【今年初】九州地方に熱中症警戒アラート発表!7月からできる熱中症対策を外科医が徹底解説

夏の快晴イメージ

鹿児島・熊本・宮崎・長崎では、今年初となる熱中症警戒アラートが発表されました。

救急外来でも、気温と湿度が上がる時期には熱中症の患者さんを診る機会が増えてきます。

熱中症は重症化すると命に関わることがありますが、早めの水分・塩分補給、エアコンの使用、外出時間の工夫などで予防できる可能性が高い病気です。

この記事では、

「熱中症警戒アラートとは何か」「アラートが出たら何をすべきか」「熱中症の症状」「救急車を呼ぶ目安」

について、医師の立場からわかりやすく解説します。

はじめに

7月に入りましたが、朝晩はまだどこか涼しさが残っていて、「本格的な夏はこれから」と感じている方も多いのではないでしょうか。しかし油断は禁物です。鹿児島県、熊本県、宮崎県、そして長崎県の4県に、環境省と気象庁から「熱中症警戒アラート」が発表されました。長崎県では今年初めての発表となり、九州地方を中心に気温が急上昇していることがうかがえます。

「まだ真夏ほど暑くないのに、なぜ今から警戒が必要なの?」と疑問に思う方も少なくないはずです。実はこの時期こそ、熱中症のリスクが特に高まりやすいタイミングでもあります。この記事では、熱中症警戒アラートの基礎知識から、今すぐ実践できる具体的な予防策、万が一の対処法まで、一般の方にもわかりやすく解説します。

熱中症警戒アラートとは?発表基準と確認方法

熱中症警戒アラートについての説明、表

熱中症警戒アラートとは、気温や湿度から算出される「暑さ指数(WBGT)」が、熱中症の危険性が極めて高いとされる33以上になると予測された場合に、環境省と気象庁が都道府県単位で発表する情報です。2021年から全国で運用が始まり、テレビやスマートフォンのニュースアプリ、気象庁のウェブサイトなどで確認することができます。

このアラートが発表された地域では、

  • 不要不急の外出をできるだけ控える
  • エアコンを我慢せずに使用する
  • 激しい運動やスポーツ活動を中止・延期する
  • 高齢者や子ども、持病のある方への声かけを行う

といった対応が呼びかけられます。単なる「暑いですよ」という注意喚起ではなく、公的機関が「今日は本当に危険です」と発信する強いメッセージだと理解しておくとよいでしょう。

7月に熱中症が増える理由|暑さに慣れていない時期は危険

7月の気温についての図

真夏の8月に比べると、7月上旬はまだ気温がそれほど高くないように感じられます。しかし、熱中症による救急搬送者数は、実は梅雨明け直後から7月にかけて急増する傾向があります。その理由は主に次の3つです。

1. 体が暑さに慣れていない(熱順化が不十分)

人間の体は、汗をかいて体温を下げる仕組みに徐々に適応していきます。これを「熱順化」と呼びますが、梅雨時期は気温の変動が大きく、体がまだ暑さに順応しきれていません。そのため、気温がそれほど高くなくても、体温調節がうまく働かず熱中症を起こしやすいのです。

2. 湿度が高く汗が蒸発しにくい

梅雨明け前後は湿度が非常に高くなります。汗をかいても蒸発しにくいため、気化熱による体温低下の効果が得られにくく、体内に熱がこもりやすくなります。気温だけでなく「湿度」が熱中症リスクを大きく左右する点は、意外と見落とされがちです。

3. 「まだ大丈夫」という油断

「7月だからそこまで暑くない」という思い込みから、水分補給を後回しにしたり、エアコンの使用を控えたりしてしまう方も多くいます。この心理的な油断こそが、熱中症の発症につながる大きな要因です。

熱中症の症状チェック|軽症・中等症・重症の違い

熱中症の症状の分類についての説明

熱中症は重症度によって症状が異なります。早期に気づき、適切に対処することが重要です。

  • めまい、立ちくらみ
  • 筋肉のこむら返り(こむら返り、足がつる)
  • 大量の発汗
  • 頭痛
  • 吐き気、嘔吐
  • 倦怠感、脱力感
  • 集中力や判断力の低下
  • 意識障害(呼びかけへの反応が鈍い、応答がおかしい)
  • けいれん
  • 高体温(体に触れると熱い)
  • まっすぐ歩けない

特に「呼びかけへの反応がおかしい」「意識がもうろうとしている」といった症状が見られる場合は、熱中症の中でも命に関わる「熱射病」の可能性があります。ためらわずに救急要請(119番)を行ってください。

熱中症の予防法|今日からできる5つの対策

熱中症対策についてのまとめのイラスト

こまめな水分・塩分補給を習慣にする

喉が渇いたと感じる前に、水分を補給することが大切です。特に汗を多くかいたときは、水だけでなく塩分や電解質も一緒に補給できる経口補水液やスポーツドリンクがおすすめです。アルコールやカフェインを含む飲料は利尿作用があり、かえって脱水を招くことがあるため、水分補給としては適していません。

