
KOYブログ:インフルエンザ流行10月、インフルエンザワクチンについて、秋のインフルエンザ情報
📊 今年の状況まとめ
- 日本国内で今シーズン、インフルエンザ流行の始まりが例年より 早め です。
- 1医療機関(指定医療機関)あたりの報告数が先週、全国平均で「10 例以上/医療機関」という“流行注意”基準を超えており、複数の都県では「30例近く/医療機関」という数値も出ています。
- 学校、保育園などの休校・休園がすでに多数出ており、子ども世代での流行が特に早いとされています。
- 流行開始の時期・広がりともに、パンデミック後の感染症動向の変化が背景にある可能性も議論されています。
- 抗インフルエンザ薬に対する耐性ウイルスの監視も継続されており、日本国内では例年通り体制が整っています。
今年のインフルエンザ、みなさんもう実感していますか?
実は今シーズン、例年よりもかなり早い段階から患者数が増え始め、学校や保育園では休校・学級閉鎖が相次いでいます。「今年、なんだか流行が早くない?」と感じている方も多いはずです。
外来でも発熱患者さんの来院が増え、「コロナかインフルか分からない」という声もよく聞きます。
医療現場としても警戒を強めており、特に高齢者や持病のある方、そして手術前後の患者さんにとっては注意が必要なシーズンになってきました。
では、なぜ今年のインフルエンザはこんなに早く広がっているのか?
その背景には、ウイルスの特性だけでなく、私たちの生活環境の変化、気候、そして感染対策の習慣の変化など、いくつかの要因が絡み合っています。
この記事では、最新データをもとに今年のインフルエンザの状況をわかりやすく整理し、外科医の視点から「ここだけは押さえておきたいポイント」をお伝えします。
📊 第1章:今年のインフルエンザ流行状況 ― いつ、どこで、どれくらい?

今年のインフルエンザは、例年の“冬本番前の静けさ”をすっ飛ばして、秋の段階から一気に患者数が増加しました。
通常、インフルエンザの本格的な流行は12月〜1月にかけて始まりますが、今年はすでに9〜10月の時点で流行入りの指標を超え、医療機関でも「早すぎる…」という声が上がっていました。
◆ 1医療機関あたりの報告数が急増
感染症発生動向調査では、**1医療機関あたりの報告数が“10例以上”**を超えると「注意報レベル」。
ところが今年は、複数の都道府県でこの基準を早い段階から突破し、地域によっては 30例/医療機関 に近い数値を記録するところも見られました。
さすがに外来の現場でも、発熱・咽頭痛の患者さんが“行列”になる日が増え、季節外れの忙しさにスタッフ一同ちょっと驚き気味です。
◆ 子どもを中心とした感染拡大
今年の特徴のひとつは、学校・保育園での流行がとにかく早いこと。
学級閉鎖や休園が各地で相次ぎ、親御さんからの「子どもが急に高熱で…」という相談もかなり増えています。
子どもの集団生活は感染の広がりが速いので、例年より早く症状が出た分、家庭内での二次感染・三次感染も増えやすいという悪循環が発生中です。
◆ 地域ごとの傾向
- 都市部:人の移動が多く、例年よりも早く拡大
- 北海道・東北など寒冷地域:空気の乾燥・気温低下の影響で上昇ペースが速い
- 沖縄など温暖地域:夏以降の感染増加がそのままピークにつながる傾向
つまり、今年は全国でほぼ“足並み揃えて”流行が早まっている、少し珍しいパターンなんです。
◆ 医療機関でも警戒レベル上昇
外科的治療を担当する立場でも、インフルの動向は無視できません。
インフルエンザは肺炎や全身状態の悪化を招くことがあり、手術前後に発症するとリスクが跳ね上がるため、患者さんに「術前の体調管理」を強くお伝えするケースが増えています。
🔍 第2章:なぜ今年のインフルエンザは“例年より早い”のか?
