
「卵は体にいい」「完全栄養食だから毎日食べても大丈夫」
一方で、「コレステロールが高いから食べすぎはよくない」――
卵について、こんな真逆の情報を耳にしたことはありませんか?
朝ごはんに卵、昼は卵かけご飯、夜はオムライス。
手軽でおいしくて栄養満点。忙しい毎日の心強い味方だからこそ、
**「結局、卵ってどれくらい食べていいの?」**と疑問に思う方も多いはずです。

そこで今回は、
「卵の食べ過ぎは本当に体に悪いのか?」
「完全栄養食というのは本当なのか?」
この2つの疑問について、外科医の視点から、最新の医学的知見をもとにわかりやすく・正直に徹底検証していきます。


卵の栄養って実際どうすごい?

卵は「完全栄養食」と呼ばれることがあります。
それは、私たちの体に必要な栄養素が、ほぼすべて詰まっているからです。
ここでは、卵1個(Mサイズ:約60g)代表的な栄養素を見てみましょう。
🥩 ① タンパク質(必須アミノ酸)
卵1個には、約6〜7gのタンパク質が含まれています。
これは牛乳200mlとほぼ同じくらいの量です。
しかも卵のタンパク質は、
✅ 必須アミノ酸をすべて含む
✅ 吸収率が非常に高い
という「タンパク質の優等生」。
筋肉・内臓・皮膚・髪の材料として非常に優秀です。
☀️ ② ビタミンA・D・B群
卵1個には次のようなビタミンが含まれています。
- ビタミンA:約70〜80µg → 目・皮膚・免疫に重要
- ビタミンD:約1µg → 骨を丈夫にする
- ビタミンB2:約0.2〜0.3mg → 疲労回復・代謝サポート
👉 少量でも体の調子を整える栄養がバランスよく入っているのが強みです。
🩸 ③ 鉄・亜鉛
- 鉄:約0.8〜1.0mg → 貧血予防に重要
- 亜鉛:約0.6〜0.8mg → 免疫・味覚・ホルモン調整に関与
特に亜鉛は不足しやすく、
**卵は「手軽に亜鉛がとれる優秀食材」**のひとつです。
🧠 ④ コリン(脳機能・動脈硬化予防)
卵1個には コリンが約120〜150mg 含まれています。
これは食品の中でもトップクラスです。
- 脳の働きをサポート
- 記憶力の維持
- 動脈硬化の予防にも関係
👉 実は卵は**「脳と血管にやさしい食材」**でもあります。
📊 卵1個(Mサイズ)に含まれる主な栄養素まとめ
| 栄養素 | 含有量(目安) | 主な働き |
|---|---|---|
| タンパク質 | 約6〜7g | 筋肉・内臓・皮膚・髪の材料 |
| ビタミンA | 約70〜80µg | 視力・皮膚・免疫 |
| ビタミンD | 約1µg | 骨を丈夫にする |
| ビタミンB2 | 約0.2〜0.3mg | 代謝・疲労回復 |
| 鉄 | 約0.8〜1.0mg | 貧血予防 |
| 亜鉛 | 約0.6〜0.8mg | 免疫・味覚 |
| コリン | 約120〜150mg | 脳機能・動脈硬化予防 |
🥚 なぜ「完全栄養食」と呼ばれるの?
卵1個には、
✅ 良質なタンパク質
✅ 多種類のビタミン
✅ 鉄・亜鉛などのミネラル
✅ 脳と血管を守るコリン
がバランスよく含まれています。
この栄養密度の高さこそが、
卵が「完全栄養食」と呼ばれる最大の理由なのです。
卵=コレステロールが高いは本当?

「卵はコレステロールが高いから食べすぎはよくない」
一度は聞いたことがあるフレーズではないでしょうか?
まずは、数字と事実から整理してみましょう。
🥚 卵1個のコレステロール量は?
卵1個(Mサイズ)に含まれるコレステロールは
約200mg です。
これは確かに、食品の中では比較的多い部類に入ります。
この数字だけを見ると、「やっぱり卵は危険なのでは?」と不安になりますよね。
📜 昔は「1日1個まで」と言われていた理由
以前の栄養指導では、
👉「コレステロールは1日300mgまで」
👉「だから卵は1日1個まで」
という考え方が一般的でした。
この影響で、長年
「卵=コレステロールが高い=悪」
というイメージが定着してしまったのです。
🧠 しかし現在の医学的見解は…
最近の研究で、考え方は大きく変わっています。
✅ 食事からとるコレステロールは、血中コレステロールにそこまで強く影響しない
✅ 体内のコレステロールの多くは、肝臓で自分自身が作っている
つまり、
「卵を食べたから=そのまま血液中のコレステロールが爆上がりする」
という単純な話ではないということが、現在の主流の考え方です。
実際、健康な人が卵を1〜2個毎日食べても、
心筋梗塞や脳卒中のリスクが有意に上がるという明確なデータはありません。
⚠ むしろ本当に影響が大きいのはココ
コレステロール値に強く影響するのは、卵そのものよりも次の要素です。
- 飽和脂肪酸の多い食事
(揚げ物、脂身の多い肉、バターなど) - 運動不足
- 肥満・内臓脂肪の蓄積
👉 卵を気にするより、
「揚げ物+運動しない+太り気味」
この組み合わせの方が、はるかに血管にはダメージが大きいのが現実です。
ロッキーの卵エピソード

