
「がん=怖い病気」
多くの人がそう感じていると思います。
特に膵臓がんや肺がんは、これまで
予後が厳しいがん
として知られてきました。
しかし今回、
2017〜2018年に診断された患者のデータから
膵臓がんと肺がんの5年生存率が上昇している
というニュースが報じられました。
これは、単なる数字の変化ではありません。
手術・抗がん剤・免疫療法など、
がん治療が確実に進歩していることを示す
大きな意味を持つ変化です。
一方で、
膵臓がんや肺がんが依然として
油断できない病気であることも事実です。
では、なぜ生存率は上がったのか?
そして私たちはこのニュースを
どう受け止めればよいのでしょうか。
最新のデータと医療の進歩をもとに、
今のがん医療のリアルを解説していきます。
ニュース:膵臓と肺でがんの「5年生存率」上昇 2017~18年診断分

厚生労働省は13日、がんと2017年と18年に診断された人が5年間生きている割合「5年生存率」を公表した。全ての患者が登録される「全国がん登録」のデータを基にした集計。16年診断分と比べ、おおむね横ばいだったが、膵臓、多発性骨髄腫、肺は上昇した。
5年生存率は治療効果の高さの評価や、病気の経過を予測する目安に使われる。18年診断分は、15~99歳の主ながんで、大腸68・0%、胃64・4%、肝・肝内胆管34・4%、前立腺92・5%、乳房88・4%、子宮頸部71・4%などだった。16年分からおおむね横ばいだったが、膵臓13・5%(16年11・8%)、肺39・6%(同37・7%)、多発性骨髄腫51・1%(同47・2%)の上昇が目立った。大きく下がったものはなかった。
15歳未満の小児がんは全体で85・0%。がん種別では白血病などが84・3%、脳腫瘍など中枢神経系が65・2%、神経芽腫などが74・9%だった。16年分と比べるとおおむね横ばいだが、中枢神経系、肝腫瘍、軟部組織腫瘍などが上昇した。
第1章:5年生存率とは何か?

ニュースでよく目にする
「5年生存率」という言葉。
なんとなく意味は分かるけれど、
実は正確には知らない…という方も多いと思います。
5年生存率とは、
がんと診断された人のうち、5年後に生存している人の割合
のことです。

たとえば、
あるがんの5年生存率が60%なら、
100人が診断されて5年後に
60人が生存しているという意味になります。
ただし、ここで大切なのは
5年生存率=余命
ではないという点です。
5年を超えて長く生きる方も多く、
「5年生きられる確率」
という単純な意味ではありません。
医学的には、
治療の進歩や予後の改善をみるための
重要な指標として使われています。
第2章:膵臓がん・肺がんはなぜ難しいのか

膵臓がんと肺がんは、
これまで「予後が厳しいがん」として知られてきました。
今回、生存率が上昇したとはいえ、
依然として難しい病気であることに変わりはありません。
では、なぜこの2つのがんは
治療が難しいと言われてきたのでしょうか。
その理由を分かりやすく解説します。
膵臓がんが難しい理由

