この記事でわかること
| わかること |
|---|
| オンライン診療とは何か |
| オンライン診療でできること |
| 向いている症状・向いていない症状 |
| メリット・デメリット |
| 薬の処方・受け取り方 |
| 受診前に準備するもの |
結論から言うと、オンライン診療は、安定している慢性疾患の定期フォローや軽い症状の相談、薬の継続処方に向いています。一方で、強い胸痛、激しい頭痛、呼吸困難、大量出血などの緊急症状や、触診・検査・処置が必要な症状には向いていません。

私は普段、医師として診療に携わっており、実際にオンライン診療を行った経験があります。その経験を踏まえて、「オンライン診療って実際どうなの?」という疑問に、患者さんの目線に立ってお答えしていきます。
「興味はあるけど、よくわからないから不安」「自分の症状でも受けられるの?」という方に向けて、基本から注意点まで丁寧に解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

①オンライン診療とは?スマホで医師の診察を受ける仕組み

オンライン診療とは、スマートフォンやパソコンのビデオ通話機能を使って、自宅などから医師の診察を受けられる診療の形です。
従来の医療は、病院やクリニックに直接足を運ぶ「対面診療」が基本でした。しかし、2018年の診療報酬改定でオンライン診療が正式に保険適用となり、さらに2020年の新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに、初診からのオンライン診療が時限的に認められました。その後、2022年の診療報酬改定で初診からのオンライン診療が恒久化され、現在に至っています。
厚生労働省は「オンライン診療の適切な実施に関する指針」を策定しており、医療の質と安全性を確保しながらオンライン診療が普及するよう制度が整備されています。
つまり、オンライン診療は一時的な特例措置ではなく、正式な医療の仕組みのひとつとして位置づけられているのです。
オンライン診療について 国民・患者の皆様へ(厚生労働省HP)
②オンライン診療でできること|問診・処方・検査結果説明

オンライン診療では、具体的に以下のようなことができます。
医師による問診・視診
画面越しに、症状についての聞き取り(問診)や、見た目の確認(視診)が行われます。皮膚の状態、顔色、表情なども画面を通じて確認できます。
処方せんの発行・薬の処方
診察の結果、薬が必要と判断された場合は、処方せんを発行してもらえます。処方せんは薬局に直接送付してもらうことも、自宅に郵送してもらうことも可能です。
慢性疾患の定期的なフォロー
高血圧、糖尿病、脂質異常症などの慢性疾患で、状態が安定している方の定期的な経過観察に適しています。
検査結果の説明
事前に対面で行った血液検査や画像検査の結果を、後日オンラインで聞くことも可能です。
医療相談
「この症状は病院に行くべきか?」「どの科を受診すべきか?」といった相談にも、オンライン診療は活用できます。
各種診断書・紹介状の作成依頼
必要に応じて、診断書や紹介状の作成を依頼することも可能です。
③オンライン診療が向いている症状・場面【特に重要】

