのモラルと責任感は必要です。
それは保険診療か自由診療かに関係なく、
「目の前の人を本気で良くしたい」と思うかどうかにかかっています。

「お金のため」「楽だから」という入り口だったとしても、
そこから本物の医療人に育っていくことは、もちろん可能です。
逆に、どんなに素晴らしい志を語っていても、
その行動に患者への思いや努力が伴っていなければ、それは医師とは呼べません。


美容外科は、医師としての“生き方”が問われる場所でもあります。
自らの知識を磨き続け、責任を持って一人ひとりと向き合う。
その姿勢こそが、真に信頼される“プロフェッショナル”を育てていくのだと思います。

最後に・・・

最後までブログを読んで頂いてありがとうございました。

外科医としては、直美に対し羨ましい面もあり、医療として問題と思う点もあり複雑な心境です。

私の知り合いでも、外科医として10間年腕を磨いた後に美容外科医になった友達がいます。

それを聞いたときは、正直結構寂しい気持ちになりました。

今外科医をしている先生は、もちろん多くいらっしゃると思いますが、みなさん手術にやりがいを感じている先生が多いのではないかと思います。

私も10年以上たちましたが、やはり外科、手術というものにやりがいと感じています。

今回は外科医として、美容外科に対する正直な気持ちを書きました!

外科、美容外科ともに繁栄していけるといいですね!

KOY

当ブログ他記事:献血

BUST CLINIC

BUST CLINIC