膵臓がんが怖いと言われる最大の理由は、
見つかりにくいことです。
膵臓は胃や腸の奥、
体の深い場所にある臓器です。
そのため、小さながんでは症状がほとんど出ません。
代表的な初期症状はほぼなく、
・なんとなく食欲がない
・体重が減ってきた
・背中が痛い
など、はっきりしないものが多いのです。
気づいた時には
すでに進行しているケースが多く、
手術が可能な患者さんは
全体の2〜3割程度ともいわれています。
さらに膵臓がんは
再発率が高いことでも知られています。
手術ができても、その後の治療や経過観察が
とても重要になります。
肺がんが難しい理由
肺がんは日本で最も死亡数が多いがんです。
患者数が多いだけでなく、
治療が難しい要因がいくつもあります。
まず、肺は呼吸をする臓器のため、
体中の血液が集まりやすく、
がんが転移しやすい特徴があります。
さらに肺がんは種類が多く、
- 腺がん
- 扁平上皮がん
- 小細胞がん
など、タイプによって治療方法が大きく変わります。
治療は
手術
放射線
抗がん剤
免疫療法
などを組み合わせて行うため、
非常に専門性が高い分野でもあります。
症状が出にくいことが共通点
膵臓がんと肺がんに共通しているのは、
初期症状が分かりにくいという点です。
肺がんも初期では
咳や息切れなどがほとんどなく、
健康診断のレントゲンで
偶然見つかるケースも多いです。
つまり、どちらのがんも
「気づいた時には進んでいる」
ことが多いのです。
これが、これまで
生存率が低いと言われてきた
最大の理由といえるでしょう。
第3章:それでも生存率が上がっている理由
―早期発見と抗がん剤の進歩―
膵臓がんや肺がんは、これまで
「予後が厳しいがん」と言われてきました。
それでも今回、
5年生存率が上昇している背景には
大きく2つの理由があります。
①早期発見の増加
②抗がん剤治療の進歩
この2つが、がん医療を大きく変えています。
①早期発見が増えている
がん治療において、
最も重要なのは
早く見つけることです。
がんは小さい段階で発見できれば、
手術や治療の成功率が大きく上がります。
近年は
・健康診断の普及
・CT検査の精度向上
・人間ドックの充実
などにより、
以前より早期に発見されるケースが増えています。
特に肺がんでは、
胸部CT検査によって
小さながんが見つかることが増えました。
膵臓がんでも、
偶然CTやMRIで見つかる
「無症状の早期がん」が
少しずつ増えています。
早期に見つかれば、
手術ができる可能性が高くなり、
結果として生存率の上昇につながります。
②抗がん剤の進歩
もう一つの大きな理由が、
抗がん剤治療の進化です。
かつての抗がん剤は、
「強い副作用に耐える治療」
というイメージがありました。
しかし現在は、
効果が高く副作用を抑えた治療が
次々と登場しています。
肺がんの進歩
肺がんではここ10年で
治療が劇的に変わりました。
・分子標的薬
・免疫チェックポイント阻害薬
これらの登場により、
進行肺がんでも
長期間コントロールできる患者さんが
増えてきています。
「治らない」から
「長く付き合える病気」へ
変わりつつあるのです。
膵臓がんの進歩
膵臓がんでも、
強力な化学療法が登場しました。
・FOLFIRINOX
・ゲムシタビン+nabパクリタキセル
これらにより、
手術前後の治療成績が向上し、
生存率の改善につながっています。
第5章:これからのがん医療

がん治療は今、大きな転換期を迎えています。
かつては
「がん=手術・抗がん剤・放射線」
という限られた治療が中心でした。
しかし現在は、
一人ひとりに合わせた治療
が主流になりつつあります。
その代表が
「個別化医療」です。
がんの遺伝子や性質を詳しく調べ、
その人のがんに合った薬を選ぶ。
こうした治療が現実のものとなっています。
特に肺がんでは
遺伝子変異に応じて
薬を使い分ける時代になりました。
さらに近年注目されているのが
免疫療法です。
体の免疫の力を利用して
がんを攻撃する治療で、
これまで難しかった進行がんでも
長期生存が期待できるケースが出てきています。
また、手術分野でも
ロボット手術や低侵襲手術の進歩により、
体への負担を減らしながら
より安全な治療が可能になっています。
今後は
・AIによる診断支援
・血液検査による超早期発見
・新しい分子標的薬
など、さらなる進歩が期待されています。
がんは「不治の病」から、
コントロールできる病気へ
確実に変わり始めています。
まとめ:がん医療は確実に前進している
膵臓がんと肺がん。
これまで厳しいとされてきたがんで、
5年生存率が上昇しました。
この変化の背景には、
早期発見の増加と
治療の進歩があります。
もちろん、
がんは今も簡単な病気ではありません。
しかし医療は確実に進歩し、
「治療できる可能性」は
着実に広がっています。
大切なのは
体調の変化に気づくこと
定期的に検査を受けること
そして、早めに受診することです。
がんは怖い病気ですが、
医療はそれ以上のスピードで進歩しています。
今回のニュースは、
がん医療が確実に前へ進んでいることを示す
希望のデータといえるでしょう。
KOY
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