ここが最も大事なポイントです。オンライン診療は「すべての症状に使える万能ツール」ではありません。 向いている症状や場面を正しく理解することが、安全に活用するカギです。
【向いている症状】
1. 慢性疾患の継続管理(最も適している)
- 高血圧:自宅で血圧を測定し、その値を医師に伝えれば、薬の調整が可能
- 糖尿病:HbA1cなどの検査結果をもとに、食事・運動指導や薬の調整を実施
- 脂質異常症:定期的な血液検査と組み合わせて経過観察
- 喘息(安定期):吸入薬の使い方の確認や処方の継続
- 甲状腺疾患:安定期の薬の継続処方
これらは、すでに対面で診断がついており、状態が安定している場合に特に適しています。
2. 軽症の急性症状
- 風邪症状(軽い咳、鼻水、のどの痛み)
- 花粉症やアレルギー性鼻炎の薬の処方
- 軽い頭痛
- 軽度の不眠
- 軽い胃腸症状(胃もたれ、軽い下痢など)
これらは、医師が問診で状態を把握しやすく、処方で対応できることが多い症状です。
3. 皮膚症状(軽度なもの)
- 湿疹、じんましん:画面越しに患部を見せることで診察可能
- にきび
- 虫刺されの経過確認
高画質のカメラがあれば、ある程度の皮膚の状態は把握できます。
4. メンタルヘルス関連
- 不安障害の定期フォロー
- 軽度のうつ症状の経過観察
- 不眠症の薬の継続処方
- カウンセリング的な関わり
メンタルヘルス領域は「対話」が中心となるため、オンライン診療との相性が良い分野です。通院自体がストレスになる方にとっては、自宅から受診できることが大きなメリットになります。
5. 禁煙外来
禁煙治療は、定期的な診察と処方が中心のため、オンライン診療との親和性が高いです。
【向いている場面】
- 仕事が忙しく、通院の時間が取りにくい方
- 小さなお子さんがいて外出が難しい方
- 高齢で通院に家族の付き添いが必要な方
- へき地・離島など近くに医療機関がない方
- 感染症の流行期に外出を控えたい方
- 身体障害があり移動が困難な方
- 定期的な処方の受け取りだけが目的の方(いわゆる「Do処方」)
- セカンドオピニオンを受けたい方
私自身、オンライン診療を行う中で感じたのは、「安定している慢性疾患の患者さん」と「軽い急性症状で薬がほしい方」にとっては、非常に効率的で満足度の高い診療形態だということです。
④オンライン診療に向いていない症状|救急受診が必要なケース
| オンライン診療に向いていない症状・場面 |
|---|
| ① 緊急症状 |
| ② 触診・聴診が必要 |
| ③ 検査が必要 |
| ④ 初めての原因不明症状 |
| ⑤ 処置が必要 |
一方で、オンライン診療では対応が難しい、あるいは対応すべきでない症状もあります。
【向いていない症状・場面】
1. 緊急性の高い症状
- 胸の強い痛み(心筋梗塞の可能性)
- 突然の激しい頭痛(くも膜下出血の可能性)
- 意識がもうろうとしている
- 呼吸が苦しい
- 大量の出血がある
これらは一刻を争う状態です。オンライン診療ではなく、すぐに救急車(119番)を呼んでください。
2. 身体診察が不可欠な症状
- 腹痛(触診で圧痛の部位や腹膜刺激症状を確認する必要がある)
- 関節の痛みや腫れ(可動域や熱感の確認が必要)
- 胸の聴診が必要な症状(肺炎、心不全の疑いなど)
- リンパ節の腫れ
画面越しでは触れることができないため、触診・打診・聴診が必要な症状には対応できません。
3. 検査が必要な症状
- 血液検査が必要な場合(貧血、感染症の疑い、腎機能・肝機能の評価など)
- 画像検査が必要な場合(レントゲン、CT、MRIなど)
- 心電図が必要な場合
- 尿検査が必要な場合
これらの検査はオンラインでは実施できないため、対面での受診が必要です。
4. 初めての症状で原因がわからないもの
初めて経験する症状で、原因の見当がつかない場合は、まず対面で総合的に診察を受けることをお勧めします。
5. 外科的処置が必要な場合
- 傷の縫合
- 膿の排出(切開排膿)
- ギプスの装着
当然ですが、処置を伴う治療はオンラインでは行えません。
⑤オンライン診療のメリット

