
CT検査を受けたあと、結果用紙をじっと見つめて
「……先生、これって大丈夫なんですか?」
と不安そうに聞かれたことはありませんか?
実はこの質問、医師側からすると
(あぁ、出たな…“あれ”だ)
と心の中で思う瞬間でもあります。
CTはとても優秀な検査ですが、そのぶん
「命に関わらないもの」まで正直に映してしまう
少し“おせっかい”な一面があります。
今回は、そんなCTで
**「たまたま見つかるけど、説明にちょっと困る所見」**を、
外科医の目線でこっそり(でも正直に)紹介していきます。
第1位:軽度の脂肪肝

📌 CTでよく書かれる表現
CTの結果には、こんな言葉が並びがちです。
- 「肝臓のCT値低下」
- 「脂肪肝を疑う所見」
初めて見ると少し物々しいですが、
実はかなり“よくある”所見です。
🧠 医師の本音
正直に言うと、
「また脂肪肝か…」と思うくらい、日常診療では珍しくありません。
ただし厄介なのが、
“肝臓”という言葉のインパクト。
症状がなくても
「肝臓って大事な臓器ですよね?」
と、一気に不安が膨らんでしまいます。
🔍 脂肪肝ってどんな状態?
脂肪肝とは、肝臓に脂肪がたまっている状態のこと。
多くの場合、
- 自覚症状はほぼなし
- 血液検査も大きな異常なし
- CTで「たまたま」見つかる
という特徴があります。
👨⚕️ 医師が説明するときのポイント

診察室では、だいたいこんな話をします。
- 今すぐ命に関わる状態ではありません
- ただし、放っておいていいという意味でもありません
- 体重・飲酒量・食生活が大きく関係します
つまり、
👉 「今は様子見。でも“なかったこと”にはしない」
このバランスが一番大切で、
そして一番伝えるのが難しい部分です。
💬 ひとことアドバイス
「軽度」と書かれている脂肪肝は、
生活習慣を少し整えるだけで改善することも多いです。
逆に言えば、
何も気にせず放置すると、将来的に肝臓の病気へ進むことも。
だからこそ、
“たまたま見つかった今”が、実は一番いいタイミングなのです。
第2位:無症候性胆石

📌 CTでよく書かれる表現
CT結果には、こんな一文がさらっと書かれています。
- 「胆嚢内に高吸収域を認める」
- 「胆石を疑う所見」
患者さんからすると、
「え、石!?取らなくていいんですか?」
となりやすいポイントです。
🧠 医師の本音
胆石を見つけた瞬間、
医師の頭にまず浮かぶのはこの質問です。
「症状、ありますか?」
実は胆石は、持っているだけなら問題にならないことが多い病気。
日常診療では、
「ずっと前からあったと思いますよ」
と説明することも珍しくありません。
🔍 無症候性胆石とは?

無症候性胆石とは、
- 胆石はある
- でも痛みや発作は一度もない
という状態のことです。
このタイプの胆石は、
一生何も起こらずに終わることも多いのが特徴です。
👨⚕️ 医師が説明するときのポイント
診察室では、こんな説明になります。
- 症状がなければ、基本的に手術はしません
- 今すぐ危険な状態ではありません
- ただし、痛みが出たら話は別です
特に大事なのが、
「どんな症状が出たら受診すべきか」を先に伝えること。
⚠️ こんな症状が出たら要注意
胆石発作の典型的なサインは、
- みぞおち〜右上腹部の痛み
- 脂っこい食事のあとに強くなる痛み
- 吐き気・嘔吐を伴うことがある
これらが出てきた場合は、
“様子見の胆石”から“治療を考える胆石”に変わります。
💬 ひとことアドバイス
無症候性胆石で大切なのは、
👉 「あることを知って、怖がりすぎないこと」
👉 「でも、完全に忘れないこと」
「今は手術しない=放置でOK」ではありません。
**“何か起きたらすぐ相談できる状態”**を作っておくことが、
実は一番の安心材料です。
第3位:腎嚢胞(単純性)

📌 CTでよく書かれる表現
CT結果には、こんな記載がよく見られます。
- 「腎嚢胞を認める」
- 「腎に液体貯留を伴う嚢胞性病変」
「腎」「嚢胞」「病変」
この3ワードが並ぶと、一気に不安が跳ね上がるのも無理はありません。
🧠 医師の本音
正直に言うと、
説明し始めると一番ラクで、一番難しい所見です。
なぜなら、
- ほとんどが良性
- 治療も経過観察も不要
- でも言葉がとにかく怖い
という、ギャップが大きすぎるから。
🔍 単純性腎嚢胞とは?

単純性腎嚢胞は、
- 中身は「水」
- 年齢とともに増える
- がんとは全く別物
という特徴を持つ、いわば“加齢変化”のひとつです。
CTでは、
- きれいな丸い形
- 中が均一な液体
- 壁が薄い
といった所見がそろえば、
心配いらないタイプと判断されます。
👨⚕️ 医師が説明するときのポイント
診察室では、だいたいこんな説明になります。
- がんではありません
- 治療は必要ありません
- 定期的な検査もしないことが多いです
ここまで聞くと、
「じゃあ、何で書くんですか?」
と聞かれることもあります。
答えはシンプルで、
CTは“見えたものを全部正直に書く検査”だからです。
💬 ひとことアドバイス
腎嚢胞について一番やってはいけないのは、
結果を見てすぐネット検索すること。
検索結果の多くは、
「嚢胞=がん?」という不安を強める情報ばかりです。
👉 医師から
「単純性」「問題なし」
と言われていれば、ほぼ安心して大丈夫。
まとめ:CTは「病気」だけでなく「気になる影」も映す
CT検査は、とても優秀な検査です。
その一方で、今すぐ治療が必要ではないものまで、正直に映してしまうという特徴もあります。
今回紹介した
- 軽度の脂肪肝
- 無症候性胆石
- 単純性腎嚢胞
はいずれも、**「たまたま見つかることが多い」**所見です。
共通しているのは、
- すぐに命に関わることは少ない
- でも「何もなかったこと」にもしない
- 状況に応じて“付き合い方”を考える
という点です。
CTの結果用紙に知らない言葉が並ぶと、
どうしても不安になります。
ですが、その不安を一人で抱え込む必要はありません。
「これはどのくらい心配ですか?」
その一言を聞いてもらうだけで、十分です。
医師は、
「今すぐ治療が必要な異常」
「経過を見ればよい所見」
「気にしなくてよい変化」
を分けて考えています。
CTは“答え”ではなく、判断の材料のひとつ。
結果をどう受け止めるかは、
検査を読ん慣れた医師と一緒に考えるのが、いちばん安心です。
この記事が、
検査結果を見て少しドキッとした方の
不安が一段階、和らぐきっかけになれば幸いです。
KOY
KOYブログ記事:タミフル 子供にも安全?、インフルエンザとインフルエンサー
他サイト:MedicalDOC(脂肪肝)