ここで有名な映画のワンシーンを思い出してみてください。
映画『ロッキー』で、主人公ロッキーが生卵をジョッキで一気飲みするシーンがあります。
あの場面、
「トレーニング=卵=体にいい」
というイメージを多くの人に植えつけました。
実際、卵は
✅ 良質なタンパク質が豊富
✅ 筋肉の材料になる
✅ 手軽にエネルギー補給できる
という点で、トレーニング中の栄養補給としては理にかなった食材です。
一方で現実には、
「ロッキーみたいに毎日何個も卵を飲んで大丈夫なの?」
「コレステロールは平気なの?」
と心配になる人も多いですよね。
結論から言うと、
運動量が多く、体脂肪が少ない人であれば、卵を多少多く食べても問題になりにくいのが現実です。
むしろ問題になるのは、
👉 運動せず
👉 卵+揚げ物+脂っこい食事が多く
👉 内臓脂肪が増えているケース
この場合は、卵だけでなく食生活全体の見直しが必要になります。
つまり、
「ロッキー=卵OK」なのではなく、
「ロッキーの運動量込みで卵OK」
というのが、医学的に正しい理解です。
🩺 外科医として忘れられない、ある「卵」のエピソード

ここで、私自身の経験をひとつお話しします。
研修医時代、循環器内科をローテートしていたときのことです。
30代後半の男性が、急性心筋梗塞で救急搬送されてきました。

年齢はまだ30代。
体型も標準的で、見た目はいわゆる「若くて健康そうな人」。
正直、第一印象では
「この人が心筋梗塞…?」
と少し意外に思ったのを覚えています。
一命はとりとめ、回復されたのですが、
入院中の問診で、ある生活習慣が明らかになります。
その方は卵農家の方で、
なんと――毎日8個の卵を食べていたのです。


工夫した料理でもなく、
「焼く・飲む・そのまま食べる」
といった、いわば**“ほぼ毎日8個”の生活**だったそうです。
もちろん、
心筋梗塞の原因は卵だけではありません。
遺伝、体質、脂質、血圧、ストレスなど、さまざまな要因が絡みます。
ですがそのとき、
私は強く思いました。
「どんなに体に良いとされる食品でも、“食べ過ぎ”はやはりリスクになる」
ということを。
そしてもうひとつ大切なのは、
その方は特別に運動をしているわけではなかったという点です。
つまり、
✅ 卵を毎日8個
✅ 見た目は標準体型
✅ でも、運動習慣はほぼなし
この組み合わせが、
“若くして心筋梗塞”につながってしまった可能性は十分にあると、今でも感じています。
✅ この経験から伝えたいこと
この出来事から、私が強く伝えたいのはこの2つです。
- どんなに栄養のある食品でも「食べ過ぎ」はリスクになる
- たくさん食べたいなら、その分しっかり体を動かすこと
卵は確かに優秀な食材です。
でも、「量」と「運動」は必ずセットで考えてほしい。
これが、現場を見てきた医師としての率直な実感です。

✅ まとめ

卵は、タンパク質・ビタミン・ミネラルをバランスよく含む、
とても優秀な「完全栄養食」です。
毎日の食事に取り入れること自体は、決して悪いことではありません。
ただし、
「体にいいから」といって食べ過ぎてしまうと、リスクになる場合もある
――これが、医学的にも、そして私自身の経験からも言える結論です。
大切なのは、
✅ 食べる“量”
✅ その人の“体質や持病”
✅ 普段の“運動習慣”
卵を安心して楽しむために、
「食べ過ぎない」「よく動く」
この2つを、ぜひ意識してみてください🍳💪
KOY
KOYブログ記事:インフルエンザ/手術、インフルエンザ2025、ノーベル賞
参照他記事:MELOS

