
みぞおち(心窩部)や右わき腹の痛み、その原因は「胆石」かもしれません。
胆石発作や胆嚢炎で苦しむ方々を多く見てきました。多く手術させて頂いてきました。
できる仕組みから痛みの特徴、予防・治療・手術の判断基準まで、イラストで順を追って説明します。

(この記事について — 一般的な医学知識の紹介を目的としたもので、個別の診断・治療にかわるものではありません。強い痛みや発熱がある場合は、自己判断せず早めに医療機関を受診してください。)
この記事の内容
健診の腹部エコーで「胆石があります」と言われて驚いた、という方は少なくありません。実は胆石は珍しい病気ではなく、
日本人の10人に1人前後が持っている
と言われ、その多くは症状がないまま一生気づかれないこともあります。
一方で、脂っこい食事のあとにみぞおちや右わき腹がきりきりと痛む「胆石発作」を経験して初めて見つかる方もいます。
放置すると急な炎症を起こすこともあるため、正しく知って、
必要なタイミングで治療につなげることが大切です。
この記事では、胆石ができる仕組みから、痛みの特徴、予防・治療・手術の考え方までを、イラストを交えて順番に解説します。
胆石はなぜできる?コレステロール結石と色素結石をイラストで解説

胆嚢の中に結石ができた状態コレステロール結石日本人に最も多いタイプ色素結石胆汁の成分が主な原因胆嚢の中で胆汁の成分が固まり、石のようになったものが胆石です
胆石(たんせき)とは、肝臓でつくられる消化液「胆汁(たんじゅう)」の成分が固まってできる石のことです。多くは肝臓の下にある小さな袋状の臓器「胆嚢(たんのう)」の中にでき、胆嚢の壁や胆管(胆汁の通り道)にできることもあります。

胆石には大きく2つのタイプがある

コレステロール結石
胆汁中のコレステロールが増えすぎて結晶化したもの。日本人の胆石の約7〜8割を占めるとされ、脂質の多い食生活や肥満と関連します。
色素結石
ビリルビンという胆汁色素が主成分。肝機能の状態や胆道の感染、加齢などが関係し、黒色石・ビリルビンカルシウム石に分けられます。
胆石ができても、多くの場合は胆嚢の中でじっとしたままで、痛みなどの症状を起こしません。
健診の超音波検査で偶然見つかる「無症状胆石」がその代表で、この場合は慌てて治療する必要はなく、経過をみることがほとんどです。
問題になるのは、石が胆嚢の出口や胆管に詰まりかけたときです。次の章で、その痛みの特徴を見ていきましょう。
胆石の痛みの特徴 — 右わき腹・みぞおち・背中に出る「疝痛発作」を図解

正面:みぞおち〜右わき腹背面:右肩甲骨あたりへ放散脂っこい食事の後、胆嚢が収縮すると痛みが誘発されやすくなります

胆石があっても普段は無症状のことが多いのですが、脂っこい食事をとった後などに胆嚢が収縮すると、石が胆嚢の出口に挟まって強い痛みが起こることがあります。
これを「胆石発作」または「疝痛(せんつう)発作」と呼びます。
典型的な痛みの特徴
- みぞおちから右わき腹にかけて、キリキリ・ズーンとした強い痛み
- 右の肩甲骨のあたりや右肩に痛みが広がる(放散痛)
- 脂っこい食事の後、数十分〜数時間して起こりやすい
- 吐き気や嘔吐を伴うことがある
- 痛みは数十分〜数時間持続し、自然に治まることもある
こんな症状があればすぐ受診を
- 38℃以上の発熱を伴う強い腹痛
- 白目や皮膚が黄色くなる(黄疸)
- 痛みが半日以上続き、どんどん強くなる
これらは胆嚢や胆管に炎症が広がった「急性胆嚢炎」「急性胆管炎」のサイン
である可能性があり、緊急の治療が必要になることがあります。
胆石を予防する生活習慣 — 再発を防ぐ食事とダイエットの注意点

体質もあるので、確実ではありませんが一般的には以下のことが言われております。
朝食を抜かない
食事の時間を規則的に
脂質・コレステロールを摂り過ぎない
十分な水分補給
適度な運動を続ける
急激なダイエットは避ける
胆石の主な危険因子として、肥満、脂質の多い食生活、不規則な食事、急激な体重減少、糖尿病などが知られています。日々の生活習慣を見直すことで、発症や再発のリスクを下げることができます。
特に気をつけたいポイント
- 朝食を抜かない:空腹時間が長いと胆汁が胆嚢内に留まりやすく、結石ができやすくなると考えられています。
- 急激なダイエットは避ける:短期間で大きく体重を落とすと、かえって胆石ができやすくなることが知られています。減量は月1〜2kg程度を目安に、緩やかに行いましょう。
- 脂質を摂り過ぎない、食物繊維を意識する:揚げ物や動物性脂肪に偏らず、野菜・海藻・きのこ類など食物繊維の多い食品を組み合わせましょう。
- 適度な運動と適正体重の維持:肥満は最大の危険因子のひとつです。ウォーキングなど無理のない運動を習慣にしましょう。
すでに無症状の胆石がある方でも、これらの生活習慣は発作の予防に役立ちます。
胆石の治療法まとめ — 経過観察・薬物療法・手術の違いを比較
1
経過観察
無症状であれば多くの場合、定期的な超音波検査で様子をみます。積極的な治療は不要なことがほとんどです。

