


① 簡単な比較
② 仕組みの違い
病院で「CTを撮りましょう」「MRIの予約を入れますね」と言われたことはありませんか?
なんとなく聞き慣れているけれど、
「結局CTとMRIって、何が違うの?」と疑問に思ったことがある方も多いのではないでしょうか。
実はこの2つ、仕組みも得意分野もまったく違う検査なんです。
そして医療現場では、症状や目的によって使い分けがしっかりされています。
今回は医師の立場から、CTとMRIの違いをできるだけわかりやすく・やさしく解説します!
検査を受ける前に知っておくと安心できるポイントもまとめましたので、ぜひ参考にしてください😊

他サイト参照:Middown Clinic



① 簡単な比較
どちらも体の中を詳しく調べるための画像検査ですが、実は仕組みも得意な分野もまったく違います。
まずは表でその違いをざっくり見てみましょう。

このように、
- CTはX線を使って素早く撮影できるため、骨や肺、出血などの評価に向いています。
- 一方、MRIは磁場と電波を利用して、体の水分をもとに画像を作るため、脳や関節、軟部組織の描出が得意です。
検査の選択は、症状や診たい部位によって医師が判断しています。
次の項では、それぞれの仕組みや特徴について、もう少し詳しく見ていきましょう!



② 仕組みの違い
最大の違いは、「身体の中をどうやって見ているのか」という”仕組み”です。
どちらも体の断面を画像にする検査ですが、使っている“道具”がまったく異なります。



◆ CT:X線で体を輪切りにスキャン
CT(Computed Tomography)はX線を使った検査です。
簡単に言うと「レントゲン写真を360度から撮って、コンピュータで立体的に再構築するイメージ」です。
🌀 X線は骨や空気、出血などをはっきり映すのが得意。
📸 撮影も数十秒〜数分と非常にスピーディー。
🚑 そのため、外傷や救急現場ではCTがよく使われます。




◆ MRI:磁石と電波で体の水分を可視化
MRI(Magnetic Resonance Imaging)は強力な磁場と電波を使った検査です。
体の中にある「水分(=水素原子)」の反応を読み取って、映像化するのが特徴です。
💡 水分が多い組織、つまり脳・脊髄・関節・筋肉・臓器などの描出に優れる。
🕰 撮影には時間がかかる(数分〜30分)けれど、細かい構造がよくわかる。
📵 放射線を使わないので被ばくはありません。




🧠 つまりCTは「スピード&骨・出血に強い」
MRIは「じっくり&やわらかい組織に強い」
それぞれが得意分野を持つ、“見るためのメガネ”なんです。
③ 【それぞれ得意な分野】臨床現場の例で
それぞれ「得意なフィールド」があります。
実際の臨床では、診たい場所・疑われる病気・必要なスピードに応じて、検査を選んでいます。
ここでは、医療現場での代表的な使い分けの例をご紹介します。
◆ CTが得意なシーン
🚑 事故や外傷でケガをしたとき
→ 骨折や頭部外傷の出血確認に。撮影が速く、救急で大活躍!
🫁 肺炎・気胸・肺がんの精査
→ 空気のある肺はX線と相性抜群。細かい病変も見逃しにくい。
🧠 脳出血やくも膜下出血の初期診断
→ 緊急性が高いケースで、まずCTで出血の有無をチェック。
🩺 腹痛で原因を調べるとき(虫垂炎、腸閉塞、腫瘍など)
→ 消化管や腹部臓器のトラブルを短時間で評価できる。



◆ MRIが得意なシーン
🧠 脳腫瘍・脳梗塞・多発性硬化症の精密検査
→ 脳の構造が細かく映るため、腫瘍の広がりや微細な病変を捉えやすい。
💥 椎間板ヘルニアや脊髄疾患
→ 神経や椎間板などの軟部組織をしっかりと描出。
🏃♂️ 膝・肩など関節のケガ(靭帯や半月板損傷)
→ レントゲンやCTでは見えにくい部分も鮮明に映る。
🫀 心臓や肝臓、膵臓の腫瘍や構造異常の評価
→ 臓器の質的な情報(硬さ、炎症、血流など)を詳細に分析可能。



💡 スピードが必要=CT
詳細に観たい=MRI
こうしたシンプルな使い分けが、現場の判断を助けています。




④ 患者さんからのよくある質問Q&A
CTやMRIを受けるとき、患者さんからよく聞かれる質問をまとめました。
「そうそう、そこが気になってた!」という疑問、ここでスッキリ解消しましょう!
Q1. CTって、何回も受けても大丈夫ですか?
A.
CT検査はX線を使うため、放射線被ばくがあります。
ただし、通常の検査であれば健康への影響は非常に少ないとされています。
とはいえ、必要最低限にとどめることが基本ですので、繰り返し検査が必要な場合は医師が適切に判断します。
Q2. MRIって閉所恐怖症でも大丈夫?
A.
MRIは筒状の機械の中で数分〜30分横になる必要があります。
そのため、閉所が苦手な方には不安が強いことも。
事前にスタッフに相談していただければ、開放型MRIの選択や、鎮静剤の使用なども検討できます。
Q3. 検査中は痛みがありますか?
A.
CTもMRIも、検査自体はまったく痛くありません。
ただし、MRIは音が大きく(ドンドン・ガーガーといった音)、驚かれる方もいます。
イヤホンや耳栓を使って音を和らげる工夫がされていますのでご安心ください。
Q4. 造影剤ってなに?副作用はある?
A.
より詳しく病変を見たい場合、「造影剤」という薬を注射して検査をすることがあります。
CTではヨード造影剤、MRIではガドリニウム造影剤が使われます。
稀にアレルギー反応や腎機能への影響があるため、過去のアレルギー歴や腎臓の状態を事前に確認します。
Q5. 妊娠中でも検査できますか?
A.
妊娠中は基本的にCTは避けるのが原則です(放射線の影響があるため)。
一方、MRIは放射線を使わないため比較的安全とされていますが、妊娠初期など慎重に検討されます。
いずれも、妊娠の可能性がある場合は事前に医師に伝えましょう。



⑤ 安心して検査を受けてもらうために
CTやMRIは、体の中を詳しく調べるために欠かせない検査です。
それぞれの検査には特徴があり、「怖い」「不安」と感じることもあるかもしれませんが、
医師や技師が検査の目的に応じて最適な方法を選び、安全に行っています。
特に最近は、
✅ 低被ばくのCT
✅ 開放型のMRI
✅ 音対策・閉所対策の進化
など、患者さんの負担を減らす工夫もどんどん進んでいます。
また、検査前に疑問や不安があれば、遠慮なく相談することが大切です。
「こういうこと聞いてもいいのかな?」という内容でも、
一言聞いてもらえるだけで、より安心して検査を受けられることが多いと思います。
🔍 「自分の体を知る手がかり」になるCTとMRI。
正しく理解して、安心して検査にのぞんでください!
KOY



