
朝晩の冷え込みが強まり、いよいよ「インフルエンザの季節」がやってきました。
皆さん、ワクチン接種はもうお済みでしょうか?
今年は例年よりも早い時期から患者数が増え始め、ニュースでも「定点あたり報告数が上昇」と取り上げられています。
つまり、すでに全国のあちこちで流行の波が広がりつつあるということです。
実は今年のインフルエンザには、いくつかの“特徴”があります。
感染のピークが早まる可能性、複数の型(A型・B型)が混在している点、そして新型コロナとの同時流行(いわゆる“ツインデミック”)が懸念されている点です。
外来でもすでに発熱・咳・倦怠感で受診される方が増えています。
この記事では、最新の報告データを踏まえながら、今年のインフルエンザの流行状況と注意点、そして今からできる予防策について医師の立場からわかりやすく解説します。
KOYブログ:インフルエンザワクチンについて、秋のインフルエンザ情報

ニュース:インフルエンザ患者数が注意報レベルに 県が注意をよびかけ

山形県内のインフルエンザ患者が急増しています。 県は先週、インフルエンザの流行入りを発表しましたが、今週の発表で患者数が注意報レベルになりました。
インフルエンザ患者数が注意報レベルに 県が注意をよびかけ(山形) 県衛生研究所によりますと、先月27日から今月2日までに県内39の定点医療機関から報告があったインフルエンザの患者数は、前の週より451人増加し597人でした。 一定点医療機関あたりでは15.31人となっています。目安とされる10人を上回り、注意報レベルとなりました。 県は先週、インフルエンザが流行入りしたとしていましたが、その翌週に注意報レベルとなり、これほど早く注意報レベルになるのははじめてのことです。
保健所別では置賜で262人、村山で170人、山形市で67人、最上で53人、庄内で45人となっていて、置賜保健所で警報レベル、村山と最上保健所で注意報レベルとなっています。 確認されたインフルエンザ患者597人のうちA型は590人、B型は7人でした。 インフルエンザは例年11月ごろから患者数が増え、3月まで流行が続くとして県が注意を呼び掛けています。
定点あたりって何?

ニュースで「定点あたり報告数が上昇」と聞くことがありますが、この“定点”とはいったい何を指すのでしょうか?
実はこれ、全国の感染症動向を把握するために、厚生労働省が指定している医療機関のことを指します。
つまり「定点医療機関」とは、地域ごとの流行状況を継続的に報告してくれる“観測所”のような役割を持つ病院・クリニックなのです。
「定点医療機関」とは?
インフルエンザの場合、全国でおよそ5000カ所前後の医療機関が定点として登録されています。
これらの医療機関では、1週間ごとに「インフルエンザと診断された患者数」を保健所を通じて報告します。
その集計結果をもとに、各都道府県や国が「どの地域でどの程度流行しているか」を評価します。
たとえば千葉県なら、数十~百数十の医療機関が“定点”として報告を行っています。
一つひとつの病院の患者数は限られていますが、これを集めて平均化することで、地域全体の感染状況を客観的に把握できるというわけです。
なぜ「定点あたり報告数」を使うのか
都道府県によって人口や医療機関数が違うため、単純に「患者数○○人」と言っても比較が難しいですよね。
そこで用いられるのが、「定点あたり報告数」という指標です。
これは単純に言えば――
定点あたり報告数 = その地域のインフルエンザ患者数 ÷ 定点医療機関の数
という計算式で求められます。
たとえば、ある県で1週間にインフルエンザ患者が1000人発生し、定点医療機関が50施設だったとします。
この場合、1000 ÷ 50 = 20、つまり「定点あたり20人」という報告になります。
数値の目安と今の状況
インフルエンザの場合は、次のような目安がよく使われます。
- 1人以上 … 流行の兆し
- 10人以上 … 注意報レベル
- 30人以上 … 警報レベル(大流行)
実際、今季(2025年初頭)のニュースによると、全国平均で定点あたり約15〜20人前後とされる週も出てきており、すでに「注意報レベルに相当」する地域も少なくありません。
つまり、地域によっては“本格的な流行期に入った”と言える状況です。
私たちが取るべき予防・対策

