
脂肪肝とは? (健康診断で脂肪肝っていわれた! ~肝硬変・肝がんに進行する前に~)

最近「健康診断で脂肪肝を指摘された」「肝機能の数値が少し高いと言われた」という方が増えています。
脂肪肝は自覚症状がほとんどないため、「放っておいても大丈夫かな」と思ってしまう人も少なくありません。
ですが実は、脂肪肝を放置すると肝硬変や肝がんへ進行する危険があり、生活習慣病や心臓病のリスクを高めることも知られています。
診察の現場では「頑張って生活を変えるのは難しい」と感じる人がほとんどです。
しかし、その中でも
ダイエットに成功して大きく肝機能が改善した方を、年に数人は確かに見ます。
そうしたケースでは、血液検査の数値がみるみる良くなり、ご本人も「体が軽くなった」と実感されます。努力は簡単ではありませんが、確実に結果につながることを実際に目の当たりにしています。
ちなみに、食材として有名な「フォアグラ」はガチョウやアヒルに大量のエサを与えて人工的に脂肪肝にしたものです。つまり脂肪肝は“肝臓に脂肪がたまり過ぎた状態”であり、人間でも同じようなことが体の中で起きているのです。
一方で、脂肪肝は生活習慣の改善によって予防・改善が十分に可能な病気です。特別な薬や難しい治療がなくても、日々の食事や運動、体重管理に少し工夫を加えることで、肝臓を元気に保つことができます。
この記事では、脂肪肝の原因と改善方法、そして再発を防ぐための予防策について、分かりやすく解説していきます。今日から実践できるヒントをぜひ取り入れて、健康な肝臓を守りましょう。

第1章:脂肪肝とは?

脂肪肝とは? (健康診断で脂肪肝っていわれた! ~肝硬変・肝がんに進行する前に~)
当ブログの他記事で紹介しています。
こちらを参考にしてください!!

第2章:脂肪肝の改善方法!!

脂肪肝における薬物療法の現状
1. 日本での保険適応薬はない
- 脂肪肝そのものに直接効く「承認された薬」は現状ありません。
- 基本は 生活習慣改善 が中心。
2. 関連疾患に対する薬が用いられることがある
- 糖尿病薬(GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害薬など):体重減少や脂肪肝改善効果が報告されている
- インスリン抵抗性改善薬(ピオグリタゾン):NASHに効果を示す報告あり
- ビタミンE:抗酸化作用により、非糖尿病のNASH患者で一部有効性が報告されている
👉 ただし、これらは「脂肪肝のための薬」ではなく、糖尿病など併存疾患の治療に伴って使われるケースが多いです。

3. 新薬開発の動向
- FXR作動薬やPPAR作動薬など、肝脂肪や線維化を改善する新しい薬剤が臨床試験段階にあります。
- 日本でもNASH治療薬の治験が進んでおり、今後「薬による治療」が現実になる可能性があります。
脂肪肝の改善に必要なのは、「完璧な生活」ではありません。
実際、診察室でお会いする多くの方は「忙しくて運動なんて無理」「甘い物をやめられない」とおっしゃいます。そんな方でも、小さな一歩を積み重ねることで数値が改善していくのを、私は何度も見てきました。
例えば、
- 夜食をやめただけで肝機能が良くなった方
- 毎日エレベーターではなく階段を使うようにした方
- ご飯を“おかわりしない”と決めただけで数値が改善した方
大きな努力ではなくても、「少しずつ、でも確実に」肝臓は応えてくれます。
もし続けるのがつらい時は、「全部やろう」と思わずに、まずはひとつだけ習慣を変えてみましょう。それでも十分に効果が出ることがあります。

1. 食事の工夫
脂肪肝改善の基本は「食べ方の見直し」です。
- 炭水化物の質を変える:白米やパンよりも、玄米・雑穀米・全粒粉パンを選ぶ
- 脂質は“質”を意識:揚げ物や加工肉などの飽和脂肪酸を減らし、魚(青魚など)やナッツ・オリーブオイルに含まれる不飽和脂肪酸を増やす
- 野菜・食物繊維をしっかり摂る:野菜、きのこ、海藻類は血糖値の急上昇を抑える
- 甘い飲み物・スイーツを控える:特に清涼飲料水や果糖の多いお菓子は肝臓に脂肪をためやすい
- 腹八分目を心がける