2
薬物療法(胆石溶解療法)
ウルソデオキシコール酸などの薬で、小さなコレステロール結石を時間をかけて溶かす方法。効果は限定的で、再発しやすいという特徴があります。

3
体外衝撃波結石破砕術(ESWL)
体外から衝撃波を当てて結石を砕く方法。適応となる条件が限られ、近年は行われる機会が少なくなっています。
実際に私も見たことはありません。

4
手術(腹腔鏡下胆嚢摘出術)
症状を繰り返す場合や合併症がある場合の標準治療。胆嚢ごと摘出することで、再発の心配がなくなります。

胆石の治療方針は、「症状があるかどうか」で大きく分かれます。無症状であれば経過観察が基本ですが、痛みを繰り返す場合や合併症を起こした場合には、根本的な治療として手術が検討されます。
薬物療法や体外衝撃波は結石を残したまま治療するため、石が完全になくなっても胆嚢自体に石ができやすい体質は変わらず、再発率が比較的高いことが知られています。そのため、症状を繰り返す方には手術が推奨されることが多くなっています。
胆石の手術はいつ必要?腹腔鏡下胆嚢摘出術の適応をわかりやすく解説
基本的には、胆嚢炎や胆石疝痛、総胆管結石など胆石が原因で一度ご病気を経験された方が手術をすることが多いです。
多くの患者様がおっしゃるのは、
「もうあの痛みは経験したくない」
という一言です。
逆に、症状がない患者様は、特別なことがない限り手術することは稀です。
手術(腹腔鏡下胆嚢摘出術)が検討される主なケース
- 胆石発作(疝痛発作)を繰り返す
- 急性胆嚢炎や急性胆管炎を起こしたことがある
- 結石が胆管に詰まり、黄疸や胆石性膵炎を起こした
- 結石が大きい、または胆嚢壁が石灰化している
- 糖尿病があるなど、重症化しやすい背景がある
現在の標準術式は、お腹に数カ所の小さな穴を開けて行う「腹腔鏡下胆嚢摘出術」です。

開腹手術に比べて体への負担が少なく、多くの場合数日の入院で退院できます。胆嚢を摘出しても、多くの方は術後の食生活に大きな制限なく過ごせます。
一方、無症状の胆石は基本的に手術の対象にはなりません。定期的な経過観察を続けながら、症状が出た時点で改めて治療方針を相談するのが一般的です。
KOYがすすめる胆石との向き合い方 (個人的な見解)
胆石は遺伝的要素もありますが、食事との関連はかなり強いです。
胆石発作と思われる痛みがある場合は脂質を避けてください。現代は普通に生活しているだけで多くの脂質を摂取しています。それぞれの食事にどのくらいの脂質が含まれているのか、把握できるようにしておきましょう。
個人的には、カレーは脂質が多いので症状ある時は避けた方がいいかと(あくまで個人的な見解です)
高齢者になって手術することになることもあります。いつ何時何が起きても慌てないよう、備えておきましょう。
- 無症状の胆石は、焦って治療しない。
👉健診で指摘されただけであれば、まずは生活習慣の見直しと定期的な経過観察で十分なケースがほとんどです。手術にもリスクはあります。 - 「いつもと違う痛み」が出たら、早めに相談する。
👉脂っこい食事の後の右わき腹〜みぞおちの痛みが繰り返す場合は、放置せず一度専門医に相談することをおすすめします。 - 症状が強い場合には緊急手術も考慮。
👉 胆嚢炎や胆石発作の痛みが強い場合は、緊急手術になる可能性があります。手術をするにしても早めの方が良いです。つらい時は無理せず医療機関を受診してください。 - 危険なサインは、迷わず対面受診・救急受診へ。
👉高熱・黄疸・強い持続する腹痛がある場合は、重症の可能性があります。
(KOY ONLINE CLINIC MEDIA — 本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、診断・治療を保証するものではありません。症状が気になる方は医療機関にご相談ください。)
(外部リンク)
Medical DOC: 「胆石症」になりやすい人の特徴は?
診療ガイドライン
学会による患者向けQ&A
病院・医療機関の解説ページ
(内部リンク)
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