#7119は何番?どんなときに使える?救急相談ダイヤルの基礎知識

1. はじめに:救急医療と「迷い」の現状

夜中に子どもが突然高熱を出したとき、あるいは自分が急に胸の痛みを感じたとき、「救急車を呼ぶべき?」「それとも朝まで待って病院に行けばいい?」と迷った経験はありませんか?

日本では救急車の出動件数が年々増加しています。

総務省消防庁の統計によれば、救急出動件数は年間600万件を超え、そのうち約半数は軽症例ともいわれています。

本当に救急搬送が必要な重症患者がいる一方で、「もしかしたら大丈夫かもしれないけど不安だから呼んだ」というケースも少なくありません。

こうした背景から生まれたのが、電話1本で救急医療の相談ができる 「#7119(救急安心センター)」 です。

この仕組みは、救急車を呼ぶか迷ったときに医療の専門家へ相談できる全国的な窓口として、少しずつ普及しています。

総務省消防庁

2. #7119とは何か

「#7119」は、救急安心センター事業の全国共通ダイヤルです。

地域によって運営主体は異なりますが、基本的には医師や看護師、救急救命士などの専門職が電話に対応し、症状の緊急度を判断してくれます。

対応エリアは徐々に拡大しており、東京、大阪、愛知など大都市圏ではすでに広く利用されています。

今後は全国普及を目指して厚生労働省や消防庁が推進しており、地域ごとの医療体制に合わせて運用されています。

3. 利用方法と対象範囲

利用方法はとてもシンプル。携帯電話や固定電話から 「#7119」 をプッシュするだけです。

  • 利用時間:多くの地域では24時間365日対応
  • 対象者:原則としてその地域に住んでいる、または滞在している人
  • 料金:相談料は無料(通話料のみ利用者負担)

もし自分の住んでいる地域で「#7119」が導入されていない場合、自治体ごとに別番号が設けられていることもあります。事前に確認しておくと安心です。

4. 相談できる内容と緊急度判定

#7119では、症状の緊急性を聞き取りながら**「今すぐ救急車を呼ぶべきか」「受診は必要だが自分で病院に行けるか」「自宅で様子を見ても良いか」**といったアドバイスを受けられます。

相談できる例としては、

  • 子どもが急に高熱を出した
  • 軽い胸の痛みがあるが救急車を呼ぶほどか分からない
  • 転倒して頭を打ったけれど、意識はある
  • 夜中に吐き気が強く、翌朝まで待てるか不安

などがあります。

逆に、呼吸が止まっている、大量出血している、強い胸痛や意識障害があるといった明らかに緊急性が高いケースでは、ためらわずに 119番へ直行 する必要があります。#7119はあくまで「判断に迷うときの相談窓口」なのです。


5. メリットと課題

メリット

  • 不安の軽減:専門家に相談することで「大丈夫かな?」という不安が解消される
  • 医療資源の効率化:本当に必要な患者に救急車を優先できる
  • 適切な医療機関の案内:夜間や休日でも、受診可能な病院を紹介してもらえる

特に、救急車を不要に使ってしまうケースを減らせる点は、社会全体にとって大きなメリットです。

課題

  • 全国普及が未達:まだ導入されていない地域も多い
  • 混雑や待ち時間:電話が集中すると繋がりにくいことも
  • 判断の限界:電話越しの情報で症状を完全に把握するのは難しい

つまり、#7119は万能ではなく、利用者自身が「本当に危険かも」と思ったら迷わず119番を使う判断力も必要です。


6. 臨床・研究の視点から見た#7119

医療者の視点から見ると、#7119は単なる相談窓口にとどまりません。得られるデータは、救急医療の改善につながる可能性を秘めています。

  • データ収集:相談件数、緊急度分類の割合、受診行動との関係
  • 経済効果:救急車出動件数の抑制によるコスト削減
  • リスク分析:誤って「軽症」と判断されたケースの検証
  • 患者満足度:安心感や心理的サポートの評価

これらのデータは、救急体制の見直しや医療政策にとって貴重な材料になります。たとえば、東京消防庁では#7119を通じた相談のうち、多くが「自力受診可能」と判断され、救急車の不必要な出動を防げたと報告されています。


7. 実際の利用シナリオ

ケース1:夜中に子どもが高熱

母親は「朝まで様子を見ていいのか」「救急車を呼ぶべきか」と迷い、#7119へ電話。
看護師から「水分が取れていて意識がしっかりしていれば、明日朝に小児科受診で問題ない」とアドバイスを受け、安心して対応できた。

ケース2:中高年男性の胸の違和感

軽い胸痛が断続的に続き、「大したことないかも」と思いつつも不安で#7119へ相談。
オペレーターは症状を聞き取り、「心筋梗塞の可能性が否定できないため救急車を要請してください」と判断。結果的に早期搬送につながり、一命をとりとめた。

これらの例からも分かるように、#7119は単なる便利ツールではなく、命を守る分岐点になり得るのです。


8. まとめと呼びかけ

#7119は、「救急車を呼ぶべきか迷ったとき」に頼れる全国共通の救急相談ダイヤルです。

  • 電話番号は #7119
  • 24時間365日、専門家が対応
  • 相談料は無料(通話料のみ)

ただし、あくまで「相談・判断の補助」であり、命に関わる緊急時は119番が最優先です。

この制度を多くの人が知り、適切に利用することで、救急医療の効率化につながり、ひいては自分や大切な人の命を守ることができます。

ぜひ、この記事をきっかけに「#7119」の番号を携帯に登録し、家族や友人にもシェアしてください。いざというとき、あなたの冷静な判断を助けてくれる強力な味方になります。

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