みなさんの周囲でコロナ感染はどうでしょうか。
私の周りでは落ち着いています、そして臨床の場でもあまりみかけなくなっている印象です。
実際にデータでも昨年よりもだいぶ少なくなっていて、マスクをすることも私生活ではほぼなくなりました。
そんな中、驚きのニュースが飛び込んできました。みさなんにご紹介します。
当ブログ他記事:コロナの現状

新型コロナ飲み薬、約250万人分が使用期限切れで
廃棄に


2025年7月16日、厚生労働省への取材で明らかになった衝撃の事実──
国が購入した新型コロナウイルス感染症の飲み薬が、約250万人分、使用期限切れにより廃棄されたことが報じられました。
当初、国は新型コロナの治療薬として、「パキロビッドパック」(Paxlovid)、「ラゲブリオ」(モルヌピラビル)、「ゾコーバ」(エンシトレルビル)の3種類を合計560万人分ほど購入。
これらは感染症法上の「5類」への移行まで、医療機関や薬局に無償提供されていました。
しかし、このうち使用期限が切れたものは以下の通り廃棄に:
- パキロビッドパック: 約175万人分
- ラゲブリオ: 約78万人分


合計で約250万人分が2024年度までに廃棄されています。
さらに、「ゾコーバ」についても、約177万人分が2026年7月末までに期限切れとなる予定で、廃棄見込みです。

■ なぜこんなに廃棄が出たのか?――背景にある3つの要因

①「万が一に備えた備蓄」だからこその“余り”
新型コロナが猛威をふるっていた当時、治療薬の供給体制は逼迫しており、
特に軽症~中等症患者に使用される経口薬は「確保できるときにできるだけ多く備える」という戦略が取られていました。
これは当然の判断でもあり、「必要なときに足りない」事態を避けるためには、ある程度の“余剰”はやむを得ないとも言えます。
しかし結果的に、感染者数の急減や重症化率の低下により、使用されないまま残る薬が大量に出ることとなりました。
②「無償提供の終了」が使い道を狭めた
特措法にもとづき、国は医療機関や薬局へこれらの治療薬を**“無償”で配布**していました。
ところが、感染症法上の「5類」移行とともに、この無償提供が終了し、薬価の設定と市場流通の体制に切り替わりました。
このタイミングで残った薬を再び無償で配ると、「すでに市場に出ている薬価つきの製品」との競合になってしまい、
製薬企業や医療経済への影響を避けるため、“使わずに廃棄する”という苦渋の判断が取られたのです。
つまり、「使えない薬」ではなく「使ってはいけなくなった薬」でもあった、という点が非常に重要です。
③「社会の状況が急激に変化した」
ワクチン接種の進展や変異株の特徴により、感染しても軽症で済むケースが増えたことも、使用機会の減少に大きく影響しました。
また、2023年5月の「5類移行」によって、国の一括的な感染症対応体制が終了。
患者一人ひとりの治療方針が、より「個別化」されるなかで、全員に抗ウイルス薬を投与するという流れは消えていったのです。
■ 廃棄は“悪”ではないが、「教訓」は残る
もちろん、廃棄そのものを一概に「無駄」と断ずるのは早計です。
命を守るための“備え”にはある程度の余剰がつきものですし、感染爆発のリスクが残る中で「薬が足りない」という状況は何としても避けるべきでした。
ただし、今回の件は以下のような今後への教訓を含んでいます:
- 「使用期限」や「流通体制」を見越した柔軟な購入スキームの設計
- 「余剰薬」の再利用・寄付・他国提供などの有効活用ルートの整備
- 状況が落ち着いたときの「スムーズな制度移行」と「使い切る工夫」

■ 私たちは、感染対策や薬のあり方をどう考えればいい?

今回のニュースは、「大量のコロナ飲み薬が期限切れで廃棄された」という、やや衝撃的な内容でした。
でも、ここから私たち一人ひとりが何を感じ、どう行動すればいいのでしょうか?
①「薬は魔法の道具」ではない
薬は“あれば安心”な存在である一方、保存や使用に限りがある繊細な医療資源でもあります。
特に感染症の治療薬は、病状・タイミング・体調に合わせて初めて意味を持つもの。
必要以上に薬に依存したり、ネットの情報に流されて「とりあえず飲んでおく」という行動を取ることは、
逆に自分の健康を危険にさらす可能性があるということも、改めて意識しておきたいポイントです。
② 予防は“地道だけど最強”
もう一つ忘れてはいけないのは、「予防は最も効果的で、コストもかからない」という事実。
マスクや手洗い、体調不良時の外出自粛――コロナ禍で私たちが身につけた行動は、今もなお他の感染症に対する強力な防衛手段です。
「薬があるから大丈夫」ではなく、「かからないように気をつける」という意識を、これからも持ち続けることが大切です。
③ 公共の医療資源は“みんなのもの”
今回廃棄された薬は、税金で購入されたものであり、本来なら多くの命を救うはずだった資源です。
これを機に、「医療資源は有限で、みんなで大切に使っていくべきもの」だという意識を持つことが、
社会全体でより良い医療のかたちを築く一歩になるのではないでしょうか。
■ おわりに
コロナ禍という大きな波を経て、私たちは“健康との向き合い方”をアップデートしてきました。
これからも「正しく知って、冷静に行動する」ことが、自分と周りを守る最大の武器になります。
かわらずコロナを含め、病気の予防を意識していきましょう。
KOY


