CTで「たまたま見つかる」けど説明に困る所見 ~ベスト3~ 

CT検査を受けたあと、結果用紙をじっと見つめて


「……先生、これって大丈夫なんですか?」


と不安そうに聞かれたことはありませんか?

実はこの質問、医師側からすると
(あぁ、出たな…“あれ”だ)
と心の中で思う瞬間でもあります。

CTはとても優秀な検査ですが、そのぶん
「命に関わらないもの」まで正直に映してしまう
少し“おせっかい”な一面があります。

今回は、そんなCTで
**「たまたま見つかるけど、説明にちょっと困る所見」**を、
外科医の目線でこっそり(でも正直に)紹介していきます。

第1位:軽度の脂肪肝

📌 CTでよく書かれる表現

CTの結果には、こんな言葉が並びがちです。

  • 「肝臓のCT値低下」
  • 「脂肪肝を疑う所見」

初めて見ると少し物々しいですが、
実はかなり“よくある”所見です。

🧠 医師の本音

正直に言うと、
「また脂肪肝か…」と思うくらい、日常診療では珍しくありません。

ただし厄介なのが、
“肝臓”という言葉のインパクト

症状がなくても
「肝臓って大事な臓器ですよね?」
と、一気に不安が膨らんでしまいます。

🔍 脂肪肝ってどんな状態?

脂肪肝とは、肝臓に脂肪がたまっている状態のこと。
多くの場合、

  • 自覚症状はほぼなし
  • 血液検査も大きな異常なし
  • CTで「たまたま」見つかる

という特徴があります。

👨‍⚕️ 医師が説明するときのポイント

診察室では、だいたいこんな話をします。

  • 今すぐ命に関わる状態ではありません
  • ただし、放っておいていいという意味でもありません
  • 体重・飲酒量・食生活が大きく関係します

つまり、

👉 「今は様子見。でも“なかったこと”にはしない」

このバランスが一番大切で、
そして一番伝えるのが難しい部分です。

💬 ひとことアドバイス

「軽度」と書かれている脂肪肝は、
生活習慣を少し整えるだけで改善することも多いです。

逆に言えば、
何も気にせず放置すると、将来的に肝臓の病気へ進むことも。

だからこそ、
“たまたま見つかった今”が、実は一番いいタイミングなのです。

第2位:無症候性胆石

📌 CTでよく書かれる表現

CT結果には、こんな一文がさらっと書かれています。

  • 「胆嚢内に高吸収域を認める」
  • 「胆石を疑う所見」

患者さんからすると、
「え、石!?取らなくていいんですか?」
となりやすいポイントです。

🧠 医師の本音

胆石を見つけた瞬間、
医師の頭にまず浮かぶのはこの質問です。

「症状、ありますか?」

実は胆石は、持っているだけなら問題にならないことが多い病気。
日常診療では、
「ずっと前からあったと思いますよ」
と説明することも珍しくありません。

🔍 無症候性胆石とは?

無症候性胆石とは、

  • 胆石はある
  • でも痛みや発作は一度もない

という状態のことです。

このタイプの胆石は、
一生何も起こらずに終わることも多いのが特徴です。

👨‍⚕️ 医師が説明するときのポイント

診察室では、こんな説明になります。

  • 症状がなければ、基本的に手術はしません
  • 今すぐ危険な状態ではありません
  • ただし、痛みが出たら話は別です

特に大事なのが、
「どんな症状が出たら受診すべきか」を先に伝えること

⚠️ こんな症状が出たら要注意

胆石発作の典型的なサインは、

  • みぞおち〜右上腹部の痛み
  • 脂っこい食事のあとに強くなる痛み
  • 吐き気・嘔吐を伴うことがある

これらが出てきた場合は、
“様子見の胆石”から“治療を考える胆石”に変わります。

💬 ひとことアドバイス

無症候性胆石で大切なのは、

👉 「あることを知って、怖がりすぎないこと」
👉 「でも、完全に忘れないこと」

「今は手術しない=放置でOK」ではありません。
**“何か起きたらすぐ相談できる状態”**を作っておくことが、
実は一番の安心材料です。

第3位:腎嚢胞(単純性)

📌 CTでよく書かれる表現

CT結果には、こんな記載がよく見られます。

  • 「腎嚢胞を認める」
  • 「腎に液体貯留を伴う嚢胞性病変」

「腎」「嚢胞」「病変」
この3ワードが並ぶと、一気に不安が跳ね上がるのも無理はありません。

🧠 医師の本音

正直に言うと、
説明し始めると一番ラクで、一番難しい所見です。

なぜなら、

  • ほとんどが良性
  • 治療も経過観察も不要
  • でも言葉がとにかく怖い

という、ギャップが大きすぎるから。

🔍 単純性腎嚢胞とは?

単純性腎嚢胞は、

  • 中身は「水」
  • 年齢とともに増える
  • がんとは全く別物

という特徴を持つ、いわば“加齢変化”のひとつです。

CTでは、

  • きれいな丸い形
  • 中が均一な液体
  • 壁が薄い

といった所見がそろえば、
心配いらないタイプと判断されます。

👨‍⚕️ 医師が説明するときのポイント

診察室では、だいたいこんな説明になります。

  • がんではありません
  • 治療は必要ありません
  • 定期的な検査もしないことが多いです

ここまで聞くと、
「じゃあ、何で書くんですか?」
と聞かれることもあります。

答えはシンプルで、
CTは“見えたものを全部正直に書く検査”だからです。

💬 ひとことアドバイス

腎嚢胞について一番やってはいけないのは、
結果を見てすぐネット検索すること

検索結果の多くは、
「嚢胞=がん?」という不安を強める情報ばかりです。

👉 医師から
「単純性」「問題なし」
と言われていれば、ほぼ安心して大丈夫

まとめ:CTは「病気」だけでなく「気になる影」も映す

CT検査は、とても優秀な検査です。
その一方で、今すぐ治療が必要ではないものまで、正直に映してしまうという特徴もあります。

今回紹介した

  • 軽度の脂肪肝
  • 無症候性胆石
  • 単純性腎嚢胞

はいずれも、**「たまたま見つかることが多い」**所見です。

共通しているのは、

  • すぐに命に関わることは少ない
  • でも「何もなかったこと」にもしない
  • 状況に応じて“付き合い方”を考える

という点です。

CTの結果用紙に知らない言葉が並ぶと、
どうしても不安になります。
ですが、その不安を一人で抱え込む必要はありません。

「これはどのくらい心配ですか?」
その一言を聞いてもらうだけで、十分です。

医師は、
「今すぐ治療が必要な異常」
「経過を見ればよい所見」
「気にしなくてよい変化」
を分けて考えています。

CTは“答え”ではなく、判断の材料のひとつ
結果をどう受け止めるかは、
検査を読ん慣れた医師と一緒に考えるのが、いちばん安心です。

この記事が、
検査結果を見て少しドキッとした方の
不安が一段階、和らぐきっかけになれば幸いです。

KOY

KOYブログ記事:タミフル 子供にも安全?インフルエンザとインフルエンサー

他サイト:MedicalDOC(脂肪肝)