

飲みすぎていませんか? – 肝臓の悲鳴は聞こえない
「自分はお酒に強いから大丈夫」
「酔わなければセーフ」
そんなふうに思っていませんか?
実は、お酒を毎日たしなむ“習慣”こそが、肝臓にとっては静かに、しかし確実にダメージを蓄積させていく原因となります。
肝臓は“沈黙の臓器”
肝臓は多少のダメージを受けても、ほとんど症状を出しません。
それは優れた再生能力を持っているためでもあり、逆に言えば、かなり悪くなるまで気づけないということでもあります。
沈黙を守る臓器…それが「肝臓」の怖さでもあるのです。
アルコールの代謝と肝臓への負担
体に入ったアルコールは、ほとんどが肝臓で処理されます。
アルコール → アセトアルデヒド → 酢酸 という過程で分解されていきますが、このプロセスで肝臓は大きな負荷を受けます。
特に毎日多量に飲む習慣がある人では、肝臓が疲弊し、炎症を起こしたり、脂肪がたまって“脂肪肝”になったりと、確実に悪い変化が進行していきます。
しかもそれが無症状で進むのですから、厄介です。
若いから大丈夫。
症状がないから大丈夫。
酒に強いから大丈夫。
そう思っている今この瞬間にも、肝臓は静かに悲鳴を上げているかもしれません。
30歳台など、若い方でも大酒飲みで命を落とした方もいらっしゃいます。
元Youtuber 金バエさん



アルコール性肝炎から肝硬変へ – 進行のステップ

お酒を飲み続けることで、肝臓は静かに、しかし確実にダメージを受けていきます。その変化は段階的に進み、気づいたときには取り返しのつかない状態になっていることも少なくありません。
◆ アルコール性脂肪肝:最初のサインは「脂肪の蓄積」
大量飲酒を続けると、肝臓の中に脂肪がたまりはじめます。これが「アルコール性脂肪肝」です。この段階では自覚症状がほとんどなく、健康診断の肝機能検査でたまたま発見されることもあります。適切に飲酒を控えれば、この段階で回復は可能です。
◆ アルコール性肝炎:肝細胞が炎症を起こす
飲酒を続けると、次第に肝細胞が炎症を起こし始め、「アルコール性肝炎」へと進行します。倦怠感、食欲不振、黄疸(肌や白目が黄色くなる)などの症状が現れることもあります。ここで飲酒をやめることで進行を食い止めることが可能ですが、無視して飲酒を継続すると深刻な事態を招きます。
◆ 肝硬変:肝臓が硬く、機能を失っていく
肝炎が慢性化すると、肝細胞が壊れて線維化し、肝臓全体がゴツゴツと硬くなる「肝硬変」に移行します。この段階になると肝臓の再生能力も著しく低下し、腹水や食道静脈瘤、肝性脳症などの合併症を起こすリスクが高まります。
◆ 肝がん:命を脅かす最終ステージ
肝硬変を背景に「肝細胞がん」が発生することもあります。飲酒と肝がんの関連は明確に示されており、特に肝硬変の状態で放置すると、がんのリスクはさらに高まります。
◆ どこで止められるか?
最も重要なのは、「アルコール性脂肪肝」や「肝炎」の段階で気づいて、飲酒をやめること。
肝臓は再生力に優れた臓器ですが、肝硬変以降は回復が難しく、生活の質が大きく損なわれることになります。
「まだ大丈夫」と思っているその一杯が、取り返しのつかない一歩かもしれません。

アルコール性肝硬変で亡くなった有名人
「まさか自分が…」という気持ちは、多くの飲酒習慣のある方に共通するものかもしれません。けれど、社会的に成功し、注目を集めていた有名人でさえ、アルコールの魔力に抗えず命を落としたケースは少なくありません。この章では、実際にアルコール性肝硬変で亡くなった著名人のエピソードをご紹介します。
◆ 村田英雄さん(演歌歌手・俳優)
昭和を代表する演歌歌手・村田英雄さんは、「王将」や「無法松の一生」などで一世を風靡しました。しかし彼の晩年は、長年の飲酒によるアルコール性肝硬変との闘いでした。
肝硬変による体調悪化の中でも、ステージに立ち続ける姿はファンの胸を打ちましたが、1993年に肝不全のため永眠されました。
村田さんは晩年、「肝臓は沈黙の臓器と言うけど、最後は必ずツケを払わされる」と語っていたといわれています。
◆ 勝新太郎さん(俳優)
豪放磊落なイメージで知られた勝新太郎さんも、長年の酒と不摂生により肝硬変を患いました。独特の存在感と演技力で多くのファンを魅了しましたが、1997年にアルコール性肝硬変のためこの世を去りました。
「不良でありたい」という信念を貫いた彼の生き様は多くの人に影響を与えましたが、その裏にあった生活習慣が命を縮めたのもまた事実です。
◆ その他の著名人たち
公表されていない場合もありますが、肝硬変によって健康を損なった芸能人・文化人は数多くいます。
彼らの死は、決して特別な人にだけ起きたことではなく、誰にでも起こりうる「静かな危機」であるということを、私たちに示してくれているのかもしれません。
◆ 彼らが遺してくれたメッセージ
病気が進行する前に「お酒との付き合い方を見直す」こと。
彼らの最期は、アルコールがもたらす影響のリアルさ、そして「健康は永遠ではない」ということを私たちに伝えています。
「酒は百薬の長」ともいわれますが、「過ぎたるは及ばざるが如し」。
人生を豊かにするはずのものが、命を奪う凶器にならないために——。彼らのエピソードを教訓として、ぜひ今日から少しずつでも「見直し」を始めてみてください。
アルコール性肝疾患と飲酒量の目安
- 日本において、1日平均60g以上の飲酒が「多量飲酒」と分類され、多くのアルコール性肝疾患の発症リスク要因とされています
秋田県公式ホームページ+5M2Plus+5KAKEN+5秋田県公式ホームページ
参考:日本肝臓学会『アルコール性肝障害診療ガイド2022』 - 一方で、肝臓への負荷が少ないとされる「節度ある飲酒」は、1日あたり約20g程度が望ましいとされます
M2Plus大分県厚生農業協同組合連合会 - 国際的な疫学研究では、男性で日本酒換算3合以上(約75g)のアルコール摂取では肝障害リスクの上昇が指摘されています
M2Plus+5秋田県公式ホームページ+5KAKEN+5
🔍まとめ
飲酒量 | リスク分類 | コメント |
---|---|---|
約20g/日以下 | 節度ある飲酒 | 肝臓への負荷が比較的低く、推奨される量 |
60g/日以上 | 多量飲酒 | 肝炎・肝硬変などにつながるリスクが高い |
75g/日〜160g/日以上 | 高リスク | 男性日本酒3合〜、それ以上の連日飲酒で肝障害が起きやすい |

最後に・・・
最後まで記事を読んでいただいてありがとうございました。
アルコール性肝硬変は、悪化すると命に直接関わります。
適度な飲酒を心がけてください。
若い人でもお酒が強い人でも関係なく肝臓に負担はかかっています。
むしろお酒が弱い方の方が飲めない分、肝臓は安全かもしれません。
症状がないからと油断せず、もう一度自分たちの飲酒に対して向き合ってみてください。
KOY



