

※Chat-GPTでの作成のため, 正確な手術絵ではありません
こんにちわ。
虫垂は大腸の最初にある盲腸についている紐状の腸です。
英語では「vermiform appendix」と言われ, 「虫状の + 付録」の意味です。
”盲腸に付いている虫状のもの”
というイメージでしょうか
ところで、みなさんは虫垂炎を経験されたことがありますか?

虫垂炎を経験されたことがない方でも、いつ虫垂炎になるかわかりません。
すべての人に虫垂炎になる可能性があります。
私も経験したことはありませんが、発症した時にどこで手術をしてもらおうか、よく考えます。
自分が働いている病院では、できれば避けたいものです。
色々と恥ずかしいので・・・・
今日は私の経験、勉強したことから虫垂炎の手術についてご紹介できればと思います!
虫垂炎になった方が、手術をすべきかどうかの参考資料にしていただけると嬉しいです。
手術の適応 (どんな時に手術すべき?)
まず言っておきますが、虫垂炎にガイドラインはありません(2025年5月 時点)
・虫垂炎の状態 (単純性、複雑性、穿孔性など)
・痛みの程度
・患者さんの希望 (社会的理由)
・手術室の状況
などを考慮し、医師チーム内で相談、また患者さんと相談し、
総合的に考えて方針を決めます。
つまり、治療方針は病院それぞれであり、一定ではありません。
ある程度の共通認識がある、その程度です。
外科医として手術を進める状況を列挙致します。
1.虫垂に穴が開いて、汚い液体が漏れている場合 (腹膜炎になっている場合)
この場合はほとんどのケースで手術が必要と考えられます。
手術でお腹の中 (腹腔内:ふくくうない)をしっかり洗い、汚染の原因となっている虫垂を切除する必要があります。
もし手術をしなければ、どうなるでしょうか。
腹腔内に膿瘍(膿のたまり)を形成し、長い間、痛みや熱の原因になります。
抗生剤を長期間投与したり、たまった膿を針で外に出す処置(ドレナージ)を繰り返すことで良くなることもありますが、長期間の入院となり、もし治療が効果を示さなければ命にかかわります。
間違いなく、手術がお勧めです。
腹膜炎は命に関わる病気です。

2.痛みが強い時
前提として、虫垂炎は痛みが強いです。
虫垂の走行で痛みがおもて (お腹の表面)に出るかどうかは人それぞれで、重い感じの痛みとおっしゃる方もいます。
救急車で来て、悶絶している人
痛みに強そうだが、虫垂炎が分かった後に聞くと、「結構つらかった」という人
待合室でお腹を抱えて待っている若者
などなど、多くのつらそうな患者さんを見てきました。
勿論、抗生剤治療でも効果を示せば痛みは良くなって行きます。
虫垂炎で痛みがつらそうな患者さんには手術して痛みをとってあげる。これも一つの手術する理由です。
すぐに手術した方が、痛みの期間も入院期間も基本的には短いです。

3.悪化の恐れがある時
虫垂炎は抗生剤が効果を示せば、痛みが良くなってくる、採血で炎症のデータ(白血球:WBCやCRPという項目)が良くなってきます。
しかし、効果を示さない場合もあり、その場合には手術の相談をします。
抗生剤治療を続けて良くなる可能性もありますが、悪化する可能性もあります。
先ほど述べたように、悪化した場合は入院期間が長くなったり、虫垂に穴が開いてドレナージ治療を必要にすることになったりと、患者さんにもつらい思いをさせてしまいますし、医療者側もため息をつきたくなります。
残念ながらある一定数でこのようなことが起きるのが医療である ということは言えますが、
避けれるときは、手術をして早めに治しましょう!