1. 移動時間・待ち時間が大幅に減る
病院での待ち時間が長いことは、多くの方のストレスです。オンライン診療では、予約時間になったらすぐに診察が始まるため、通院にかかるトータルの時間を大幅に短縮できます。
2. 感染リスクを避けられる
待合室での他の患者さんからの感染リスクがありません。インフルエンザやコロナの流行期には特に大きなメリットです。
3. どこからでも受診できる
自宅はもちろん、出張先や帰省先など、インターネット環境があればどこからでも受診可能です。
4. 通院の負担が軽減される
高齢者や障害のある方、小さなお子さんを連れた保護者にとって、通院自体が大きな負担です。その負担を大きく軽減できます。
5. 心理的ハードルが低い
「病院に行くほどではないかも…」と受診をためらう方でも、自宅からなら気軽に相談できます。特にメンタルヘルスの相談では、この心理的ハードルの低さが重要です。
6. 家族が同席しやすい
離れて暮らす家族が、オンラインで診察に同席することも可能です。高齢の親の診察に、遠方の子どもが参加するといった使い方ができます。
⑥オンライン診療のデメリット・注意点
1. 身体診察に限界がある
前述の通り、触診・聴診・打診ができません。画面越しの情報だけでは判断しきれない症状があるということを理解しておくことが大切です。
2. 検査ができない
血液検査、尿検査、レントゲンなどは行えません。検査が必要と判断された場合は、改めて対面での受診が必要になります。
3. 通信環境に左右される
インターネット接続が不安定だと、映像や音声が途切れ、正確な診察が難しくなることがあります。安定したWi-Fi環境での受診をお勧めします。
4. デジタル機器の操作が必要
スマートフォンやパソコンの操作に不慣れな方にとっては、受診までのハードルが高く感じられることがあります。
5. 処方できる薬に制限がある場合がある
向精神薬の一部や麻薬など、初診時のオンライン診療では処方できない薬があります。また、医師の判断で対面での処方が必要とされる場合もあります。
6. 対面診療と比べて情報量が少ない
実際の診療では、患者さんが診察室に入ってくるときの歩き方、表情、体臭なども含めて総合的に判断します。オンラインでは、こうした情報が得られにくいことは事実です。
⑦オンライン診療は初診でも受けられる?
はい、初診からオンライン診療を受けることは可能です。
2022年の診療報酬改定により、初診からのオンライン診療が恒久的に認められました。ただし、いくつかの条件・注意点があります。
初診オンライン診療の条件
- 医師が医学的に可能と判断した場合に限る
- 患者の本人確認が必要(保険証やマイナンバーカードなどで確認)
- かかりつけ医が行うことが原則(かかりつけ医以外でも可能だが、診療録等の情報提供が推奨される)
初診オンライン診療の制限
- 向精神薬の処方は原則不可(初診時)
- 8日分以上の麻薬の処方は不可(初診時)
- 医師が対面診療が必要と判断した場合は、対面受診を指示されることがある
初めての医療機関でオンライン診療を受ける場合は、事前に問い合わせて「初診でもオンラインで受けられるか」を確認することをお勧めします。
⑧オンライン診療後の薬の受け取り方|薬局・配送・電子処方せん

オンライン診療後の薬の受け取り方には、主に以下の方法があります。
方法1:処方せんを近くの薬局に送ってもらう
医療機関が処方せんを、患者さんが指定した薬局にFAXまたは電子的に送付します。患者さんはその薬局に行って薬を受け取ります。最も一般的な方法です。
方法2:処方せんを自宅に郵送してもらう
処方せんの原本を自宅に郵送してもらい、届いたら近くの薬局に持参して薬を受け取ります。
方法3:薬局のオンライン服薬指導+薬の配送
薬局でもオンラインでの服薬指導(薬剤師からの説明)を受けられるようになっています。服薬指導後、薬を自宅に配送してもらうことが可能です。この方法を使えば、診察から薬の受け取りまで、一度も外出せずに完結できます。
方法4:電子処方せん
2023年1月から電子処方せんの運用が開始されています。電子処方せん対応の医療機関・薬局であれば、紙の処方せんなしでスムーズに薬を受け取れます。ただし、対応施設はまだ限られています。
薬の受け取りに関する注意点
- 配送の場合、薬が届くまで1〜3日程度かかることがあります
- すぐに薬が必要な場合は、対面受診のほうが確実です
- 配送料が別途かかる場合があります
⑨受ける前に準備しておくもの