室内でもエアコンをためらわず使用する

「もったいないから」「まだそこまで暑くないから」とエアコンの使用を我慢する方がいますが、室内での熱中症も非常に多く発生しています。環境省の目安では、室温28℃を超えないよう調整することが推奨されています。扇風機と併用して空気を循環させるのも効果的です。

外出時間や服装を工夫する

気温が上がりやすい正午から午後3時ごろの外出は、できるだけ避けましょう。どうしても外出が必要な場合は、通気性のよい涼しい服装を選び、日傘や帽子で直射日光を遮ることが有効です。屋外での運動や作業は、こまめな休憩と水分補給をセットで行うようにしてください。

睡眠と食事で体調を整える

寝苦しい夜が続くと睡眠不足になり、体の抵抗力が落ちて熱中症になりやすくなります。エアコンのタイマー機能などを活用し、快適な室温で眠れる環境を整えましょう。また、朝食を抜くと体内の水分・塩分バランスが崩れやすくなるため、規則正しい食事も予防につながります。

高齢者・子どもへの特別な配慮

高齢者は暑さやのどの渇きを感じにくく、自覚がないまま脱水が進んでしまうことがあります。ご家族が離れて暮らしている場合は、電話などでこまめに様子を確認するとよいでしょう。子どもは体温調節機能が未発達なうえ、地面に近い場所は大人よりも気温が高くなりがちです。少しの外出でも、水分補給と休憩を意識的に取り入れてあげてください。

熱中症かもと思ったら?応急処置と救急車を呼ぶ目安

熱中症発生時における対応についてのポスター(外部から引用)

(出典 imadoki-bike.com)

熱中症が疑われる場合は、次の応急処置を速やかに行いましょう。

  1. 涼しい場所へ移動する:エアコンの効いた室内や日陰など、涼しい環境に移動させます。
  2. 衣服を緩め、体を冷やす:首やわきの下、太ももの付け根など、太い血管が通っている部分を、保冷剤や濡れタオルで冷やします。
  3. 水分・塩分を補給する:本人の意識がはっきりしていて、自力で飲める場合は、経口補水液などを少しずつ飲ませます。
  4. 改善しない場合はすぐに救急要請:意識がない、自力で水分が摂れない、嘔吐が続くといった場合は、迷わず119番に連絡してください。

無理に水を飲ませようとして誤嚥させてしまうケースもあるため、意識がはっきりしない場合の無理な水分補給は避けることも覚えておきましょう。

単なる疲れや夏バテに見えても、熱中症が進行していることがあります。家族から見て“いつもと違う”と感じた場合は、無理に様子を見すぎないことが大切です。

救急車を呼ぶ前に!熱中症の初期対応 いますぐできる5つのこと

まとめ

鹿児島県、熊本県、宮崎県、長崎県での熱中症警戒アラート発表は、九州地方だけでなく全国的にも「本格的な暑さの季節が始まった」ことを示すサインです。夜間はまだ涼しく感じられても、日中の気温上昇や湿度の高さによって、体は想像以上に負担を受けています。

熱中症は、正しい知識とこまめな対策によって十分に予防できる健康トラブルです。「暑さ指数」や「熱中症警戒アラート」を日々チェックする習慣をつけ、水分・塩分補給、適切な室温管理、無理のない外出計画を心がけることで、これからの夏を安全に乗り切りましょう。ご自身だけでなく、ご家族や周囲の高齢者・お子さんへの声かけも、ぜひ意識してみてください。

KOY

参考文献リスト

1. 元ニュース記事

2. 環境省「熱中症予防情報サイト」
https://www.wbgt.env.go.jp/
→ 暑さ指数(WBGT)の解説、熱中症警戒アラートの発表基準・対象地域、日々の実況値などが確認できます。記事内「暑さ指数33以上で発表」の根拠として使える一次情報です。

3. 気象庁「熱中症から身を守るために」
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/netchusho/
→ 熱中症警戒アラートの制度概要、環境省と気象庁の共同運用について解説されています。

4. 総務省消防庁「熱中症情報」
https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/
→ 熱中症による救急搬送人員数の週次・年次データが公表されています。「梅雨明け直後〜7月に搬送者数が急増する」という記述の裏付けに使えます。

5. 日本救急医学会「熱中症診療ガイドライン2015」
https://www.jaam.jp/
→ 熱中症の重症度分類(I度・II度・III度)や、症状ごとの医学的な定義・応急処置の考え方の出典として使えます。

6. 厚生労働省「職場における熱中症予防対策」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzeneisei/heat_illness/
→ 室温管理の目安(28℃以下推奨)や、労働・運動時の休憩・水分補給の目安について記載があります。

(内部リンク)

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