4.患者さんが希望される時
虫垂炎の診断がついたら、治療選択肢やそれぞれの経過予測について一通り説明します。
状況に応じて、医師サイドの提案をしますが、患者さんが希望すればよほどの理由がない限り手術の方針となります。
理由としては、
・手術でしっかり治すことができる
・抗生剤治療で悪化する可能性も少なからずある
といったとこでしょうか。体制が整うのであれば手術となるでしょう。

5.手術室の状況
どんなに患者さんや医師が希望しても、手術室が空いてなければ手術はできません。
腹膜炎が広がってなければ、抗生剤治療も選択肢の1つになり得ますので必ずしも手術というわけではありません。
例えば、命に関わる大動脈解離や脳出血などの手術が被った場合、間違いなくそちらが優先されます。
このように手術室の状況も治療選択に関わってくることがあります。
手術の方法
1.腹腔鏡下の手術 (小さな傷で、カメラを使って行う手術)
現在の主流は腹腔鏡の手術です。
小さな傷であり、ほとんどの虫垂炎の手術に対応ができます。

私も最初にお世話になった病院で腹腔鏡の手術を学んできました。
しかし、まだ開腹手術で行っている病院も少なからずあります。

そのような病院で開腹を選択している理由の1つは
腹腔鏡下だとお腹の中をしっかり洗えないというものでした
確かに腹腔鏡は技術力がひとによって差があるのが現状で、術後に膿が残っていて膿瘍を作ってしまった症例も経験したことがあります。
とても失礼なことを言いますが、年配の先生方は開腹手術で育ってきた方が多く、一部の先生方は時代の変化について来れていないのだと思います。
基本的には腹腔鏡手術をおすすめします。
しかし、しっかり治してもらえればどちらでも良いとも思います!
80歳台や90歳台の患者さんを診察しているときに、右下に手術痕を見かけることが多々あります。
多くの方は10歳台で手術をしたということが多く
そんな昔から虫垂の手術をやっていたのだと思うと、感慨深い気持ちになります。

麻酔の方法
腹腔鏡の手術は必ず全身麻酔です。
寝て、起きると終わってます。
開腹の手術は、全身麻酔でやることが多いですが、たまに脊椎麻酔でやることがあります。
つまり、意識がある状態でお腹から下の感覚をなくして手術するというものです。
脊椎麻酔は痛みはないですが、たまに腸が引っ張られる影響で迷走神経反射が起き、低血圧や嘔気が起こることがあります。
個人的には、麻酔科の先生が対応して頂けるならどれも全身麻酔で行いたいですね。
術後は痛い?
術後の傷は痛いです。
点滴や飲み薬の痛み止めを使ってコントロールします。
それでも当日や翌日は痛いです。
腹腔鏡手術で小さな傷でも痛いですが、傷は小さいので痛みの治りはいい印象です。
・若い女の子でしたが、手術後に傷が痛すぎて悶絶している子もいました
・東京で日帰り手術をした30代男性ですが、手術後に痛すぎて電車で帰れず、結局迎えに来てもらったとうい話を聞きました。
というように結構痛いようです。
私の経験だと、ベッドでじっとし、適宜痛み止めを使うと割と痛みはコントロールできているのかなと思います。
痛いのは承知ですが、手術の翌日から動かないと治りも遅いので、どんどん動きましょう!
手術後の経過は?
術後の経過は施設により様々です。
私が行ってきた術後の経過について説明します。
・手術翌日 (手術後1日目)
採血で問題なければ食事を開始します。
先ほどいったようにどんどん歩いたりしてもらいます。
・手術後3日目
また採血を行います。
かわらず炎症データが改善していれば退院の許可を出します。
炎症データが良くなっていない場合は抗生剤治療を行い、良くなるまで経過を見ます。
炎症がよくならないということは、
お腹の中に残った細菌が悪さをしている可能性があります。
これは、退院後に熱やお腹の痛みで分かることもあります。
術後に退院して症状があれば早めに病院にいきましょう。
私の経験では、抗生剤で速やかに良くなることが多い印象です。
最後に・・・
以上、虫垂炎の手術を中心に説明してきました。
このブログを書いている私が明日に虫垂炎になっていたら面白いですね。
何か、質問があればコメントしていただければお答えします!
最後まで読んでいただいて本当にありがとうございました! KOY
