
2025年、日本各地ではしか(麻疹)の感染報告が相次いでいます。
厚生労働省のまとめによると、今年すでに過去5年分の年間報告数を超える勢いで患者数が増えており、首都圏や関西だけでなく全国的に広がりを見せています。
特に海外から持ち込まれる「輸入例」が多く、旅行や出張をきっかけに感染が広がるケースも少なくありません。
「はしかなんて昔の病気でしょ?」と思われがちですが、実は感染力は新型コロナ以上に強く、ワクチンを接種していない人が感染するとほぼ100%発症する恐ろしい感染症です。
子どもだけでなく大人も油断できず、肺炎や脳炎などの重い合併症を引き起こすこともあります。
今回の記事では、最新のはしか流行状況とともに、症状の特徴、ワクチン接種の重要性、そして日常生活でできる予防策について、解説していきます。

ニュース:はしか患者急増 福岡県、8月だけで5人 「早めのワクチン接種を」

感染力が非常に強い麻疹(はしか)の患者が、福岡県内でも急増している。県は17日、県内ではしかに感染した人が8月だけで5人いたと発表した。県は「マスクや手洗いだけでは予防できず、ワクチンが非常に有効。まだ受けていない子どもは早めの接種を」と呼びかけている。
県によると、4~15日に福岡市や春日市などの0歳~40代の男女5人がはしかに感染。いずれも海外渡航歴はないという。うち3人は発症日前後に、福岡市地下鉄を利用したり、大分県のテーマパークを訪れたりしていた。
2025年の県内の患者は17日時点で計8人。新型コロナウイルスが広がり海外渡航者が激減した20年以降、年間0~1人とほとんど感染は発覚していなかった。全国的に患者が増加傾向にあり、県内も今年に入って増加が目立っている。
はしかは飛沫(ひまつ)や接触で感染し、約10日間の潜伏期間を経て発症。39度以上の高熱と発疹などの症状が表れる。まれに肺炎や脳炎を発症し、死亡することがある。
はしかは、ワクチン接種や免疫がなければ、感染すると高い確率で発症するといわれる。公共交通機関など不特定多数の人が集まる場所では、感染が一気に広がる恐れがある。県の担当者は「疑わしい症状がある場合は病院に相談し、公共交通機関を避けるなどして受診してほしい」と呼びかけた。
【田崎春菜】

データで見る「今」の日本
2025年1〜4月に報告されたはしか患者数は58人。これは過去5年間の年間合計を既に上回る勢いで、多くの地域で感染が確認されています。特に東京都・神奈川・大阪・兵庫で多発し、全国的な広がりが懸念されます。
感染の半数以上(約57%)は海外での感染が推定されており、ベトナムからの輸入例が最も多いことがわかります。ワクチン接種歴をみると、未接種者には重症化リスクも高く、感染リスクの高さが浮き彫りになりました。さらに、定期接種率も95%の目標にはわずかに届かず、「あと一押し」の改善が望まれる状況です。

はしか(麻疹)とは?

はしか(麻疹)は麻疹ウイルスによって引き起こされる急性のウイルス感染症です。人から人へと空気感染・飛沫感染・接触感染で広がり、感染力は非常に強く、新型コロナの数倍とも言われています。免疫を持っていない人が感染した場合、ほぼ100%発症するとされるほど、避けられない感染症です。
主な症状
- 高熱(38〜40℃以上):数日続くことが多い
- 咳・鼻水・結膜充血(いわゆる「カタル症状」)
- 特徴的な発疹:顔から始まり、全身へと広がる赤い発疹
- コプリック斑:頬の内側に白い斑点が出現する、はしか特有の所見
通常、症状は感染から約10日で出現し、発疹が出る前から感染力を持ちます。つまり、症状が出る前から周囲にうつしてしまう点が、流行のコントロールを難しくしています。
合併症
はしかは単なる発疹熱ではなく、重篤な合併症を引き起こす可能性がある病気です。
- 肺炎
- 中耳炎
- 脳炎(急性脳炎:約1,000人に1人、亜急性硬化性全脳炎:数万人に1人、数年後に発症)
特に小児や免疫力が低下している人では、命に関わる危険性があります。
治療法と予防
現在、はしかに対する特効薬はありません。治療は対症療法が中心であり、合併症を防ぐためには適切な支持療法が重要です。
一方、ワクチンによる予防は非常に効果的で、2回の接種でほぼ100%の人が免疫を獲得します。日本でも定期予防接種に組み込まれていますが、接種率のわずかな低下が流行再燃につながっています。


過去のはしか流行はいつ?
日本ではしかが流行した主な年
年 | 主な流行地域・背景 | 報告数の目安 | 特徴・影響 |
---|---|---|---|
2007〜2008年 | 首都圏中心、大学・高校で拡大 | 約10,000件以上 | 大規模流行。休講・休校相次ぐ。ワクチン2回接種制度が強化。 |
2011年 | 東日本大震災の影響+海外持ち込み | 約400件 | 接種停滞+輸入例が契機。 |
2014年 | 大阪府中心 | 約400件 | 若年層・未接種者に多い。輸入例由来。 |
2018年 | 沖縄(182件)、愛知(約100件) | 全国で約280件 | 台湾からの輸入例が沖縄流行の発端。観光客への影響も大きい。 |
2019年 | 愛知県中心 | 744件 | 世界的流行と並行。国内でも再燃への警戒強まる。 |
2025年 | 東京・神奈川・大阪・兵庫など | 1〜4月で58件 | 既に過去5年分の年間数を超過。輸入例(特にベトナム)が多い。 |

まとめ・・・
2025年、日本ではしか(麻疹)の報告数が増加し、わずか数か月で過去5年間の年間報告数を上回りました。国内での感染だけでなく、海外からの輸入例が多いこと、そしてワクチン未接種者が依然として一定数存在することが、流行を後押ししています。
はしかは「昔の病気」と思われがちですが、感染力は非常に強く、合併症のリスクも高い現在進行形の感染症です。特効薬はなく、唯一の予防手段はワクチン接種です。
今日からできる対策ポイント
- ワクチン接種歴を確認する
母子手帳や接種記録を見直し、未接種や1回接種のみの場合は医療機関へ相談を。 - 渡航やイベント参加前の注意
特にアジア諸国では流行が続いており、海外旅行・出張前には最新情報を確認。 - 体調不良時は早めに受診・周囲への配慮を
発熱や発疹がある場合は受診前に必ず電話で相談し、院内感染を防ぎましょう。
KOY
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