インフルエンザの流行が本格化する前に、最も重要なのは「備え」です。
感染を完全に防ぐことは難しくても、重症化を防ぐ・周囲に広げないための対策は私たち一人ひとりにできます。
🧬 ワクチン接種は“流行前”がカギ
まずはやはり、ワクチン接種。
インフルエンザワクチンは、感染そのものを100%防ぐわけではありませんが、発症を抑え、重症化を防ぐ効果がしっかりと認められています。
理想は「流行が始まる前」に接種を済ませておくこと。
接種から2週間ほどで抗体ができ、約5か月間効果が持続します。
特に高齢者や基礎疾患を持つ方、医療・介護に携わる方、小さなお子さんがいる家庭は早めの接種がおすすめです。
💡 “定点あたり報告数”が10を超えた頃が、いわば**「流行のサイン」**。
この時期を見て「まだ打っていない」という方は、ぜひ早めに行動を。
🧼 日常でできる感染予防の基本
基本にして最も効果的なのが、手洗い・うがい・マスク・換気です。
どれもシンプルですが、続けることで感染リスクを確実に下げられます。
- 手洗い:外出後・食事前・帰宅時に丁寧に。アルコール消毒も有効。
- うがい:喉の乾燥を防ぎ、ウイルスが付着しにくくなります。
- マスク:咳・くしゃみがある人だけでなく、満員電車など人混みでは有効な防御手段。
- 換気:冬は寒くても、こまめに空気を入れ替えることでウイルスの滞留を防げます。
特に今年は、**インフルエンザと新型コロナが同時流行(ツインデミック)**する可能性も指摘されています。
この“地味だけれど確実な対策”が、家族や職場を守る最前線です。
🩺 医師として感じる「早めの受診」の大切さ
臨床の現場でも、「少し様子を見よう」と思っているうちに症状が悪化して受診される方が少なくありません。
インフルエンザは発症から48時間以内であれば、抗インフルエンザ薬の効果が期待できます。
ですので、次のような症状が出た場合は早めの受診をおすすめします。
- 急な高熱(38℃以上)
- 全身の倦怠感、関節痛、筋肉痛
- 咳や喉の痛みが強い
- 呼吸が苦しい、意識がもうろうとする(高齢者では特に注意)
また、糖尿病・心疾患・肺疾患などをお持ちの方は、インフルエンザによって持病が悪化することがあります。
こうした方は“発熱=早めの受診”が鉄則です。
⚠️ 「定点あたり」が上がってきたら、それは“合図”
ニュースで「今週の定点あたり報告数が上昇」と聞いたら、それは単なる数字の話ではありません。
それは、あなたの地域で感染が身近になってきたというサインです。
「まだ周りで流行っていないから大丈夫」ではなく、
- ワクチンを打っておく
- 体調が悪いときは無理をしない
- 職場や家庭での感染予防を再確認する
こうした小さな行動の積み重ねが、結果的に自分と周りを守ります。
最後に
今年のインフルエンザは、例年よりも早い時期から患者数が増え、全国的に「定点あたり報告数」が上昇しています。
流行の波は確実に近づいており、「まだ大丈夫」と油断しているうちに、あっという間に身近なところまで広がっていきます。
でも、必要以上に恐れることはありません。
早めのワクチン接種、基本的な感染予防の継続、そして体調の変化に早く気づく意識。
この3つを心がけるだけで、感染リスクを大きく下げることができます。
医療現場でも、症状が軽いうちに受診された方は回復が早く、周囲への感染も防げるケースが多く見られます。
「定点あたりの数字が上がった」と聞いたら、それは“恐れるべきニュース”ではなく、
**「今こそ自分と家族を守る行動を始める合図」**と捉えてください。
寒い冬も、ひとりひとりの小さな工夫で乗り越えられます。
体を温め、休息をしっかり取りながら、この季節を元気に過ごしていきましょう。
KOY