オンライン診療をスムーズに受けるために、事前に以下を準備しましょう。
必須の準備
- スマートフォンまたはパソコン(カメラ・マイク付き)
- 安定したインターネット環境(Wi-Fi推奨)
- 保険証またはマイナンバーカード(本人確認・保険確認のため)
- クレジットカードなどの決済手段(オンライン決済が多い)
- 医療機関指定のアプリまたはシステムへの事前登録
あると良い準備
- お薬手帳(現在服用中の薬の確認のため)
- 症状のメモ(いつから、どこが、どのように、など整理しておくと診察がスムーズ)
- 体温計での検温結果
- 血圧手帳(高血圧の方)
- 血糖値の記録(糖尿病の方)
- 患部の写真(皮膚症状の場合、事前に撮影しておくと伝えやすい)
環境の準備
- 静かでプライバシーが確保できる場所を選ぶ
- 周囲の照明を明るくする(顔色や患部が見えやすいように)
- 事前にカメラ・マイクのテストをしておく
⑩安全に受けるためのポイント
オンライン診療を安全に受けるために、以下のポイントを押さえましょう。
1. 信頼できる医療機関を選ぶ
- **厚生労働省の「オンライン診療を実施する医療機関リスト」**を確認する
- 医療機関のホームページで、医師の資格や専門分野を確認する
- 口コミだけでなく、公的な情報を参考にする
2. 症状を正確に伝える
オンライン診療では、医師が得られる情報が限られます。だからこそ、患者さん自身が症状を正確に、詳しく伝えることが非常に重要です。
- いつから症状があるか
- どこに症状があるか
- どのような症状か(痛い、かゆい、しびれるなど)
- どのくらいの強さか
- どんなときに悪化するか
- 他に気になる症状はないか
3. 対面受診が必要と言われたら従う
医師が「対面での診察が必要」と判断した場合は、必ずその指示に従ってください。オンライン診療はあくまで選択肢のひとつであり、患者さんの安全が最優先です。
4. 個人情報の管理に注意する
- 公共のWi-Fi(カフェなど)は避ける
- 周囲に人がいない環境で受診する
- 診察内容を録画・録音する場合は、医療機関に確認する
5. 不審な医療サービスに注意する
- 極端に安い料金を謳うサービス
- 医師の情報が明示されていないサービス
- 海外の無資格者による「診療」
これらには十分注意してください。日本の医師免許を持った医師が行う診療であることを確認しましょう。

⑪オンライン診療と対面診療の使い分け
オンライン診療と対面診療は、どちらかが優れているというものではなく、症状や状況に応じて使い分けることが大切です。
| オンライン診療が向いている | 対面診療が向いている | |
|---|---|---|
| 症状の種類 | 軽症、慢性疾患の安定期 | 重症、急性、原因不明の症状 |
| 診察内容 | 問診中心、経過観察 | 触診・聴診・検査が必要 |
| 通院状況 | かかりつけ医がいる | 初めての症状、初めての医療機関 |
| 患者の状態 | 状態が安定している | 状態が変化している・悪化している |
| 生活環境 | 通院が困難、時間が取りにくい | 通院に問題がない |
理想的な使い分けの例
- 初回の診察は対面で受け、診断・検査を行う → 安定したらオンラインに切り替えて定期フォロー → 変化があれば再び対面で受診
このように、対面とオンラインをハイブリッドで活用するのが、最も効果的な使い方です。
医師としての経験からも、オンライン診療は対面診療を「置き換える」ものではなく、「補完する」ものだと感じています。両方の良いところを活かして、ご自身に合った受診スタイルを見つけていただければと思います。

⑫まとめ
- オンライン診療は、2022年から初診でも恒久的に利用できる正式な医療の仕組み
- 慢性疾患の定期管理や軽い急性症状に特に向いている
- 緊急性の高い症状や検査・身体診察が必要な症状には向いていない
- 移動時間の削減、感染リスクの低減、心理的ハードルの低さなど多くのメリットがある
- 一方で、身体診察の限界、通信環境への依存などのデメリットも理解しておく
- 薬は薬局での受け取りや自宅配送など複数の方法がある
- 安全に受けるためには、信頼できる医療機関を選び、症状を正確に伝えることが大切
- 対面診療とオンライン診療をうまく使い分けることが最も賢い活用法
オンライン診療は、忙しい方や通院が難しい方にとって、非常に便利な選択肢です。ただし、万能ではないことを理解した上で、ご自身の症状や状況に合わせて上手に活用してください。
気になる症状がある場合は、まずはかかりつけ医に相談し、オンライン診療が適切かどうかを一緒に判断してもらうのが安心です。
この記事を書いた人
消化器外科医。日常診療に加え、オンライン診療の経験もあり、患者さんが安全に医療を利用できるよう、わかりやすい医療情報を発信しています。
公開日:2026年6月21日
最終更新日:2026年6月21日
執筆:医師 Dr.KOY

参考情報・情報源
- 厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/rinsyo/index_00010.html
- 厚生労働省「オンライン診療に関するホームページ」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/rinsyo/index_00010.html
- 厚生労働省「電子処方箋についてのページ」 https://www.mhlw.go.jp/stf/denshishohousen.html
- 厚生労働省「オンライン診療を実施する医療機関の一覧」 各地方厚生局のホームページで公開
- 日本医師会「オンライン診療に関する情報」 https://www.med.or.jp/
※記載の情報は執筆時点のものです。最新の制度や対応状況は、各医療機関や厚生労働省のホームページでご確認ください。

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