東野圭吾さん、大腸がんで死去 ― 「大腸がん」とは?症状・生存率・予防法をわかりやすく解説

2026年7月27日、衝撃的なニュースが飛び込んできました。

作家の東野圭吾さんが、7月23日未明、大腸がんのため68歳で亡くなられたことを、講談社が発表しました。

あまりにも突然の知らせに、言葉を失いました。

私にとって東野圭吾さんの小説は、新幹線で地元へ帰るときの大切な相棒でした。

駅の書店で一冊購入し、往復の移動時間で夢中になって読み切る。そんな時間を、これまで何度も過ごしてきました。

数ある作品の中でも、個人的に特に好きなのは『夜明けの街で』です。

もう新しい作品を読めないのかと思うと、ただただ残念で、今も気持ちの整理がつきません。

心よりご冥福をお祈り申し上げます。

今回の訃報を受け、消化器外科医として、改めて大腸がんについて知っていただきたいと思い、この記事を書くことにしました。

大腸がんから命を守るために大切なことは、決して難しいことではありません。

大腸癌で死亡しないためには・・・

健診を毎年受ける

定期的に大腸カメラを行う

「元気だから大丈夫」とは決して言わない

大腸癌は、一部を除いて早期発見で完治することが可能です。

そういう意味でも、大腸癌で亡くなることは少し悔しい気持ちになります。

・「今まで病気したことないのに」

・「痛みなかったのに」

とおっしゃる患者様も多いです。

予防や早期発見に理屈はいりません。健診を中心に体の定期的チェックをお願いします。

東野圭吾さんが大腸がんのため68歳で死去・・・

2026年7月27日、講談社は作家・東野圭吾さんが7月23日未明に大腸がんのため死去したと発表しました。68歳でした。葬儀はすでに家族葬で執り行われています。

東野さんは1985年、『放課後』で乱歩賞を受賞してデビューし、以来『白夜行』『容疑者Xの献身』『ガリレオ』シリーズ、『新参者』シリーズなど数多くのベストセラーを世に送り出してきました。映画やドラマの原作としても親しまれ、日本を代表するミステリー作家の一人として国内外に多くの読者を持っていました。

突然の訃報は多くの人に衝撃を与えましたが、同時に「大腸がんとはどのような病気なのか」「どうすれば早期に見つけられるのか」という関心も高まっています。ここでは、大腸がんの基礎知識と最新の統計データ、そして大腸癌で命を落とさないためには何をすべきなのか、日頃から大腸癌を診療している経験からご紹介します。

(参考:Yahoo!ニュース/作家・東野圭吾さん、大腸がんのため死去 68歳

大腸がんとは?できる場所と特徴

大腸がんは、大腸(結腸・直腸)の粘膜にできる悪性腫瘍です。

多くは大腸の粘膜にできた「ポリープ」と呼ばれる良性の腫瘍が、長い年月をかけて徐々にがん化することで発生すると考えられています。

一部は正常な粘膜から直接がんが発生するケースもあります。

大腸がんの厄介な点は、

早期にはほとんど自覚症状がないことです。

がんが進行してくると、以下のようなサインが現れることがあります。

  • 血便(便に血が混じる)
  • 便通異常(下痢と便秘を繰り返す、便が細くなる)
  • 残便感、お腹の張り
  • 原因不明の体重減少
  • 貧血、倦怠感

これらの症状は痔など他の病気でも起こりやすいため、「痔だろう」と自己判断して受診が遅れ、発見時にはすでに進行していたというケースも少なくありません。

少しでも気になる症状があれば、

放置せず

消化器内科や肛門科を受診することが大切です。

大腸がんの予後・罹患率・死亡数など公衆衛生データ

国立がん研究センターの統計によると、

大腸がんは日本人にとって決して珍しい病気ではありません。

  • 罹患数:日本では年間15万人以上が新たに大腸がんと診断されており、これはがん全体の罹患数の中で最も多い部位です(がん罹患全体の約15.6%)。
  • 死亡数:大腸がんによる年間死亡数は約5万3千人以上にのぼり、肺がんに次いでがん死亡数第2位です(がん死亡全体の約13.8%)。
  • 生涯罹患・死亡リスク:日本人が一生のうちに大腸がんと診断される確率は男性10.3%、女性8.1%。大腸がんで死亡する確率は男性3.1%、女性2.7%とされています。つまり、男性のおよそ10人に1人、女性のおよそ12人に1人が一生のうちに大腸がんと診断される計算です。
  • 年齢との関係:罹患率は50歳を過ぎた頃から明らかに増加し、高齢になるほどリスクが高まります。
  • 将来推計:数理モデルによる推計では、2035〜2039年には年間罹患数が約21万人(2019年比で約1.35倍)に達すると予測されており、今後も注意すべきがんであり続けると考えられています。

