SNSで話題の“7月5日大地震説” 医師が考える“命を守る情報リテラシー”

最近、SNSや動画サイトを中心に「2025年7月5日に大地震が起こる」という予言が話題になっています。


「地震雲を見た」「未来人が警告している」「人工地震が…」といった投稿が拡散され、不安を抱いている方も少なくないのではないでしょうか。

医療の現場にいると、「先生、本当に7月5日って地震あるんですか?」といった声を耳にすることがあります。


特に災害時には、命を守る判断力や健康への影響が大きく問われるため、医療者としても無関係ではありません。

今回は、「予言の真偽」そのものではなく、“不安をあおる情報”とどう向き合うか、そして私たちが“本当に備えるべきこと”は何かを、医師の立場からお話ししたいと思います。

1.予言とは何か?実際の根拠は?

2.いま、本当に大事な備えとは

3.まとめ

1. 予言とは何か?実際の根拠は?

「2025年7月5日に巨大地震が起こる」――


この“予言”の元ネタとして注目を集めているのが、たつき諒さんの著書『私が見た未来 完全版』です。


これは、著者が夢で見た出来事を記録し、その一部が現実となったことから“的中率が高い”と話題になった漫画作品です。


📖 予言の中身:『私が見た未来』で描かれたこと

  • もともと1999年に初版が出版され、その表紙に「大災害は2011年3月」と記載されていたことから、「東日本大震災を予知していた」と話題になりました。
  • その後、2021年に『完全版』として再発行された際、新たに描き下ろされたパートにおいて、「2025年7月5日に大災難が起こる」という内容が登場。
  • 著者によると、夢で見た「火山の噴火や津波、地震のようなビジョン」がこの日付と結びついていたそうです。
  • 『私が見た未来 完全版』では、「日本とフィリピン間の海底が裂け、そこが隆起して沸騰し、巨大津波が発生」するというビジョンが描かれています
  • その津波の規模は東日本大震災のおよそ3倍とされ、太平洋を襲う可能性があると報道されています。


🔥 噴火・地震・津波? 内容はかなり曖昧

たつき諒さんが見たとされる夢の内容は、「津波にのまれる街」「山が噴火する光景」などが断片的に語られており、具体的な地名や規模は不明です。

また、フィリピン海と重なる領域での地震や海底火山活動、それに起因する“沸騰”のビジョンが連想され、SNSでは「人工地震」「隕石説」などさまざまな解釈が生まれています。


しかし、こうした描写が「日本列島のどこかで大災害が起こるのでは」と想像され、SNSなどで拡大解釈が進んでいきました。

さらに一部の発信者が「南海トラフと重なる」「富士山噴火の予兆か?」といった独自の解釈をつけて発信したことにより、不安が増幅していったと考えられます。


💡 科学的な根拠はあるのか?

現時点で、2025年7月5日に地震や噴火が起こるという科学的根拠は一切ありません。


たとえば、南海トラフ巨大地震に関しても、政府は「今後30年以内に70〜80%の確率で発生する」としていますが、日付を特定する予測はできていません。

地震も火山噴火も、予兆はあっても“確定的な発生日”を事前に予知する手段は今の科学には存在しないのです。

🌐 国際的拡散と影響

  • この予言は日本だけでなく東アジア全体で注目を集め、香港や台湾では旅行客による日本行きキャンセルが報じられていますen.wikipedia.org
  • CNNによると、宮城県知事や気象庁官房長官も記者会見で「科学的根拠がない」「日時指定の地震予知は
  • 不可能」と否定し、冷静な対応を呼びかけていますtoyokeizai.net+1cnn.co.jp+1

🧪 科学的見地からの考察

  • 気象庁は「日時と場所を特定した地震予知は不可能」と明言していますtoyokeizai.net
  • 海底隆起や“沸騰”という描写についても、現代科学では「海底火山活動でもそのような劇的な変化は予測できず、むしろモニタリング対象」ですtoyokeizai.net
  • フィリピン海・南海トラフは地震頻発地域ですが、「いつ」どこで“裂ける”かは現時点で判断できませんtimesofindia.indiatimes.com+6zh.wikipedia.org+6ameblo.jp+6


🧠 なぜ人はこのような予言を信じるのか?