2. 運動習慣を取り入れる
- 有酸素運動:ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳など。脂肪を燃焼し、内臓脂肪を減らす効果がある
- 筋力トレーニング:筋肉量が増えると基礎代謝が上がり、脂肪燃焼しやすい体になる
- 継続が大切:1日30分、週150分以上を目標に、無理なく続けられる運動を見つける

3. 体重管理
- 脂肪肝は体重の5〜10%を減らすだけでも大きく改善することが分かっています
- 急激なダイエットは逆効果になることもあるため、「1か月に体重の3〜5%減」を目安に少しずつ減らすのが安全

4. アルコールを控える
- 脂肪肝がある人は、少量のお酒でも悪化要因になります
- 「ビール1本くらいなら大丈夫」という油断が積み重なると脂肪肝につながることも
- できる限り控えるか、休肝日を設ける習慣をつけましょう
5. 睡眠とストレス管理
- 睡眠不足や強いストレスは、ホルモンバランスの乱れを通じて脂肪肝を悪化させることがあります
- 規則正しい生活リズムを意識することも重要です
👉 実際の臨床現場でも「少しずつ生活を変えた人の方が続けやすく、長期的に改善につながる」ことをよく見ます。特に「夜食を減らしただけで数値が良くなった」など、具体的な小さな変化が効果的です。

第3章:脂肪肝を防ぐための予防策
脂肪肝は一度改善しても、生活習慣が元に戻れば再び悪化してしまいます。つまり、「ならないように予防する」「再発させない」ための習慣づくりがとても大切です。
1. 食生活の習慣化
- バランスの良い食事:主食・主菜・副菜を揃える
- “糖”のとり過ぎに注意:ジュースやお菓子よりも水やお茶を
- 外食は工夫次第:揚げ物や大盛りご飯を避け、野菜や魚を意識的に選ぶ
- お酒は適量を守る:脂肪肝がある人は禁酒が望ましい
2. 日常生活に「動き」をプラス
- 毎日の通勤・買い物で“歩く距離を少し伸ばす”
- エレベーターより階段を選ぶ
- 週末は軽い運動や散歩を習慣にする
👉 特別なスポーツを始めなくても、「体を少し多めに動かす工夫」が予防につながります。
3. 体重コントロールを続ける
- 体重増加=肝臓の負担増加と考える
- 無理なダイエットではなく「リバウンドしないペース」で体重を維持する
- 年1回の健康診断で、体重や肝機能の変化をチェック
4. 睡眠とストレス管理
- 睡眠不足や強いストレスはホルモンバランスを崩し、脂肪がたまりやすくなる
- 規則正しい生活リズムを心がけることが、肝臓の健康にもつながる
5. 定期的な健康診断を活用
- 血液検査(AST・ALT・γ-GTP)や腹部エコーで脂肪肝の兆候を早めに発見できる
- 「異常なし」でも、毎年チェックを続けることが安心材料になる
ポイント
脂肪肝の予防は「特別なこと」ではなく、毎日の小さな選択の積み重ねです。
階段を使うかどうか、飲み物をお茶にするかジュースにするか——そんな違いが、数年後の肝臓を守ります。


さいごに
脂肪肝は自覚症状がほとんどなく、気づかないうちに進行してしまう“サイレントな病気”です。しかし裏を返せば、生活習慣を見直すことで改善できる数少ない病気のひとつでもあります。
診察の現場でも、「少しずつの工夫で数値が良くなった」「体が軽くなった」と笑顔で話してくださる方を、私は何人も見てきました。
努力は簡単ではありませんが、小さな一歩が必ず未来の肝臓を守ります。
まずは今日からできることをひとつだけ始めてみましょう。
夜食をやめる、通勤で少し歩く、甘い飲み物を控える——その積み重ねが、将来の大きな違いにつながります。
あなたの肝臓は、きっとその頑張りに応えてくれます。
KOY