一方で、大腸がんは発見された時期(病期・ステージ)によって生存率が大きく変わるがんでもあります。

このデータが示す通り、早期のステージⅠで見つかれば9割以上が5年後も生存している一方、進行してステージⅣで発見されると生存率は大きく下がります。

つまり大腸がんは、「早く見つけて早く治療すれば、決して怖いだけの病気ではない」がんだと言えます。

大腸がんで死なないためにするべきこと

大腸がんの死亡リスクを下げるために、日常生活の中で意識できることをまとめます。

1. 定期的にがん検診(便潜血検査)を受ける

大腸がん検診として科学的に有効性が証明されているのが、

便潜血検査です。

自宅で2日分の便を採取するだけの簡便な検査で、大腸からの出血の有無を調べます。40歳を過ぎたら、症状がなくても年に1回は受けることが推奨されています。

便潜血検査が陽性になっても、実際に大腸がんが見つかる人はごく一部で、多くはポリープなど良性の変化か異常なしです。しかし、陽性だったのに精密検査(大腸内視鏡検査)を受けないまま放置してしまう人が一定数いることが、大腸がんの発見の遅れにつながっていると指摘されています。「陽性」と言われたら必ず精密検査を受けることが、命を守る上で非常に重要です。

便潜血検査が陽性でも、必ず大腸がんというわけではありません。痔、ポリープ、炎症などで陽性になることもあります。しかし、便潜血検査だけでは原因を区別できないため、大腸内視鏡検査による確認が必要です。

1回だけの陽性でも、精密検査の対象です。「もう1回便潜血検査をして陰性なら大丈夫」と自己判断せず、医療機関を受診してください。

痔があっても、大腸ポリープや大腸がんが同時に存在する可能性があります。痔だけが原因と決めつけず、精密検査を受けることが大切です。

2. 症状があれば我慢せず受診する

血便、便通の変化、原因不明の体重減少などがある場合は、検診の時期を待たずに医療機関を受診しましょう。「恥ずかしいから」「痔だと思うから」と受診をためらう方は多いですが、その数か月の遅れが病期の進行につながることがあります。

3. 生活習慣を見直す

大腸がんのリスクを高める要因として、以下が知られています。

  • 赤身肉・加工肉(ハム・ソーセージなど)の過剰摂取
  • 食物繊維不足
  • 運動不足・肥満
  • 過度な飲酒
  • 喫煙

逆に言えば、野菜や食物繊維を積極的に摂り、適度な運動を習慣づけ、飲酒・喫煙を控えることは、大腸がんの予防につながる可能性があります。すぐに劇的な効果が出るものではありませんが、長期的なリスク低減のために続ける価値のある習慣です。

4. 家族歴がある人は特に注意する

血縁者(親・兄弟姉妹など)に大腸がんの既往がある場合、遺伝的な要因でリスクが高くなることがあります。家族に大腸がんの人がいる場合は、一般的な推奨開始年齢(40歳)よりも早めに、かかりつけ医に相談の上で検診や内視鏡検査を検討することが望ましいとされています。

まとめ

東野圭吾さんの訃報は、大腸がんが年齢を問わず、そして誰にとっても身近な病気であることを改めて示しました。大腸がんは日本人が最も多くかかるがんであり、死亡数も多いがんですが、その一方で早期発見・早期治療によって高い確率で治すことができるがんでもあります。

40歳を過ぎたら年1回の便潜血検査を受けること、そして気になる症状があれば早めに医療機関を受診すること。この基本を守ることが、大腸がんで命を落とさないための最も確実な方法です。この機会に、ご自身やご家族の検診状況を振り返ってみてはいかがでしょうか。

Sources:

(内部リンク)

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