麻疹はなぜ“麻”と“疹”なのか―なぜ“はしか”と言われるのか―歴史的意味について

「はしかって、聞いたことあるけど最近あまり聞かない病気だよね」


――そんなふうに思う人も多いかもしれません。

実は、**はしか(麻疹)**は昔から世界中で恐れられてきた感染症のひとつ。


今ではワクチンのおかげで珍しくなりましたが、かつては命にかかわることもある“こわい病気”でした。

ところで、ふと疑問に思いませんか?


なぜ「麻疹」と書いて「はしか」と読むのか。


そもそも「はしか」という名前はどこから来たのか。


そして、大昔の人たちは“はしか”をどんな病気として捉えていたのか。

今回は、そんなちょっと気になる「はしかの名前と歴史」について、やさしく解説していきます。

当ブログ:麻疹とは?

他サイト:武将ジャパン

麻疹(はしか)の名前の由来

「麻疹」という漢字の意味

「麻疹」は、文字どおり “麻の実のようなぶつぶつ” を意味しています。
昔の人は、麻疹にかかると顔や体に細かい赤い発疹が出る様子を、麻の実がびっしり並んだ様子になぞらえました。そのため「麻疹(ましん)」という漢字が当てられるようになったといわれています。

つまり、病気そのものよりも見た目の特徴を名前にしたわけですね。


なぜ「はしか」と呼ぶのか

一方で日本では「はしか」と呼ばれてきました。
この言葉の語源には諸説ありますが、代表的なのは以下の2つです。

  1. 「経過する病」説
    昔の人は「はしか」を「子どもが一度は通る病気」と考えていました。
    つまり“はしか”は 「経過する」「通過する」 という意味から来ている、と言われています。
  2. 「年端(としは)」が関係する説
    「年端(としは)」=年齢のことを表す古語から、「はしか」という呼び方が派生したという説もあります。
    子どもが成長の過程で一度は経験する病気、というイメージから来ているわけですね。

どちらにしても、**「子どもの成長と一緒に一度はかかるもの」**というイメージが、はしかという呼び名に反映されていたと考えられます。


日本での歴史的な認識

日本の歴史書には、奈良時代(8世紀ごろ)から麻疹と思われる流行の記録が残っています。
当時は「はしかは命にかかわることもあるが、乗り越えると丈夫になる」と考えられていました。だからこそ“成長の通過点”として「はしか」と呼ばれたともいえるでしょう。


📌 まとめると:

  • 「麻疹」=発疹が麻の実のように見えることから。
  • 「はしか」=子どもが一度は通る病気だから(経過説や年端説)。
  • 昔の人にとって“はしか”は、恐ろしい一方で「成長の通過儀礼」のような意味合いも持っていた。
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大昔のはしか観(日本や世界でどう恐れられていたか)

日本における「はしか」

日本最古の記録は奈良時代(8世紀)にさかのぼります。

『続日本紀』には、麻疹と思われる流行が記録されており、すでに当時から恐れられていたことがわかります。

江戸時代に入ると、麻疹は「はしか」と呼ばれ、人々にとって避けられない子どもの通過儀礼のように考えられていました。

しかし、単なる“通過儀礼”といっても実際は深刻で、流行のたびに多くの命が失われました。

江戸時代の書物には「はしかで何万人も亡くなった」との記録も残っており、人々はその猛威を「はしか騒ぎ」と呼んで恐れたそうです。

一方で、「一度かかれば二度はかからない」という経験則が知られていたため、「はしかを乗り越えれば丈夫に育つ」とも信じられていました。


世界における麻疹

世界でも麻疹は古くから存在し、紀元前から流行があったと考えられています。

6世紀のペルシャの医師ラジス(Rhazes)は、天然痘と麻疹をはじめて区別した人物として知られています。

それまでは「発疹が出る病気」として一括りにされていたのです。

ヨーロッパでは中世以降、麻疹の大流行が何度も記録されています。

特に大航海時代には、新大陸へ持ち込まれた麻疹が先住民社会に壊滅的な打撃を与えました。

免疫を持たない人々にとって、致死率は非常に高く、歴史の流れを変えるほどの影響力を持っていたのです。


共通する「恐怖」と「通過儀礼」

日本でも世界でも共通していたのは、**「麻疹は恐ろしい流行病である一方、避けては通れないもの」**と認識されていた点です。

現代のようにワクチンも治療法もない時代、人々は経験から「はしかは命を奪うが、乗り越えればもう安心」という理解にたどり着いていました。

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ワクチン登場でどう変わったか

長い歴史の中で人々を苦しめてきた麻疹ですが、20世紀に大きな転機が訪れます。

それが ワクチンの開発 です。

ワクチン誕生の背景

1963年、アメリカで世界初の麻疹ワクチンが実用化されました。

その後、より改良された弱毒化ワクチンが登場し、世界各国で導入が進みました。

日本では1978年から定期接種が始まり、2006年以降は「2回接種」が推奨されるようになりました。


劇的に減った患者数

ワクチンが普及したことで、麻疹はまさに 「予防できる病気」 となりました。

流行のたびに数万人単位の死者が出ていた時代と比べると、患者数は劇的に減少。

特に日本では2000年代後半以降、流行が大幅に抑えられています。


それでも油断はできない

ただし、完全になくなったわけではありません。

麻疹ウイルスは非常に感染力が強く、「空気感染」 で広がるため、免疫を持たない人がいればすぐに流

行につながります。


海外での流行が持ち込まれることもあり、時折「麻疹の集団感染」がニュースになるのはそのためです。

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まとめ・・・

麻疹(はしか)は、

  • 「麻疹」=麻の実のような発疹
  • 「はしか」=子どもの通過儀礼的な病気

として古くから恐れられながらも、人々にとって身近な存在でした。

日本や世界で大流行を繰り返し、多くの命を奪ってきた歴史もあります。

しかし、1960年代にワクチンが登場してから状況は大きく変わりました。

今では「予防できる病気」となり、昔のように社会を揺るがすほどの流行はほとんど見られなくなっています。

それでも、麻疹は感染力が非常に強い病気です。

「昔の病気」と油断せず、ワクチンによる予防の大切さを、歴史を通じて改めて思い出したいですね。

KOY

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