今年、インフルエンザが例年より早く流行している背景には、いくつかの要因が複雑に絡み合っています。「ウイルスが強くなったから」という単純な話ではなく、私たちの生活習慣の変化や気候の影響、社会全体の動きなどが大きく関係しています。
ここでは、特に重要なポイントを分かりやすく整理してみましょう。
◆ ① マスク習慣の“緩み”による感染症全体の復活
コロナ禍で当たり前だった
- マスク
- 手指衛生
- 人混み回避
これらが、ここ1〜2年で徐々に以前の状態に戻ってきました。
その結果、インフルエンザを含む“空気・飛沫感染しやすいウイルス”が再び広がりやすい環境になったと考えられます。
実際、医療現場でも今シーズンは RSV、アデノ、溶連菌など、いわゆる“小児で流行しがちな感染症”が一斉に増えています。
◆ ② 子ども世代での免疫の“空白期間”
ここ数年、コロナ対策の影響で、子どもたちがインフルエンザに触れる機会が減っていました。
つまり、
「過去に感染していない=免疫がついていない子が多い」
という状況になり、今年のように一気に広がりやすい土台ができていた、という見方があります。
特に保育園・小学校などでの流行が早い理由として、この“免疫ギャップ”は非常に大きいと指摘されています。
◆ ③ 気候の影響(乾燥・寒暖差)
ウイルスにとっては「乾燥して気温が下がる」環境が大好き。
今年は地域によって、秋の段階から空気の乾燥が強まり、夜間の冷え込みも早めでした。
この
「乾燥 × 寒暖差」
のダブルパンチで、呼吸器の粘膜が弱り、ウイルスが増えやすい条件がそろったと考えられます。
◆ ④ 人の移動・イベントの増加
旅行、ライブ、スポーツイベント、学校行事。
社会全体の“人の動き”が活発になり、流行を早める要因の一つになっている可能性があります。
特に大型連休や連休前後は感染症が加速しやすく、今年のデータとも一致しています。
◆ ⑤ インフルエンザウイルスの型の動き
世界的には
- A型(H3N2)
- A型(H1N1)
- B型(特にVictoria系)が混在
しており、シーズン序盤はH3N2が優勢という報告もあります。
H3N2は、特に子どもや高齢者で重症化しやすい印象があり、医療現場では警戒度が上がります。
今年の“早めの流行”は、このウイルスの動き方とも無関係ではなさそうです。
◆ まとめ:複数要因が重なり「早期流行」が発生
- 生活習慣の変化
- 子どもの免疫空白
- 気候の条件
- 人の移動
- ウイルスの型の動き
これらが重なって、今年はインフルエンザの流行が例年以上に早いタイミングで始まったと考えられます。
🛡️ 第4章:今日からできるインフルエンザ予防と対策

今年は流行が早く、例年以上に「早めの対策」がカギになります。
ここでは医療の現場視点と、一般の方でもすぐに実践できる方法をまとめてご紹介します。
◆ ① ワクチンは“早め”かつ“毎年”が基本
インフルエンザワクチンは毎年ウイルスの型に合わせて作られているため、毎年の接種が必須です。
そして今年のように流行が早いシーズンは、迷わず 早めの接種 が鉄則。
ワクチンの効果は
- 発症予防
- 重症化予防
- 入院リスクの低下
といったメリットがあり、特に
- 高齢者
- 持病のある方
- 妊婦
- 手術予定のある方
には積極的におすすめしたい予防策です。
◆ ② 手洗いは「石けん+30秒」が最強
飛沫感染だけでなく、手についたウイルスからの接触感染も多いインフルエンザ。
最も効果が高いのは
石けんを使って30秒以上の手洗い。
アルコール消毒も有効ですが、
- 指の間
- 爪の周り
- 手首
までしっかり洗う“基本の手洗い”のほうがさらに強力です。
◆ ③ マスクは“人混みでは必須”と割り切る
普段は外していても、
- 満員電車
- 学校・職場
- 病院の待合室
など、人の密集する場所では着用した方が安心。
マスクは「自分を守る」「周りにうつさない」の両方に働き、流行期にはかなり効果的です。
◆ ④ 部屋の湿度は40〜60%をキープ
インフルエンザウイルスは 乾燥が大好き。
乾燥すると
- のどの粘膜が弱くなる
- 咳・飛沫が遠くまで飛ぶ
- ウイルスが空気中で生き残りやすくなる
と良いことなし。
加湿器がなくても
- 洗濯物の室内干し
- 濡れタオルをかけておく
などでも湿度は改善します。
◆ ⑤ 睡眠・食事・休息の“生活の基本”も侮れない
免疫力を整えるのは、結局この3つ。
忙しい時期でも、
- しっかり寝る
- バランスよく食べる
- ストレスをためない
は、外科医である先生も日々実感しているポイントですよね。
栄養状態が悪いだけで感染リスクは一気に上がります。
◆ ⑥ 症状が出たら早めの受診を
もし
- 高熱
- 倦怠感
- 関節痛
- 悪寒
などの症状が出たら、早めの受診 が重要です。
特に
- 高齢者
- 持病がある方
- 妊婦
- 手術前の方
は、少しでも早く適切な治療を受けることで、重症化や肺炎のリスクを大きく下げられます。
◆ ⑦ 家族内感染を防ぐ小ワザ
インフルが家に入ると、一気に全滅…なんて家庭もあります。
簡単にできる対策は:
- タオルを共有しない
- ドアノブのこまめな消毒
- ご飯は同じ箸を使わない
- 寝室はできれば分ける
特に子どもがかかってしまった場合は要注意。
こどもの感染→父母→祖父母と、拡大しやすいパターンです。
◆ まとめ:早めの対策で今年の流行を乗り切ろう
今年は流行が早く、感染力も強い印象があります。
ですが、
ワクチン+手洗い+適切な生活習慣
で予防効果は十分期待できます。
“ちょっとした習慣”が、家族や職場を守る大きな力になります。
📝 まとめ
今年のインフルエンザは、例年よりもずっと早い時期から広がりを見せ、学校・職場・医療機関のどこでも“流行の早さ”を実感するシーズンとなっています。
その背景には、私たちの生活習慣の変化や、子どもたちの免疫の空白期間、気候、人の移動など、さまざまな要因が複雑に絡み合っていました。
しかし、必要以上に怖がる必要はありません。
ワクチン、手洗い、マスク、生活リズムの調整といった、今日からできる基本的な対策が確かな効果を発揮します。
特に手術を控えている方や持病のある方は、早めの予防が“安全な治療”につながります。
感染症の流行は止められませんが、備えることは誰にでもできることです。
一人ひとりが少しだけ気を付けることで、自分だけでなく家族や周りの大切な人を守ることができます。
今年の冬も、上手に備えて元気に乗り切っていきましょう。
外科医として、そして一人の医療者として、皆さんの健康を心から願っています。
KOY