  • 過去に“当たった”と感じた経験がある(=東日本大震災の予言)
  • 「日付が具体的」だと信ぴょう性が高く感じられる
  • SNSや動画配信で繰り返し目にすることによる“刷り込み効果”
  • 将来の不安を“わかりやすい形”で表現してくれる存在を求める心理(=救世主信仰的側面)

🩺 医師としての立場から

科学と非科学の違いを明確にしたうえで、


予言に怯えるのではなく、「その日までに何ができるか」「どんな備えが自分と家族を守るか」防災について意識を向けることが、大事だと思います。

災害は“起きるかどうか”よりも、“起きたときにどう行動するか”が命を分けます。


その意味で、予言がきっかけで防災意識が高まるきっかけになればいいですね。

2.いま、本当に大事な備えとは

「7月5日に何か起こるかも…」


そんな予言に触れて不安を感じたときこそ、私たちが“本当に備えるべきもの”を見直すチャンスです。

災害は予言通りには起こらないかもしれません。しかし、日本は地震・津波・台風など、いつ・どこで起きてもおかしくない災害大国です。


その現実に備えることこそが、“命を守る行動”と言えるのではないでしょうか。


🧳 1. まずは「最低3日間」を生き延びる備えを

災害直後、行政や医療の支援が届くまでには時間がかかります。


そのため、最低3日間は自力で過ごせる備えが推奨されています。

✅ 備えておきたいもの(例):

  • 飲料水(1人あたり1日3L × 3日分以上)
  • 長期保存食(レトルト・缶詰・栄養補助食品など)
  • 常備薬、処方薬、目薬や胃薬など
  • モバイルバッテリー、乾電池、懐中電灯
  • 簡易トイレ、生理用品、マスク、ウェットティッシュ
  • 乳児や高齢者がいる家庭では、それぞれに必要な物資も考慮を

こうした備蓄は、予言の有無にかかわらず、誰にとっても必要な防災行動です。


🗂️ 2. 情報の「混乱」にも備える

大災害の際にもうひとつ怖いのは、誤情報の拡散です。

SNSでは「◯◯に津波が来る」「○○病院は閉鎖中」といった未確認情報が急速に広まり、パニックを助長することもあります。

✅ 対策:

  • 信頼できる情報源(気象庁、NHK、自治体、防災アプリなど)を事前にブックマーク・登録
  • 家族や大切な人と、「連絡手段」や「避難場所」をあらかじめ共有

「情報も備える時代」だと意識しましょう。


🏥 3. 医師として伝えたい“健康面”の備え

被災地では「慢性疾患の悪化」や「衛生環境の悪化」による感染症が問題になります。


また、避難生活が長引くことで、体調不良や精神的なストレスも大きくなります。

✅ 健康を守るために:

  • お薬手帳は必ず持ち歩く
  • 定期通院が難しくなることを見越して、薬を多めにもらっておく
  • 食事・水分・睡眠をできるだけ確保
  • 心のケア:災害時には、話すこと・共有することが助けになります

☀️ 不安を「準備」に変える、それが一番の防災

予言に怯えて過ごすより、“来るかもしれない災害”に対して前向きに備えることが、私たちの心を守り、命を守る第一歩です。


備蓄も、防災グッズも、連絡体制も、「不安」を「安心」に変えるツールだと考えましょう。

3.まとめ

とうとう2025年7月5日が近づいてきました。

子供の頃の、ノストラダムスの大予言を思い出します。確か1999年、

あの頃も同じような心境で、何もせず、何も起きませんでした。

それから26年・・・・

東日本大震災を中心として多くの災害を経験してきました。

有事に備え、準備すべきことは常日頃から必要でかわりはありません。

今一度、防災を意識してみてください。

KOY

本ブログ他記事:熱中症/救急車夏バテ/牛乳